荏田北在住の鈴木鉄平。鴨志田在住の山代徹。ともに31歳。高校の同級生だった2人が今こうして地元をベースに自然農法の野菜の引き売りを始めているのだから、人生はとても面白いもの。
2人がイベントでの移動販売と野菜の宅配を中心に、レシピ提案や生産者のネットワークづくりを行う「青果ミコト屋」をスタートさせたのは今年1月のこと。千葉県や関東近郊、そして地元の自然栽培にこだわる生産者から集めた野菜を、1セット2800円(Mサイズ。Lサイズは3500円)のボックスに詰めて、直接家まで届けてくれます(遠方は宅配便利用)。箱には色とりどりの旬野菜のほか、その週ごとの「ミコト屋レシピ」や野菜の保存法などの読み物が。野菜をおいしく食べきるアイデアや、生産者からのメッセージが詰まっていて、野菜は一つのメディアなんだなあ、と思えてきます。
扱う野菜は自然栽培のものが中心です。自然栽培とは、農薬や化学肥料はもちろん、有機肥料も含めて外部から畑に何らかの影響を及ぼす素材を持ち込まず、大自然の恵みをそのまま生かしていく農法だと、鉄平さんは説明します。でも、「ミコト屋では自然栽培の野菜を中心に扱いますが、栽培方法のみにとらわれることなく、つくり手の思いを大切にしながら野菜をセレクトしていきたい」とのこと。
今はオーガニック野菜の宅配などは割とどこにでもあり、関心の高い人たちはすでに取り入れているのでは……と、いじわるな質問を。
「今までのオーガニックって、どうしても裕福な人たちがお金を出して買う、というイメージが強かった。でも、ミコト屋では、ボクたちのように若く貧しい世代でも、誰もが自然栽培の野菜を気軽に買えるようにしたいんです」と、鉄平さん。
ミコト屋がカジュアルなロゴやパンフレットを用い、野菜を通じた様々なメッセージを発信しているのはそのため。若い世代の感性に引っかかるような、楽しいアイデアが次々と浮かんでくるそうです。
2人は田園都市が誇るオーガニック業界のスーパースター、ナチュラルハーモニー代表の河名秀郎氏のもとで1年間研修を積みました。そこで自然栽培の野菜の流通や販売について学び、その後、鉄平さんは房総にあるブラウンズフィールドでマクロビオティック料理家・中島デコ氏のもとに住み込み畑を担当。徹さんは経営のノウハウを積むための修業に入りました。2人が歩んできた道のりが交錯し、今に至ります。
そして、何より地元への思いが強いのがミコト屋の特徴。徹さんは「僕は寺家ふるさと村近くで育っています。この豊かな環境に生まれたという意味がきっとあるはず。僕たちは自分たちが生産者になるのではなく、流通という道を選んだ。青葉区から新しいカルチャーを発信したい」と語ります。
ミコト屋の由来は、「3つのマコト」から。一つ、意志。一つ、言葉。一つ、行動。この3つがそろっていることを「見事」といい、3つともなっていないことを「みっともない」というのだそうです。「見事を目指していこう」……。2人の挑戦は始まったばかりです。
青果ミコト屋
事務所住所:横浜市青葉区荏田北2-11-72
TEL&FAX :045-777-0558:
販売:森ノオトエリアは戸別に宅配可能。5月からは月4回コース、月2回コース、月1回コースが選べるようになる。詳しくはお問い合わせを。
HP:http://www.micotoya.com
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