在来作物が農を地域をよみがえらせる!映画『よみがえりのレシピ』10/20より渋谷で上映!
森ノオトエリアでは、在来作物や固定種を大切に、自分で種をとり農作物を育む自然栽培・有機栽培の農家が日々いのちの作物をつないでいます。私たちと身近な食、そして種。地域の風土と歴史、食文化を伝える人々を描いた山形発のドキュメンタリー映画『よみがえりのレシピ』が、いよいよ来週10月20日(土)から東京・渋谷のユーロスペースで上映されます!

普段、皆さんはどんな食べ物を食べていますか? 健康や食の安全に気を使って、有機野菜やオーガニックの加工品を買ってきたり、地元の農家や直売所から新鮮な野菜を手に入れる人も増えています。それでは、その野菜の種はどんなもの? ……種まで考えて買い物をする人は、まだ意外と少ないかもしれません。

いま世の中で売られている野菜は、F1(一代交配種)といって、均一で美しく大きな野菜をたくさん育てるために優性交配された種からできていることが多く、品種改良されているため、翌年F1作物の種をまいても育ちません。農家は毎年種苗会社から種を買ってまき育てています(F1種は育てやすく収量も多いので、農家にとっては栽培計画を立てやすく、品種改良を一概に否定するものではありません)。

 

(映画よみがえりのレシピ公式HPより)

 

一方、昔はそれぞれの地域の気候風土にあった在来の作物が全国各地でつくられていました。在来作物と呼ばれるこれらの作物は、個性的な色や形をしており、決して育てやすいとは言えず、種とりの手間もあって市場から淘汰されてきた野菜たちです。ただ、厳しい気候風土のなかで残ってきた野菜なので、病害虫に強く、農薬に頼らずとも育つことができるものが多いのです。

山形県は京都と並んで在来作物の種が多く現存している地域で、だだちゃ豆や民田ナスなど知られているだけでも160種、現在なお古い種があちこちの農家の倉庫から見つかっているそうです。

 

江頭宏昌山形大学農学部准教授(映画よみがえりのレシピ公式HPより)

 

この映画『よみがえりのレシピ』は、山形県で在来種の作物を残し伝える農家の暮らしを追い、世界的に有名なイタリアンシェフ・奥田政行氏による独創的な料理の表現、山形大学農学部准教授の江頭宏昌先生による学術的かつ芸術的な解説で、在来作物の過去・現在・未来をつないでいます。

 

奥田政行シェフ(映画よみがえりのレシピ公式HPより)

 

奥田シェフは山形県鶴岡市で在来作物を使ったイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ(庄内弁で、そんな店「あったけのう」という意味)」のオーナーシェフで、スローフードの本場・イタリアのスローフード協会国際本部により「世界の料理人1000人」に選出され、今年は世界の要人が集まるダボス会議のジャパン・ナイトで料理を手がけ、さらにはローマ法王に謁見し日本の食材をアピールするなど、山形から日本、そして世界を股にかけ活躍しています。

実はキタハラは、映画に登場する奥田シェフや江頭先生とは10年来の付き合いで、30代の渡辺智史監督とも同郷ということもあり懇意にしています。10年前に庄内の食を取材して以来、生まれ故郷でもある山形県は庄内地方の豊かな風土と食、人々に魅せられ、年に何度も通っています。

 

121012yomi05.jpg:(映画よみがえりのレシピ公式HPより)

 

そして、在来種から地域の食文化を掘り起こし、地域のレストランから地域の農家を元気にしていくという庄内の動きは、全国どこの地域でも抱える共通の課題を解決するヒントになるかもしれない、と、森ノオトエリアの「種を守りつなぐ」さまざまな人たちを取材して歩いています。

 

ナチュラーレ・ボーノのスタッフの皆さんと一緒に、東京・銀座の「ヤマガタ・サンダンデロ」に食事に行きました。奥田シェフと渡辺監督を囲んで

 

キタハラが「おらが街のアル・ケッチァーノ」と呼ぶ、藤が丘のイタリアンの名店「ナチュラーレ・ボーノ」は、地元農家としっかり結びつき、年間300種もの横浜野菜を取り入れ、野菜をメディアに幸せの食卓を提供しています。

NPO法人農に学ぶ環境教育ネットワークの木村広夫さんは、在来種に近い品種である「栄光」を始め、自ら種をとりながら作物をつくり続けています。

森ノオトのリポーターでもある小池一美さんは、神奈川県の在来種である津久井在来という大豆を使った味噌づくりに参加したり、小池さんと一緒に取材した農家、草の畑の川口俊一さんや、徳江農園の徳江ご兄弟も、固定種の種を手に入れ育てています。はやし農園の林英史さんも、横浜北部に伝わる太白芋で「昔なつかしいおやつ」とも言える干し芋をつくるなど、在来種と食文化に気持ちを向けている人が何人もいます。

森の扉の野原さんや、青果ミコト屋で扱う野菜も、固定種・在来種の自然栽培・有機栽培に特化しています。男子料理ユニットつむぎやのお二人も、全国各地の郷土料理とのコラボをしていきたいというビジョンを持っています。

野菜から、種から、食を、農を、地域を、元気にしていきたい。よみがえらせたい……。この映画は、グローバリゼーションによる食支配に対して声高に反対を訴えるのではなく、静かに美しい人の営み、地域の歴史や風土、文化を通して、私たちが本当に大切にしたい食のあり方をそっと示しています。

キタハラはこの映画を、ぜひ、横浜は青葉区で上映し、地域の農の活性化と食と文化の再発見、再構築につなげていきたい、と夢を持っています。その前に、ぜひ、渋谷に足を運び、その世界を共有していただければ……。「在来再作物はローカルフードの未来を拓く」(渡辺監督)、そんなメッセージが伝わる映画です!

 

映画よみがえりのレシピ記者会見で。左から渡辺智史監督、奥田政行シェフ、中沢新一明治大学特任教授、野生の科学研究所所長

Information

『よみがえりのレシピ』

監督:渡辺智史

2011年/日本/95分/HD/カラー

公式サイト

http://y-recipe.net

予告編

http://y-recipe.net/trailer/

【ユーロスペース】

住所 渋谷区円山町1‐5 KINOHAUS 3F(劇場)

渋谷・文化村前交差点左折

電話番号 03-3461-0211

http://www.eurospace.co.jp/

【上映時間】

2012年10月20日(土)〜10月26日(金) 10:00/12:00

2012年10月27日(土)〜11月9日(金)  10:00/12:00/14:00

2012年11月10日(土)〜11月16日(金) 10:00

2012年11月17日(土)以降の上映時間に関しては劇場までお問い合わせ下さい

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この記事を書いた人
北原まどか理事長/ローカルメディアデザイン事業部マネージャー/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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