琥珀の子〜電気のおはなし第1話〜
これは「そもそも電気って何なのだろう?」という素朴な問いから生まれたお話です。あざみ野ぶんぶんプロジェクトのメルマガで連載中のこのコラムが面白いのでぜひ、と声がかかり、森ノオトでも一部加筆修正、イラスト付きバージョンでお届けすることになりました。発電、節電に関わるエネルギー問題も大切だけれど、ちょっと立ち止まって「科学や歴史のものさし」で電気を感じてもらいたい。電気を「好き」になってくれる人が1人でも増えたらいいな、という想いで書いています。素人しらべなので間違いもあるかもしれませんが、こんな視点もあるのだな、と、酒の肴やお菓子をつまむような感覚で受け止めていただければ幸いです。では、電気をめぐる時空の旅に出掛けましょう♪

はるか昔、紀元前のギリシャ時代から、今で言う「静電気」といわれる現象は知られていました。

 

下敷きをこすって頭に近づけると髪の毛が吸い寄せられる、あの現象。

 

なんだかよく分からないが、なにかがあるよね? この、ものを吸い寄せる力は一体なんだろう? それが、電気をめぐる最初の問いでした。

 

今伝わっている話では、最初の哲学者ともいわれている、古代ギリシャ時代に活躍したタレスさんが「琥珀を布や皮でこすると羽毛を吸い寄せる」ことを知っていたといいます。これが紀元前600年頃。

その後、ぴゅーんと時代は飛んで、16世紀頃になって、ようやく、この謎を解く科学的な実験や発見が各国で盛んになってきます。この間2000年以上ですから、ずいぶんのんびり……な話ではありますね。やはり、目に見えない電気(のようなもの)より、目に見える天体観測なんかの方が人気のある学問だったんでしょうか。

 

それはさておき。西暦1600年、ついに電気が文献に登場します。

 

エリザベス一世の侍医ともなったお医者さんで、物理学者でもあったイギリスのギルバートさん。彼は、1600年に出版した「磁石論(The magnet)」という6巻に及ぶ大著の中で、磁石の引力とはまた別の、この不思議な力のことを「エレクトリック・フォース」と名づけました。

 

これは、ギリシャ語で「琥珀」を「エレクトロン(electron)」と言うことにちなんで、ギルバートさんが作った造語なんですね。このお方、文才もあったらしい(ちなみに、この時代のロンドンは天才の時代!?だったのでしょうか。シェイクスピアの絶頂期、彼の演劇が大ブームを巻き起こしていたそうな)。

磁石論は、科学的かつ詩的な書物で、かのガリレオさんやニュートンさんなど、後の時代の科学者たちが多いに影響を受けたものだそうです。

 

電気は英語で「エレクトリシティ(electricity)」。

 

のちのちの時代に発見された電子は「エレクトロン」と言われています。元のギリシャ語のエレクトロンは「光」を意味するのだそうで、ぴたりと電気の性質を言い当てている感じがホントにスゴイ。

 

私は、この名づけの由来を知って、電気って 「琥珀の子」 なんだ〜!と感じました。

 

ところで、琥珀は、樹脂が土の中で長〜い時間をかけて固まったもの。とすると、電気の親って、 あれ?もしかして植物!? そんな風に考えると、なんだかわくわくしてきませんか?

 

と、まあ、そんなわけで、

ちょっと強引なこじつけですけれども「琥珀の子」と題して、今後も電気のお話、続けていきたいと思います。

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この記事を書いた人
梅原昭子ライター
引き算の編集が好きです。できないこと、やりたくないことが多過ぎて消去法で生きています。徒歩半径2キロ圏内くらいでほぼ満ち足りる暮らしへの憧れと、地球上の面白い所どこでもぶらりと行ける軽さとに憧れます。人間よりも植物や動物など異種から好かれる方が格上と思っている節があります。
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