夏があっという間に過ぎ去り、気が付くと風は涼しく、朝晩は少し肌寒くなってきました。そう、これは“食欲の秋”到来の気配! 秋といえば、きのこ。それも、黄金色に輝く美しいきのこを栽培しているという「青葉ファームランド」を訪ねました。場所は、豊かな緑が残る青葉区鉄町。アウトドアイベントなどを開催している「横浜市くろがね青少年野外活動センター」のほど近くにありました。
青葉区鉄町は、もともと農業が盛んな地区であり、青葉ファームランド周辺にもまだたくさんの畑が広がっています。しかし、一方で、農家の高齢化も進んでおり、相続や税金などのさまざまな問題から農地を手放している現状もあります。青葉ファームランドの代表である三堀泰広さんは、このような状況を目にし、なんとか地元である鉄町を再び農業で活性化させたい、と活動をしています。
そして、農家であったご両親から受け継いだ農地で、新しいスタイルの農業をスタートしたのです。
「安心、安全な野菜づくりはもちろんのこと、やはり継続できることが重要で、それにより利益を生み出していかなければならないと思っています。今取り組んでいる、温度や湿度などがシステム管理されたハウス栽培をすることで、少しでも利益を生み出し、天候に左右されやすい路地栽培という伝統的な農業も守っていければと考えています」
ハウスの中に一歩足を踏み入れると、天井からは霧が出ており、一面ひんやりとした空気に包まれています。同時に、きのこ独特の湿り気を帯びた腐葉土のような香りが広がってい。菌床が整然と並んだ風景は、まるでチーズの熟成庫のような趣で、たっぷりとその香りを楽しみました。
では、そんなナイーブなきのこ“タモギダケ”とは一体どんなきのこなのでしょうか。
日本では東北から北海道にかけて自生し、採れる時期は6月から8月と限られているため“幻のきのこ”と呼ばれているようです。外観の美しさだけでなく、よくダシが出て、香り高く、旨味も強いのが特徴。そして、さらに、他のきのこより栄養価が高いのが特徴で、そのため、さまざまなサプリメントなどにも使用されているほどです。
「システム管理されたハウス栽培に踏み切ったのには、もうひとつ理由があります。ここで継続的に農業ができるようになったら、障がいのある方の就労支援の場としても機能していければと思っています。青葉区にはまだまだそうした支援の場が少ないと聞いています。地域のために何か自分にできることは? と考えた際に、きちんとシステムで管理されたハウス栽培であれば、今後、なにか役に立てる可能性があるのではないかと思っています」と、話す三堀さん。タモギダケ栽培はまだスタートしたばかりではありますが、しっかりと将来を見据えて語る姿に、はっきりとした強い意志を感じました。
さて、自宅に戻り、見て美しいだけでなく、食べて美味しいタモギダケを料理してみました。
ようやく涼しく、過ごしやすい季節がやってきました。お鍋に入れ、その出汁をたっぷり味わうもよし、まるごと天ぷらにし贅沢にその食感を味わうもよし。
これまでなかなか目にすることができなかった幻のきのこ=タモギダケ(青葉区産!)、黄金色に輝く“森の宝”をぜひ家庭でも味わってみてはいかがでしょうか。
青葉ファームランド
〒225-0025 神奈川県横浜市青葉区鉄町1390-1
TEL:045-530-5226 FAX:045-530-5227
HP: http://aoba-farmland.asia/
※購入場所などはホームページに記載されています。
生活マガジン
「森ノオト」
月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる
森のなかま募集中!