コンコンコン……里山に響く金槌の音。椎茸菌打ち体験。
水温み土が起き始めた里山の3月。少しずつ日が高くなってきた3月下旬、どんぐり農園で椎茸の菌打ち体験が行われました。
原木椎茸ってどうやってできるの? この菌打ち体験は、身近な食材であるきのこについて知るいいきっかけになりました。

 

一般に売られている椎茸は、広葉樹のおがくずと栄養源、水を混ぜて固めた培地に椎茸の菌を植え、室内で培養する「菌床栽培」が主流です。6カ月ほどの培養期間を経て大量に収穫できるメリットがあります。

一方、どんぐり農園の椎茸は「原木栽培」といって、広葉樹の「ほだ木」にドリルで穴をあけ、菌が回っている小さな木のダボをほだ木に打ち込み、約1年かけて日陰でじっくり培養します。農に学ぶ。の木村広夫さんによると、「太いほだ木の場合、菌が木全体に回るまで2、3年かかることもあります。菌が木全体に回ったら、長いもので7年くらい収穫し続けることができるんですよ」とのこと。今回みんなが菌を打ったほだ木は、約1年間培養、来年の春から1年くらいは椎茸を収穫できるそうえす。

 

 

瓶の中に入っているのが椎茸の菌です。中にふわふわとした培地があり、小さな木のビスのようなものに菌がたっぷり詰まっていて、それをほだ木に打ち込みます。

どんぐり農園の椎茸のほだ木は、冬の間に山を手入れし、間伐した広葉樹を玉切りにしてつくっています。寺家の谷戸の木で椎茸をつくる。間伐材もムダにしません。

 

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ドリルで穴を開けたほだ木に、1つ1つ菌を打ち込みます。金槌でトントントン……。早春の里山に乾いた音が鳴り響きます。

 

 

椎茸の菌打ちは小さな子でも参加できるのが魅力ですね。皆思い思いに楽しんでいました。2歳の娘に、「この木からきのこが生えてくるんだよ」と話したら、「やったー! きのこシュキー」と言って、夢中で菌を打っていました。

 

東日本大震災と原発事故で皆が不安になるなか、里山の深い懐は私たちをやさしく包んでくれました。いつものように季節は巡り、白鷺が羽根を休め、畦にはたんぽぽやオオイヌノフグリ。少女たちは花を摘み、お母さんたちはセリを摘んで今夜のおかずに。

自然は何にも代え難い癒し。改めて、近所にこの豊かな里山がある奇跡と、農を通じて里山を守ってくれている人々の日々の働きに感謝しています。

 

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この記事を書いた人
北原まどか理事長/ローカルメディアデザイン事業部マネージャー/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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