8月9日、この日の青葉台は朝から灼熱、まるで蒸し風呂の中にいるようでした。青果ミコト屋の鉄平くんがキャンピングカーで迎えにきて、大きな荷物と一緒にガタゴト揺られて3時間。道志村もまた暑かったけれども、川から森から涼やかな風が流れ、清々しい空気に満ちあふれていました。
Vege&Fork Marketと言えば、2010年秋に麻生区柿生でスタートして以来、求心力を増し、多くの人々を魅了しているオーガニックマーケット。森ノオトとも関係が深く、この日も、いつも会う仲間とハグ。そして、初めて会う方々ともすぐに親しく交わることができるのは、「Vege」という共通のファッションを身にまとっているからでしょうか。
Vege&Fork Marketの戸田耕一郎さんがこのキャンプの総合プロデューサー。彼のビジョン、イメージをスタッフが汲み取り、緻密に舞台をつくり上げていきます。キャンプのキッチンにはスパイスやハーブが美しくディスプレイされ、バーカウンターには色とりどりの酵素ジュースにアルコール! サイトにはカラフルなフラッグにハンモック、それぞれのテントはおもちゃや絵本でデコレート……。
ベジな人たちはオシャレだ!!! そう叫びたくなるほど。
料理家・FIKAの戸田希さんとkinacoさんが料理部を担当。肉、卵、乳製品、砂糖を使わないマクロビオティックをベースとした食事は、食の常識をくつがえすほどのボリューム感と色彩。野菜、果物の色や形を最大限に引き出し、一つひとつが絵画のように美しく、そしてアヴァンギャルドなのは料理人の感性ゆえ!?
キャンプと言えば、肉でしょー、バーベキューでしょー! というセオリーから脱皮すると、メニューも、食べ方も、こんなにもクリエイティブな世界が広がります。
朝はちょっと早起きして、森の中でヨガ。キャンプのメンバーでもあるヨガインストラクターのハルさんのたおやかな声が響き、ペアをつくってポーズをとります。
お互いの息づかいを感じ、大地の鼓動や鳥のさえずり、そして森の懐を感じながら深く呼吸をしていくと……何と言えばいいのか、その場にいるすべての生き物と交わるような、とてもなまめかしい不思議な体験でした。
ヨガを終えた後は、そこにいる仲間とより深く知り合えたような気がします。
Vege&Fork CAMPINGの3日間は、横浜では猛暑日を記録し、全国的にひどい暑さだったと聞きます。でも、こちらでは汗をかいたら川遊びをしてクールダウン。自然のクーラーの中で、木々に生み出されたばかりのフレッシュな酸素をたくさん吸って、細胞まで生まれ変わったような気分に。
そう、道志村と言えば、我らが横浜市の水源で、森ノオトでも2012年の9月に「木こりガール」として間伐体験に行きました。今回は難しい話を抜きに、すいか割り、花火、たき火など、キャンプの定番を味わい尽くし、オールベジ料理を堪能し、自然を満喫した3日間。
「あえてスケジュールは組みませんでした。それぞれの時間と過ごし方を楽しみながら、料理だけは同じ食卓を囲めればいいなと思って」
主催者の戸田さんはこう話します。
あらかじめ決められたアクティビティは何もなし、それでもほとんどの時間を皆が一緒に過ごしたのは、「食」が中心にあるキャンプだったからじゃないでしょうか。
出来合いのものは何一つなく、すべての料理もソースも、素材から手間ひまかけてつくる。料理部の2人のもとには常に人が集まり、野菜の皮をむいたり、切ったりして。私の娘も、生のトウモロコシにかぶりつきで、お手伝いを精一杯楽しんでいました。
キャンプの概念を覆すような、見事な舞台のセッティングとホスピタリティ、圧倒的な料理のクオリティ……。
「非日常」の美しい仕掛けの中から、そのエッセンスを少しでも「日常」に取り入れることができれば、QOL (Quolity of Life)は確実に向上するだろうな、と感じました。
それが、暮らしの満足につながるし、社会ビジョンと自分の暮らしの隔たりを縮めていくヒントになる。わたしにとって、ある意味、生き方を学んだとも言えるキャンプでした。
今後もどんな伝説をつくり上げ、レベルアップしていくのか、これからも目が離せないVege&Fork スタイルです!
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