寺家ふるさと村に最近、話題のスポットがあります。竹林の下でポニーがのんびりと草を食んでいて、その横では茶色い柴犬が「ワンワン」と元気に鳴いています。ウッドデッキにはテーブルと椅子があり、地元の人が何やらのどかに話をしていて、時折、ポニーに会いにきた子どもたちがそこに交じります。
秘密基地とも呼べそうなワクワクした雰囲気のここ「グリーンピース」は、「無添加住宅」のショールームなのです。グリーンピースを運営するのは鴨志田の建設会社「工作室グリーン」の石井俊博さん。長年、ゼネコンの下請け会社として建設工事に携わっていましたが、昨年、人生が一変する出来事がありました。
「私は子どもたちの未来に、何を残せるのだろう?」
漠然と考えていた石井さんが「無添加住宅」と出合ったのは昨年12月のこと。「無添加住宅」とは、壁は漆喰塗り、断熱材には炭化コルク、樺や松など無垢の床材、接着剤を使わずに天然の米糊やにかわを用いるなど、従来の建材ではない家づくりを規格化した住宅で、石井さんはその考えに衝撃を受け、自然循環型のリフォーム事業に大きく舵をとることを決意したのです。
そこからの行動が早かった石井さん。寺家ふるさと村の地主から土地と納屋を借り、早速リフォームに着手。室内は無添加住宅のショールームとして天然の建材を肌で感じられるよう配慮しつつ、石井さんが出会ったペレットストーブ(間伐材のチップなどを燃料とするストーブ)や、地元のものづくり作家の作品を展示するスペースを設けています。
屋外には鶏小屋、ポニーの小屋、おがくずを入れるストックヤードや、寺家ふるさと村で有機栽培に挑戦している中沢敏さんの野菜の販売スペースを設けています。ショールームと屋外をつなぐウッドデッキは広々ととっていて、そこでは木工のワークショップや、竹細工などのイベントを開催することもあるそうです。
なぜ、リフォームのショールームで動物を飼ったり、野菜を売ったりしているのでしょうか。
「自然循環が目で見てわかるような場所にしたかった」
と石井さん。鶏小屋に敷いてあるおがくずは、寺家ふるさと村の木工作家が提供してくれる。鶏はおがくずの上に糞をして、それを完熟させれば極上の堆肥になる。その堆肥を農家に渡して、その土で育った有機栽培の野菜が私たちの食卓に上る……。このような「命の循環」を子どもたちに伝えていく場にしたい、という石井さんの願いが込められているのです。
いずれはペレット加工機を導入して、折れたバットや落ち葉、割り箸などを地域から集めて、ペレットストーブの燃料も自前でつくりたい、と、石井さんの夢は広がるばかり。
最近では、手鞠と折り鶴をつくる折り紙サークルの方々や、寺家ふるさと村の木工家、ステンドグラス作家や、お団子をつくって販売する女性などがこの「自然基地」に集まるようになり、紹介や口コミでグリーンピースを訪れる人も増えてきました。もちろん、ポニー目当ての子どもたちも。
自然循環が見える自然基地は、もしかしたら「人と人の循環」をも提供する場になるのかもしれません。グリーンピースが今後、どんな場所に成長していくのか、楽しみでなりません。
キタハラ’s eye
石井さんに初めてお会いしたのは今年の3月。ちょうどショールーム「グリーンピース」建設中で、お忙しいなか熱心に自然循環の構想を語ってくれました。それから半年。目を見張るほどのスピードで夢を実現している石井さん。「有言実行」の石井さんが今後、どんなことを成し遂げていくのか、そして突っ込みどころ満載のダジャレがどれだけ増えていくのか(?)、とても楽しみです。
グリーンピース
住所:神奈川県横浜市青葉区寺家町633
TEL:045-508-9214
OPEN:10:00〜18:00
定休:水曜
駐車場:あり
アクセス:東急田園都市青葉台駅よりバス「鴨志田団地」行き、終点鴨志田団地バス停下車徒歩10分
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