ecolocoパーソナルインタビュー

この人に会いたい!

北原 まどかwritten by

保育園や幼稚園、今や小学校の運動会でも大人気! 動画再生1千万回を超えるスーパーヒットとなった『エビカニクス』や、NHKの幼児番組で知られるケロポンズ。ケロちゃん(増田裕子さん)とポンちゃん(平田明子さん)は、今年6月11-12日、17-18日に開催される「こどもみらいフェスティバル」でメインゲストを務めます。どんな時でも明るく元気になれる、ケロポンズの楽曲の秘密を、お二人にうかがいました!

 

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乳幼児に絶大な人気を誇る、ケロポンズの増田裕子さん・平田明子さんインタビュー

●「遊び」の中から生まれる音楽

一度見たら忘れない! インパクト大のケロポンズのお二人。増田裕子さん(ケロちゃん)と平田明子さん(ポンちゃん)によるユニットは、結成してもうすぐ20年(写真提供:カエルちゃんオフィス)

一度見たら忘れない! インパクト大のケロポンズのお二人。増田裕子さん(ケロちゃん)と平田明子さん(ポンちゃん)によるユニットは、結成してもうすぐ20年(写真提供:カエルちゃんオフィス)

 

キタハラ: 私には小学校2年生の長女と1歳の次女がいて、二人ともケロポンズが大好きです。長女は小学校の運動会で、次女は保育園の体操で『エビカニクス』を踊って、私自身もYoutubeを再生してこどもと一緒に歌って踊ると、イヤなことも全部忘れてしまうくらい、元気になれます。動画再生回数が1千万回を超えるスーパーヒットになりましたが、名曲『エビカニクス』はどのようにして生まれたんですか?

 

ケロちゃん(増田裕子さん、以下敬称略): 『エビカニクス』が生まれたのは、レストランだったんですよ(笑)! ある育児雑誌で「ケロポンズの遊びネタ」という連載をしていて、編集者の方と飲んでいた時に、エビカニエビカニ言いながらエアロビクスをやろうよ! というノリで、「じゃあ、エビカニクスがいいんじゃない!?」って。

 

ポンちゃん(平田明子さん、以下敬称略): 電車の中でしゃべっていて、言葉の間違いを笑いあうなかで歌詞が生まれたり、ごっこ遊びがネタになったり、「それ、おもしろいね!」と言いながら遊んでいるうちに、いつの間にか曲になっていたりするよね。

 

ケロ: 自分のなかの「こども」がでてきて、遊びの延長で曲ができたりします。それでごはんを食べさせてもらっているんだから、ありがたいことです(笑)。

 

ポン: 『エビカニクス』は2001年の秋に、ニューヨークでレコーディングをしよう! と、当時の私たちにとっては思い切って渡米に踏み切ることにしたんだけれども、渡航が決まった後に9.11(N.Y.での同時多発テロ)が起きて、一時はレコーディングを自粛しようかというムードになったんです。ところが、N.Y.のミュージシャンたちが「今こそ音楽でしょう! 僕たち待っているんだよ!」と熱烈にラブコールしてくれて、その声に押されて渡米して録音したのが『エビカニクス』なんです。私たちだけじゃない、向こうのアーティストたちも一緒になって熱い音楽をつくって、それで「エビ、カニ、エビ、カニ」と言っているんだけど(笑)、最高のグルーヴ感が出ている!

 

ケロ: 若かったからできたのかもしれないけれども、ともかく、9.11直後の混乱のなかで、こどもたちにいいものを届けたい! という熱い気持ち、いろんな思いが凝縮されて、ここまで人に伝わる音楽になったのかな、と思います。

 

キタハラ: 新作の一つに『ヨコハマフーフーエクササイズ』がありますが、横浜市民としてはぜひ、こちらも大ヒットさせたいですね!

 

ポン: 横浜って、海があって、山もあって、どちらの魅力も感じられるとても素敵な街だと思います。あの「フーフー」は海風が吹き、山風も感じられる横浜の情景と、息を掛け合わせた体操なんです。
ケロ:しかもレコーディングはみなとみらいホールのパイプオルガン、ルーシーとも共演し、たのしいものができました。

 

 

●「りんごの木」での経験がケロポンズの原点に

知的でやさしい雰囲気をまとい、美しい言葉使いでゆったりとお話をしてくれるケロちゃんこと増田裕子さん(左)。インタビューはたまプラーザの3丁目カフェで(写真:おくむらさちこ)

知的でやさしい雰囲気をまとい、美しい言葉使いでゆったりとお話をしてくれるケロちゃんこと増田裕子さん(左)。インタビューはたまプラーザの3丁目カフェで(写真:おくむらさちこ)

 

キタハラ: お二人は横浜市都筑区にある「りんごの木子どもクラブ」に関わっていたとお聞きしています。お二人にとっての「りんごの木」は、どのような存在なのでしょうか。

 

ケロ: 私は保育士ではなく音楽教育でりんごの木に通っていたのですが、ピアノのレッスンは10分くらいで、その後はメチャクチャ(笑)。最終的にはただただ、こどもたちと遊んでいるという音楽教室でした。ともかく、こどもたちが「そのままでいい」というのがりんごの木のスタンスなので、結果的には音楽を含んだ遊びの教室という感じでした。親御さんにとっては満足な音楽教室だったのかは甚だ疑問なのですが(笑)、ともかく一緒になって楽しむ時間であれば、そのまんまでいい、と。

 

ポン: でも、ケロちゃんの音楽教室はとても人気があったんですよ!
私もメチャクチャな保育士でした(笑)。こどもたちと遊ぶ役割というより、どちらかといえば一緒に遊んでいる。こどもたちのやりたいことに添うのがりんご流なのですが、例えばお散歩で最後尾についていると、後ろにいる子って、道端にある虫の穴をじっと見つめていて、集合時間に1時間半遅れてしまったり。逆に先頭の子と一緒にいれば、ものすごく先へ先へと走って、気づいたら誰もついてきていないとか……。でも、こどもそのものに寄り添っていくと、こどものおもしろい面がどんどん出てくるんですよね。こども自身の内側から出てきたやりたいことを思い切りやりきる楽しさが、爽快感として現れていて、多分それが、今の私たちの音楽につながっているのだと思います。

 

ケロ: やりきった時の爽快な表情、解放される感じが、なんともいいんですよね。りんごの木にいた時に、こどもたちのそんな顔を見てきていたから、それがケロポンズの基盤になって、私たちもありのままで、とことん楽しもう、やりきろう、と。

 

ポン:コンサートをやっている中で、こどもたちがすごく集中しているか、楽しんでいるかは、空気感でよくわかるんです。保育も、音楽教室も、コンサートも、私たちの中では共通していて、「今日も1日、楽しかったね!」と言い切れるように、こどもたちに寄り添って、コンサートでもプログラムを自由に変えるんです。演目の中で、ジェスチャーゲームがあるんですが、遊びのなかの決まりごとではなく、こどもの内側から出てくるとことんおもしろいものをステージにあげちゃう。それをみんなで楽しんじゃう。
ケロポンズのコンサートや歌、踊りをつくることは、りんごの木でこどもたちに添って、こども自身がおもしろいと思うことをとことんやりきっていた日々からつながっているんじゃないかなあ、と思います。それを意識してきたわけじゃないんですが。

 

大きな声とジェスチャーで、おおらかに話をするポンちゃん(平田明子さん)。現在は長野県の安曇野エリアに在住、大自然のなかで双子のお子さんを育てている

大きな声とジェスチャーで、おおらかに話をするポンちゃん(平田明子さん)。現在は長野県の安曇野エリアに在住、大自然のなかで双子のお子さんを育てている

 

キタハラ: 今年で3回目になる「こどもみらいフェスティバル」は、毎年どんどん大きくなり、ケロポンズも毎年メインゲストを飾るなど、フェスの顔になっています。お二人にとっては、都筑区でのコンサートはまさに「ホームに凱旋」! ではないでしょうか。

 

ケロ: こどもみらいフェスティバルの空気感は、興奮しますよね。

 

ポン: ケロポンズのコンサートまでにプレイパークなどでさんざん遊びこんで汗だくになってから来るから、コンサートが始まるころには、こどもたちが「パカーン」って開いていて(笑)、すでに解放されている状態からスタートするんです。

 

ケロ: だからこどもたちがすごくおもしろいことを言うよね。

 

ポンちゃん: フェス自体がものすごく解放されているから、コンサートもなんだか原っぱで遊んでいるような感じなんです(笑)。

 

キタハラ: 今年のケロポンズのコンサートは6月18日(日)に都筑公会堂で開催されますね。ずばり、今年のコンサートの見所は?

 

ケロちゃん: 今年は新作のダンスを披露します! こどもたちと一緒に踊りたいと思ってつくった新しいダンスです。ぜひ、一緒に楽しみましょう!

 

 

●お母さんも「そのままでいい」

今年のこどもみらいフェスティバルでは二人のどんなステージを見られうのか、いまから楽しみだ(写真提供:カエルちゃんオフィス)

今年のこどもみらいフェスティバルでは二人のどんなステージを見られうのか、いまから楽しみだ(写真提供:カエルちゃんオフィス)

 

キタハラ: ケロちゃん、ポンちゃんとお話をしていると、たくさん笑いながらもとってもやさしい気持ちになれて、私も、こどもも、そのままでいいんだと思えてきます。でも、今のこどもと母親を取り巻く環境を思うと、なかなか世間の風は厳しいですよね。

 

ケロ: 今はお母さん、こどもにとって、生きにくい時代だというのは、確かに言えると思います。昔はおじいちゃんおばあちゃんと一緒に住んで、隣近所も長屋のようで、地域が大家族みたいな関係だったけれども、今は母親が一人で抱え込んでいて「助けて」を言えない、しんどい時代だと思う。社会全体に「ヘルプミー」って言いにくい雰囲気があるよね。

 

ポン: 私も音楽の仕事をしながらこどもを育てていたのですが、人に頼らず、なるべく自分でがんばろうという気持ちがありました。仕事があってこどもをお迎えに行けなくて近所の友人に頼むのが、とても心苦しかったんです。こどもを育てにくい時代だからこそ、本当は「助けて」を臆せず言えるようになればいいと思うんだけど。
りんごの木では、実はこどもだけじゃなくて、大人に対しても「そのままで、それぞれで、いいんだ」というメッセージを発していて、私自身もそれに助けられたし、そんな人はとても多いと思います。そして、その空気感がどんどん横浜のあちこちに広がってきているように感じています。

 

ケロ: やはり、りんごの木は柴田愛子さんの存在が大きいと思います。今ではテレビや雑誌などによく出て有名になっているけれど、まさにテレビに映るあのまんまで、軸がぶれない、愛の人。こどもだけでなく、大人も、保育士も、「そのまんまでいいんだよ」と受け入れられて解放されるから、みんなが自分のまんまやりたいことに向けて発信して、アメーバのように広がっているのを感じます。例えば、ウェブマガジン「こどもうちゅう」を始めた青くん(りんごの木の保育士の青山誠さん。近日、インタビューを公開予定)なんて、若い人たちも負けていられないぞ! と、がんばっている。自分たちで新しい保育をつくり出していこうという動きがある。それが、すごくいい。

 

ポン: 「森ノオト」もある意味では、母親同士が「自分自身」でつながる場ですよね。そういうことがお母さんにとっての一番の栄養になると思います。私自身、「助けて!」を言えるようになるまでが、すごく辛くて、「もう、できない! 頼むしかない!」と言い始めた時に、とても解放されたんです。困った時に助け合える人間関係が地域で育まれているのが、とても幸せですよね。

 

ケロ: りんごの木や森ノオト、そしてこどもみらいフェスのような場がもっとたくさんあって、愛子さんのように困った時に話を聞いてくれる、そのまんまを受け入れてくれる人がいるだけで、いいんだよね。

 

ポン: そういう意味では、横浜はとてもひらかれていて、恵まれていると思います。こどもみらいフェスティバルでこどもたちが自由に遊んでいるのを、そこに居合わせたお父さんお母さんたちがおしゃべりしながら見守っていて。こどもたちをみんなで見合う、ああいう空気感の場所が日常にあるといいな思います。

 

ケロ: こどもみらいフェスがあそこまで成功しているのは、お父さんパワーも大きいですね。地域の大人たちの関係が希薄になっているなかで、お父さんたちがああいう形でつながって仲良くなり、力を発揮する。一度それを体験できれば、違う形で広がっていく可能性がありますね。

 

キタハラ: 最後に、森ノオトの読者にメッセージをお願いします。

 

ケロ: りんごの木しかり、森ノオトもしかり、自分にとって居心地の良い、空気の合う居場所を探しに行けば、横浜ならば見つけやすいと思います。何事も一人で抱え込まずに、一歩踏み出してみてください!

 

ポン: 私も横浜で子育てをしていましたが、とても子育てしやすい地域だと思います。横浜はとてもグローバルで開かれていて、たくさんの選択肢があるし、お母さんたちもよく考えて選べる環境にあります。こどもの環境をよりよくしていこうという新しい動きもあるし、ぜひ、自分の肌に合うところを見つけて、こどもと毎日をとことん楽しんで過ごしてほしいです。

 

キタハラ: ありがとうございました。6月18日のコンサートには、私も娘たちを連れて行きます。楽しみにしています!

 

【キタハラ’s eye】
1歳8カ月の次女にとってのスーパースター・ケロポンズへのインタビューは、まるで昔からの友人のように打ち解けて、リラックスして楽しくお話をうかがうことができました。こどもみらいフェスの実行委員で、りんごの木でポンちゃんのママ友でもある森ノオトのリポーター・おくむらさちこさん存在も大きいのですが、私自身はまさか「りんごの木」と「森ノオト」に共通点があるなんて、思いもしませんでした。ケロちゃんポンちゃんが話のなかで何度も言っていた「こどもも大人もそのまんまでいい」。実は森ノオトで意識しているのは、「お母さん自身の好きなこと、得意なことでつながる」こと。母親としてではなく、その人自身を発揮できる場にしたいという私の思いを、ケロちゃんポンちゃんはとても深く理解してくださっていたことに、癒される思いでした。
知的でやさしく美しい言葉を使うケロちゃん、お肌がツヤツヤで明るくまんまるいポンちゃんとお話して、大人としての二人の大ファンになりました。私も、私自身のそのまんまで「とことんやりきる」爽快感をもって過ごしたいと思いました!

取材の最後に、ケロポンズのお二人に囲まれ、はい、チーズ。インタビュー中は皆、終始笑顔で、穏やかな時間が流れた。取材場所はたまプラーザの3丁目カフェ

取材の最後に、ケロポンズのお二人に囲まれ、はい、チーズ。インタビュー中は皆、終始笑顔で、穏やかな時間が流れた。取材場所はたまプラーザの3丁目カフェ

 

 

プロフィール

乳幼児に絶大な人気を誇る、ケロポンズの増田裕子さん・平田明子さんインタビュー

ケロポンズ
1999年結成、増田裕子と平田明子からなるミュージック・ユニット。あそびうたや体操の作詞、作曲、振付を手掛ける。
あそびうた、体操、歌とストーリーが一体となったミュージックパネル等で構成される親子コンサートや、保育士・幼稚園の先生を対象とした保育セミナーを全国で行う。
育児雑誌や保育雑誌にこどもとのふれあい遊びや体操の紹介記事を執筆、楽曲・振付の提供、絵本の創作等も行う。CD・DVD・書籍・雑誌等に収録される、作詞・作曲を手掛けた歌やあそびうた・考案したあそびは1000作品を超える。代表作「エビカニクス」のYouTube動画再生回数は2015年9月に1,000万回を突破。
2008年よりNHK「おかあさんといっしょ」に楽曲提供、2009年よりBS日テレ「それいけ!アンパンマンくらぶ」に出演、2013-14年くまモンに楽曲・振付提供、2013年より3年連続でフジロックフェスティバルに出演。2009年よりオリジナルあそびうたの日本一を決定するA1あそびうたグランプリの審査員を務める。
オフィシャルサイト
http://kaeruchan.net

ライター紹介

北原 まどか

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山形出身で月山から名前を受ける。2004年より青葉台暮らし。地域新聞記者・エコ住宅雑誌の編集部を経てフリーに。地球温暖化対策専門メディアの取材班、生協の広報、地域情報雑誌の編集など、暮らし・食・子育て・地球環境・エネルギーをテーマに執筆活動を行う。2009年に長女を出産後、地域で仕事をつくり、つなごう!と、『森ノオト』をスタート。3.11を機に足下からのエネルギーシフトを目指す市民団体「あざみ野ぶんぶんプロジェクト」を立ち上げ、活動は市民電力会社「たまプラーザ電力」へと続く。著書に『暮らし目線のエネルギーシフト』(コモンズ刊・2012年)がある。  ■オフィシャルサイト「http://tecology.strikingly.com

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