仮設住宅で過ごす「アミマーさん」の作品をたまプラでも! ハートニットプロジェクト
日本全国、世界各国から届いた毛糸を、東日本大震災被災地の方たちに届け、編み物をすることで少しでも心が癒されればとスタートした「ハートニットプロジェクト」。その販売会が「田園アート&ライフマーケット2014」で開催されました。どれも個性的で思わず笑顔があふれる作品ばかり。そこには様々な人の思いが紡がれているのです。

 

なんだかとっても寒い今日この頃、ニットの恋しい季節です。

 

着て良し、飾って良しのニット作品を見ていると、それだけでほっこりしてくる……そんな皆さんにご紹介するのは、身も心も温まる手作りニットにまつわる「ハートニットプロジェクト」。

 

11月27日、28日にたまプラーザテラス・プラザホールby iTSCOMでおこなわれた「田園アート&ライフマーケット2014」の入口の特設スペースには、色とりどりのニットたち! 靴下や帽子、ブローチなど身につけるものだけでなく、可愛いくまさんのマスコットがついたリップケースやペットボトルホルダーなどの雑貨、そしてこの季節に嬉しいクリスマスツリーのオーナメントの一種「クリスマスボール」がところ狭しと並んでいます。

 

販売をおこなっているのは美しが丘カフェの皆さん。美しが丘カフェはたまプラーザにある美しが丘中学校の先生方や保護者、民生委員など地域の方々との学びの場から始まり、2012年から「子育てと家庭と地域をつなぐ」ことを目的に美しが丘カフェと名称変更し、現在は主に美しが丘中学校を拠点にストレッチやダブルダッチ、珈琲の淹れ方講座など、多岐にわたって活動しています。美しが丘カフェの代表であり、ハートニットの製作・販売に関わる「ハートニットプロジェクト」のボランティアでもある関哉子さんにその取り組みについてお話を伺いました。

 

第4回を数えるたまプラーザでの販売会は、美しが丘カフェのみなさんがボランティアで参加。左から林月子さん、宮下亜紀さん、関哉子さん

 

ハートニットプロジェクトのはじまりは、東日本大震災です。

 

その頃、スキーインストラクターとして岩手県のとあるスキー場に入っていた関さんは、震災直後からスキー仲間がボランティアで毛布や石油ストーブを届けに被災地に向っていることを知りました。震災から日が経つにつれ、各地から食べ物が届き、着るものが届き、暖が確保されてくるうちに「次は心の癒しが必要になのでは」と感じたといいます。

 

そこで注目したのが、もともとスキー仲間の間で趣味にしている人が多かった「編み物」。無心に手を動かすこと、そして作品が完成する達成感は、きっと心の癒しになるはず! と、まずは避難所での炊き出しの最中、食事の出来上がりを待つ人に毛糸と編み具を渡すことからスタートしました。すると出来上がる作品のクオリティーの高さに驚き!

 

「この作品を売ることができれば、編んでいる皆さんのちょっとした収入になるのでは?」と思い、商品化へプロジェクトが発展しました。

 

思わず購入! 可愛いくまさんがついたリップケース。一つひとつ顔が違ってどの子にしようか迷ってしまう。南三陸町の西城さんの作品

思わず購入! 可愛いくまさんがついたリップケース。一つひとつ顔が違ってどの子にしようか迷ってしまう。南三陸町の西城さんの作品

 

この活動はどんどん広まります。

 

編み手である「アミマーさん」も山田地区・大槌地区・釜石地区・大船渡地区・陸前高田地区・盛岡地区ほか、内地に移住した方も含め、今では約70名の大所帯に。活動当初は毛糸を口コミで集めていたのが、今では毛糸を生産する会社から寄付を受けたり、国内からだけではなくイタリアやフィンランドなど海外からも届くようになりました。作品のデザインについても、編み物のプロが編み図を考案し、アミマーさんに指導してくれるようになったため、さらに作品のクオリティーが上がっていきました。販売面でも全国各地の被災地支援チャリティーバザーや協力ショップで購入可能となり、ますますハートニットプロジェクトの輪は広がっています。

 

「でも、やっぱり大事なのは、あくまでも心の癒しとして作品づくりをしてもらうこと。アミマーさんに強いることなく自分のペースで楽しく続けてほしい」と語る関さんは、ハートニットプロジェクトで何を大切にしたいかを仲間と一緒に話し合ったと言います。

 

作品が商品化されることでアミマーさんの自立を手助けすることができる一面もありながら、アミマーさんに心を寄せてその時々に必要なサポートをおこなうのがこのプロジェクトの要。人と人とのつながりでプロジェクトが広がっています。プロジェクトに関わるボランティアさんは、少なくとも作品とアミマーさんの調整役、編み図を描き編み方を指導する先生、販売スタッフ、ポスターやチラシのデザイナーと、本当にたくさんの方が関わっています。

 

「被災地のために自分は何ができるか」

 

関さんが見つけた自分らしい被災地支援は、人と人とのつながりを大切にしているからこそ実現できました。だからハートニットは人のぬくもりを感じる、ほっこりと味わい深い作品なのだろうと感じました。

 

ハートニットプロジェクトに心を寄せたノルウェーのニット・デュオ「アルネ&カルロス」の「クリスマスボール」。ひとつあるだけでクリスマスの雰囲気が盛り上がる

 

Information

ハートニットプロジェクト

岩手県盛岡市大通3-11-1旭ビル1Fスポーツデスク内

電話:019-625-1993

HP: http://heart-knit.jp/

活動ブログ :http://sportsdesk-skiclub.dreamlog.jp

全国で販売会をおこなっています。詳細はFacebookページ(ハートニットプロジェクトで検索)かブログをご覧ください。

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