今、農的な暮らしを取り入れることが最先端カルチャーの一つとして受け入れられつつあります。たとえば流行の先進地表参道では、ファッションビル前で定期的にファーマーズマーケットが開催されており、毎回大盛況だとのこと。
同じような催しが近くでもないかと思っていたところ、ありました。都筑区、仲町台のせせらぎ公園内古民家前で、毎月1回「横浜ベジタブルマーケット」が開催されています。
キタハラが訪れたのは2月1日、まだ手がかじかむ寒さでしたが、会場に着くや否や「あつあつの焼き芋だよ! サービスサービス」と、元気のいいおじさんに焼き芋をいただきました。外側はこんがり、割ると黄金色のほくほくしたおいもが湯気を立て、ほっくり心まであったかくなりました。
お店を出していたのは、地元都筑の農家を始め、地域作業所のクッキー、三浦半島から国産ザーサイを携えてやってきた農家、群馬からごぼうやこんにゃくなど、新潟は十日町の池谷・入山地区からは漬け物やお酒、お米、そしてほんものの雪など。
また、ベジタブル&フルーツマイスター協会の野菜のソムリエらによる料理のデモンストレーションも行われ、主婦層の関心を集めていました。
「日本の農的環境」の縮図がせせらぎ公園の中で垣間見ることができます。
横浜ベジタブルマーケットの仕掛け人、新横浜でフランス料理店「HANZOYA」を営む加藤英二さんにお話をうかがいました。
加藤さんはこれまで、よい食材を求めて日本全国の産地を巡り、そこで「地方には元気な食材がたくさんある」と気づいたそうです。
一方で、形や色が不揃いな野菜は「規格外品」として廃棄されている現状に疑問を持つように。その割合は、生産の40%にも上るといいます。
「捨てる40%を売れば農家は元気になるのでは?」
そう考えた加藤さんは、つきあいのある農家や農業指導者らとともに昨年5月、「横浜ベジタブルマーケット」を立ち上げました。
「僕は地産地消をやりたいわけじゃない。もう少し大きな目で見て、国産国消なんです。今、日本の食糧自給率は40%しかなく、これでは他国に命を握られているといっても過言ではない。横浜のような大都市では、来産地消で、地方に財をもたらすことを考えてもいいのでは」
と、加藤さんは語ります。
また、「日本の農家はとてもハイレベル。直接お客さんに作物のことを語り、手応えを感じてほしい。そうすれば、エネルギーを得られて、それが力に変わり、みんなが元気になる」とも。
そのため、参加農家を都筑や横浜に限定せず、全国の縁ある農家を積極的に招き入れているそうです。こうした機会が縁で、新潟の池谷町に移住して新規就農を希望する青年がでてきたそうです。限界集落に新しい風が吹き込まれるわけです。
新潟の池谷・入山地区で農業研修を行っている日本農業実践学園の籾山旭太さんは、「農業で食べていく仕組みをつくるために、お米の直販や特産物づくりに取り組んでいる。Y150(横浜開国博)で横浜とのつながりができ、こうして直接お客さんの顔を見て販売できることで、時代のニーズを農家に直接感じてもらえる」と、横浜ベジタブルマーケットが地方にもたらす可能性に言及します。
会場となった古民家の前では、試食で野菜のおいしさに感動した人が農家に感想を直接伝えたり、野菜の調理法を訪ねたり、赤ちゃんがよちよち歩く様子にお年寄りが声をかけたり、小さな交流の輪があちこちでみられました。
野菜やお米をきっかけに、都市の食卓が豊かになり、日本の農村が元気になる。そんな壮大な夢の一歩が、ここから着実に進んでいるのを感じました。
次回の横浜ベジタブルマーケットは3月1日(月)9:00~。
場所は同じく、仲町台のせせらぎ公園内古民家前で開催されます。
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