隠れたアウトドアの聖地!?「横浜市くろがね青少年野外活動センター」
石窯でピザが焼ける所がある! と聞き、青葉区鉄町にある「横浜市くろがね青少年野外活動センター」のイベントに家族で参加してきました。青葉区役所からもほど近い、木々が生い茂る中に、その施設はありました。

「横浜市くろがね青少年野外活動センター」、その名前だけを聞くとどんな施設なのかはっきりと分からない方も多いのではないでしょうか。私もその一人。青葉区の広報誌などで目にすることはありましたが、なかなか足を運ぶまではいきませんでした。

しかし、ふとホームページを見てみると……、「アウトドアクラブ」「カヤック」「流しソーメン」「キャンプ」など野外で楽しむイベントが盛りだくさん! ピザづくりは家でも楽しんでいましたが、石釜で焼けるというので、今回は「くろがねキッチン〜PIZZAの時間〜」に参加してきました。

横浜市には、3つの青少年野外活動センターがあり、青葉区鉄町の「横浜市くろがね青少年野外活動センター」は、旧鉄(くろがね)小学校跡地に1982年に開設されました。現在は公益財団法人横浜市体育協会が管理・運営をしており、7名ほどのスタッフと近隣のボランティアの方により維持されています。敷地内には、管理棟・キャンプ広場・野外炊事場・スポーツ広場・冒険広場があり、子どもや大人向けのスポーツ教室(フットサル・ヨガなど)やアウトドア全般の講習会、ファミリーで参加できるイベントなどが毎月開催されています。管理棟の中には宿泊施設もあるというから驚きです。

 

濃い緑で囲まれた広大な施設。この日、キャンプ広場には、数日前に開催されたキャンプイベントで使用したテントが乾かされていた

 

今回の参加者は、未就学児や小学生の親子30名ほど。3班に分かれてピザづくりのスタートです!

 

まずは、スタッフの鈴木亜樹さんがピザ生地づくりのお手本を披露。軽々こねているかのように見えるが、実は相当の力がいる作業。子どもたちも興味津々。鈴木さんはキャンプインストラクターや調理師・栄養士などの資格もあり、イベント時の料理担当として活躍している

 

女の子たちは楽しそうにお喋りをしながらも手を動かし、どんどんと進めていく。小麦粉と水を合わせる工程がピザづくりの一番のポイント

 

捏ねあがったピザ生地の入ったボールは、湯をはった大きなボールの中に浮かべられ、約2倍の大きさになるまで発酵タイム

 

石窯では勢いよく薪が燃えていた。窯の中の温度が高温になるまで薪を燃やし続け、熱風を利用してピザを焼く。この石窯はボランティアの方による手作りとのこと。ここで、肉や魚の塩窯焼きやパン、クッキーなども焼くという

 

生地の発酵を待つ間に、スタッフの谷川浩史さんより薪割りのレクチャーを受ける。子どもと接することが大好きな谷川さんは、学生時代よりこのセンターのスタッフとして活動をしている

 

薪割り、火起こしのコツなどについて丁寧に教えてもらうと、次は子どもと大人で今回使用する薪の薪割りです。スタッフが見守る中、はじめてナタを触る子は、恐る恐る手を動かしながら、慎重に進めていきます。一方で、ある男の子は要領を得たら、リズムよく薪割りをしていました。

 

班ごとに用意された、レンガで組んだ簡易石窯での火起こし。モクモクと出る煙を気にすることなく、大人も子どもも炎にくぎ付け。パチパチと薪のはぜる音は誰もが癒されるもの

 

火が起きた後は、ピザの具材を切り、生地を伸ばして好きなように具をトッピング。順次、窯で焼いていきます。

 

炎の中で焼かれていくピザ。炎の色、薪が燃える香り・音、そして、ピザの表面が次第に焦げていく様を見ているだけで食欲が増していく。数分後には“Myピザ”の完成!

 

 

大人と子どもたちが夢中になってピザづくりを進める中、気がつくとちびっこ2人はあっという間に仲良くなり、いつの間にかレジャーシートで井戸端会議をはじめていた

 

お母さんと参加していた3姉妹。3歳になる子もお姉ちゃんのマネをしながら、一生懸命ピザづくりのお手伝いをしていた。3人で並んで熱々のピザを「いただきまーす」

 

朝から3時間ほどかけての、ピザづくり。小麦粉を捏ね、薪を割り、火を起こし、ようやく出来上がるピザ、食べるのはほんの一瞬です。しかし、お友達やお父さんお母さんと一緒に、手を動かしながらつくった時間と、手間をかけただけの美味しさはきっと子どもたちの記憶に残るものになると思います。それにしても、お父さん含む男子たちは、“炎”の前に集まっていたことが印象的でした。その様子は、まさに「ピザ窯の番人」のように見えました。

 

センターの所長でもある根崎和子さん(右)と草刈中のスタッフ。草刈などのメンテナンスは、スタッフの他に近隣のボランティアの方が、子どもたちが危なくないようにとの配慮で作業をしている

 

施設の奥にある冒険広場には、木製のアスレチックがある。子どもたちに大人気

 

この日、早咲きの桜が咲いていた。スポーツ広場の周囲には大きな桜の樹が植えられており、施設内には小さな草花やたくさんの自然が残されている

 

「近隣に住んでいる方が、『娘の小学校卒業式に、ここで写真を撮ったのよ』と話に来たり、『小学校の時に、このセンターに遊びに来たことがあります』という方が、お子さんを連れてバーベキューに訪れたりすることがあります。昔からここが、地元の方に大切にされている場所なのだと感じています」と根崎さんは話します。

続けて、「私自身、くろがねの自然に触れることで、野外での活動の楽しさを実感しています。ぜひ、この楽しさを皆さんにも分けていきたいと思っています」

根崎さんの言葉の通り、桜の大樹や里山の風景が残る豊かな自然を前に、敷地内に一歩入るとなにか懐かしさのようなものを感じます。こうした恵まれた環境の中で、野外活動のノウハウやヒントなどを教われば、より身近に、気軽に自然を感じることができるのではないかと思いました。

ピザづくりは定期的に開催しており、また夏には毎年大人気の流しソーメンもあるそうです! ぜひホームページをチェックしてみてください。

Information

公益財団法人横浜市体育協会 横浜市くろがね青少年野外活動センター

〒225-0025 青葉区鉄町1380

TEL:045-973-2701

FAX:045-972-1093

http://www.yspc.or.jp/kurogane_yc_ysa/index.html

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この記事を書いた人
清水朋子ライター卒業生
食べること、つくること、ワインとチーズ、焼酎を愛する食いしん坊。雑木林のような豊かな庭、愛するアンティークに囲まれた自宅の一角で、集会所+ときどき、喫茶として「Glänta(グレンタ)」を主宰している。小さな家の隅々まで愛おしみ使い尽くす、センスのよい暮らしぶりが注目を集める。
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