2013年10月4日(金)、山内地区センターで開催した「あおばECOアカデミー」は第5回目を迎えました。受付の松岡美和さんと1歳9ヵ月のお嬢さんは「こんにちは!」「お久しぶりです」と、森ノオトの看板母娘に。6月に第1回目を開催して以来、常連の森ノオトリポーターや、地域活動の先輩のおじさま・おばさま方、環境に関わるビジネスをしている方々などが、すっかり顔なじみになりました。
今回のテーマは「私たちの暮らし、地球何個分?」。グリーン購入ネットワークの名誉会長や横浜市地球温暖化対策地域協議会会長などを歴任し、持続可能な消費をリードする東京都市大学環境情報学部教授の中原秀樹先生を講師にお招きしました。
「ゴミとは一体なんなのか? 行くべきところに行かなかった必要な資源のことです。それを、ゴミになる前にもう一度資源に戻しましょうというのが、持続可能な消費なのです」
中原先生の話を聞き、森ノオトでよく使う「もったいない」というキーワードが思い浮かびました。「もったいない」と言ってものを大切にし、繰り返し大切に使い、最後は資源にしてまた循環する、そんな生き様は、いまどこにあるのでしょうか。
「消費者とは何か? to drink up, to eat up, to use up……資源を飲み尽くし、食べ尽くし、使い尽くす……そうして環境を壊していくデストロイヤーのことです」
またまた、グサッ。中原先生は畳み掛けるように、温暖化が原因で被害が甚大になってきている自然災害の画像を流しました。例えば津波、水害。地震や津波は一見温暖化とは関係がなさそうですが、温暖化による氷床の融解と海面上昇で、津波の潮高が変わっているとしたら……。背筋がツーッと寒くなっていったのを感じました。
そして、中原先生に投げかけられた究極の問い。「お金が増えて幸せになったのか?」
モノを買うのと同時に、時間を買っているわたしたち。同じ家に暮らしながらモノに囲まれ会話もしない家族。「食べ過ぎではないか? 飲み過ぎではないか? 使い過ぎでは……。ほどほどに飲み、食べ、使う方が幸せではないでしょうか。五感を動かすことで消費の新しい基準を考えていけたらいいですね」
そう締めくくられた1時間の講義はあっという間で、いままで自分が考えていた温暖化や資源の問題について伝える、「すとんと腑に落ちる」言葉が見つかったような気がしました。
さて、中原先生の話を受けてワークショップに移ります。今回も男女比は半々くらい。赤ちゃん連れの女性、子育て世代の女性、働き盛りの男性、地域活動の先輩の女性、プラチナ世代の男性で、「はじめまして」の人も何人かいらっしゃいました。ワークショップに慣れている人、そうでない人が入り交じるなかで、ほっと一服のお茶が空気を和らげてくれます。
ワークショップのお題は「森ノオトマルシェのエコラベルをつくろう!」。短い時間で知恵を出し合い、一つのマークをつくるなんて……。「えーっ」という声が出るのもつかの間、各グループで議論が白熱し始めました。
いよいよ、森ノオトオリジナルラベルの発表です!
まず、おじさまたちが多かったグループでは、日々の買い物の基準にいかに「エコ」を組み込んでいくのかにポイントがしぼられました。「これまで買い物する時の判断基準は、まずは価格だからなあ」という話すおじさま方が多いなか、森ノオトで生ゴミの資源化を繰り返しレポートしている高橋陽子さんが議論をリードし、消費期限や賞味期限前に捨てられる食べ物=フードロスに着目。売れ残ったらゴミとして捨てられる食べ物を、ありがたく食べきることでゴミを減らす行為にポイントを付与する「MOTTAINAIポイント制度」を提案しました。スーパーで閉店間際に値引きになるものに対しても「MOTTAINAI」を表示することで、環境負荷軽減をPRできるという視点は、普遍性がありますね。
ナチュラル&ハーモニック プランツで働いた経験もあり、筋金入りのエコ生活実践者の持田三貴子さんや、オーガニックコットンのブランドとして18年間、原料だけでなく製造工程までノーケミカルをつらぬくメイド・イン・アースの前田剛さんなど、実生活でもビジネスでもエコの最先端を走るメンバーが集まったグループでは、早くからたくさんのキーワードが並びました。安全性、環境、子ども・女性、国産・地産地消などに分類されたたくさんのふせんの一つひとつは、どれも外せない大切な要素ばかり。盛り上がった議論から生まれた環境ラベルは、ハートが循環する矢印の中に「HODOHODO」と書かれたシンプルなマークでした。中原先生の講義の最後にあった「五感で味わう、ほどほどの消費」に、ハートのマークでものづくりに対する物語性まで感じられる、なかなかのマーク出来映えでした。
最後に発表したのは、女性が5人集まったグループ。デザイナーがいることもあり、しろくまの絵など可愛らしい下書きが描かれているのは見ましたが……。最終的には、それぞれが日々、何を基準に買い物をしているのかを示したN(=Natural、天然素材)、F(=Fair Trade、搾取なき公平な取引)、O(=Organic、無農薬・無化学肥料でつくられちえるもの)、V(=Value、品質のよさ)、R(=Radiation、放射性物質検査)などが円状に描かれ、それぞれの達成度合いが中央の円に示されるというものでした。日頃、多方面にアンテナを張り、買い物をしている女性たちのリアルな考えがわかりますね。中原先生からは「極めて合理的なマークですね。ミシュランの★ではないが、非常にわかりやすいし、できればHealth、健康のHやトレーサビリティ(=Traceability、原料や製造工程の追跡)のTも入れるといいと思います」と講評をいただきました。
参加者一人ひとりが日々の暮らしの中で大切にしていることが垣間みられ、それをみんなで持ち寄り、意見を出し合うと、こんなに面白いアイデアが生まれる。「私たちの未来をつくる井戸端会議」を冠したあおばECOアカデミーは、これからの街づくりの新しいスタイルを目指しています。ここで生まれた数々のアイデアを、いかに形にしていくのか、これから協働できる相手探しが始まります。
まずは、この日生まれた3つの森ノオト流エコラベルを、11月に開催する森ノオトマルシェ(詳細は11月に発表)に採用し、地域のお客様に少しでも「持続可能な消費」の感性を伝えられるよう、表現していきます。
* * *
あおばECOアカデミー、今年度は残り1回を残すのみとなりました。私たちが暮らす街は「横浜市」という行政区域にありますが、もう一つ、「東急田園都市線沿線」という交通インフラから生まれた街にも属していると言えます。いま、たまプラーザで始まっている次世代郊外まちづくりプロジェクトは、地球温暖化と超高齢化社会という二大課題に対して先進的に取り組む「環境モデル都市」のリーディングプロジェクトの一つ。日本の郊外を再構築するフロントランナー・東京急行電鉄(株)都市開発事業本部企画開発部統括部長の東浦亮典さんをゲストにお招きし、私たちの街・青葉区で始まっているたまプラーザの次世代まちづくりプロジェクトについてお話いただきます。
ワークショップはこれまでの総括も兼ねたものを考えています。また、午後の部も部屋を借り、参加者の皆さんでお弁当を囲んでの交流タイムも予定しています。どうぞ皆さん、お楽しみに!
あおばECOアカデミー 私たちの未来をつくる井戸端会議
第5回:2013年11月18日(月) 10:00-12:00
※お弁当を召し上がる方は14:00くらいまで
会場:アートフォーラムあざみ野セミナールーム2・3(横浜市青葉区あざみ野南1-17-3)
※東急田園都市線・横浜市営地下鉄線あざみ野駅徒歩5分
参加費:1000円(森のなかま会員は200円引)
定員:30名
※施設内に1歳半以上の託児あり(別途登録とお申し込みが必要になります。講座当日の4日前の17時まで→アートフォーラムあざみ野「子どもの部屋」)
※本講座は主婦の方をメインターゲットとしておりますので、未就学児のお子さんの同伴可とします。参加者の皆さんのご理解とご協力、温かい目をお願いいたします。
お申し込みは、申し込みフォーム、または森ノオトFacebookページ内のイベントで受け付けます。
氏名・住所・電話番号・E-mail・年齢、お問い合わせ欄に「あおばECOアカデミー 第●回申し込み」(お子様同伴希望の場合はお子様のお名前と月齢)とご記入のうえ、こちらのフォームからお申し込みください。
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