森ノオトメンバーがこの夏、燃えて萌えた「Maker Faire 2015」。森ノエレキラボとしてメイカーフェアに出展し、日本全国の電子工作愛好者たちの作品を見ては楽しんできました。そこにあるのは、モノづくりをとことん楽しむ姿勢と創造性、暮らしを自分たちでつくっていけるワクワク感。そこで見つけたのがこちら、「littleBits Kit」です。
littleBitsは、幾つかのモジュールをマグネットでつなぐことで、幾万通りもの電子回路をつくることができます。青いモジュールはPower、電池をつなぐことで全ての源になります。ピンクのモジュールは「入力」で、スイッチの役目をします。音を鳴らしたりスライドを動かすことで信号をONにしたり、信号の強弱を調整できます。グリーンのモジュールは「出力」です。LEDライトを光らせたり、ファンを回したり、金具を震わせることができます。オレンジのモジュールは「分岐」で、一方通行のエネルギーの流れを分けて、つなぐことができます。
そして、littleBitsは、はっきり言えば、おもちゃです。パソコンのように文字を打てたり、インターネット通信ができたり、回ったファンを扇風機代わりにするには力不足ですし、LEDライトで部屋全体を明るくすることもできません。
だけど、工夫次第で遊び方の可能性は無限大に広がります。紙を切り貼りして装飾すれば小さなロボットにもなるし、キャンドルがゆらめく雰囲気をつくったり、うちわで扇いでくれる動物おもちゃをつくることもできます。
さっそく小学校1年生の娘に与えたら、夢中になって遊んでいました。電源と入力と出力の順番さえ理解できれば、組み合わせは無限大です。スイッチをスライドしながらLEDライトの明るさを変化させている娘を見ながら、あることに気がつきました。「これって、家の照明の調光機能と一緒だよなあ」
「音に反応するスイッチは、人感センサーみたいなもの!?」
「信号を途切れ途切れに送るパルスのスイッチは、マッサージの機械みたいな感じ?」
littleBitsの機能を、住まいの家電に翻訳する自分がいたのです。
「あ、これ、もしかしたら省エネ学習に使えるかもしれない!!」
と、直感的に思いました。そして、littleBitsについてもっともっと深く知りたくなって、行ってきました、取り扱いメーカーまで。
エレキ女史こと梅原昭子さんと一緒に降り立ったのは、京王よみうりランド駅。青葉台から行くと溝の口から南武線に乗り換え、さらに稲田堤で京王線と、やや遠く感じるのですが、実は森ノオトエリアとは隣り合わせ。「多摩丘陵」というくくりでいえば、ご近所さんです。クルマならば青葉台から30分で行ける距離です。
littleBitsを取り扱うのはKORG(コルグ)。音楽好きには有名ですよね、シンセサイザーなどの電子音楽のメジャーブランドです。そのKORGがなぜ、電子工作キットを?
「littleBitsは子どもたちに電子回路に興味を持ってほしいと、2012年にMIT(マサチューセッツ工科大学)出身のエンジニアがつくったブランドです。ハンダ付けやパソコンを介したプログラミングの必要がないという手軽さに、人気が急上昇しています」
とは、KORGの蛭田博幸さん。
電源と入力と出力、分岐をつないで運動をさせるには、明確な信号の流れがあり、論理的に順番をつないでいく必要があります。それを、シンプルな色分けと、マグネットでつながるパーツを用いたのがBitsの画期的なところで、こうした論理的思考はプログラミングそのものと言えます。
Bitsには幾つかのセットがあり、基本的なモジュールを組み合わせた「10 BITS Base Kit」から、「14 BITS Premium Kit」「18 BITS Deluxe Kit」、そしてKORGのシンセサイザーの技術を応用しようと共同開発した「SYNTH Kit」で、小さなキーボードやアンプがついています。さらに、NASAとの共同開発で赤外線通信やパラボラアンテナをつくれる「SPACEキット」に至るまで、遊び心に満ちあふれたパーツから生まれる独創的な世界は、止まることをしりません。
例えば、音を鳴らしながらライトを点滅させたり、テレビの信号を送受信する仕組みを理解できる可能性まで含めて、家庭の、家電を動かす原理を、Bitsで体現することができるのです。
日本上陸以降、電子工作愛好者、いわゆるメイカーたちの間で熱狂的に広がってきたlittleBitsですが、最近では子どもたち向けのプログラミング教育にも積極的に活用されているといいます。
「スイッチを押すと電気がつく、逆に押せば消えるなど、組み合わせを変えたりつなぎ直すことで、理屈ではなく試して理解することができます。最近では学校関係者からの問い合わせが増えたり、テクノミュージシャンからのアプローチもあるんですよ」
と、蛭田さん。
Bitsの電源は5Vの電池なのですが、5Vは直流系なので、もしかしたらソーラー発電でBitsの電源をまかなえるかもしれない……そんなアイデアをお話ししたら「いいですね! Bitsはつなぎすぎると電気を消費して動かなくなります。限りある電源の大切さを実感できるのも教育につながるかもしれません」とは、広報担当の山藤達也さん。
100円ショップで買えるものだけを使ってBitsで工作するワークショップや、SYNTHキットを使ったライブなど、外で盛り上がるBitsファンの集いを、KORGとしても後押ししていきたいそうで、「KORGの音楽の枠では収まらない魅力がBitsにはあります。ぜひ、いろんな主体とコラボして、Bitsの可能性を広げていけたら」と蛭田さんは夢を語ります。
子どもが熱中できるオシャレでカンタンな電子回路キットは、そのキュートさ、わかりやすさに、お母さんも夢中になるかもしれません。森ノオトではBitsを使ったキッズエレキラボを企画中。その時はぜひ! KORGさんで大量パーツ買いして、一日中大人も子どもも遊び尽くせる場をつくろうと思っています。
littleBits Kitの現物は、KORGのショールームでさわることができます。シンセサイザーやギターなど、テクノ系の楽器もたくさん並んでいて、わくわくしますよ。電子工作から広がる新しい遊びのアイデアを体験しに、お近くの方はぜひ足を運んではいかがでしょうか。
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