今がシーズン!甘くて酸っぱい真っ赤なイチゴ。麻生区黒川の「元木いちご農園」を訪ねました。
川崎市の農産物直売所「セレサモス」と直売でのみ購入できる「元木いちご農園」のイチゴ。安心・新鮮・美味しい♪ きらりと艶やかで、パックに入った姿も美しく、私はずっと指名買いしています。今回、イチゴ狩りシーズンで忙しいなか、農園主の元木要介さん・成美さんにお話を伺いました。

小田急線新百合ケ丘駅から車で15分、多摩丘陵一帯の麻生区黒川付近は、今もなお、谷戸(やと)地形を利用した農業がおこなわれており、のんびりとした里山的風景が残っています。私・板垣がとても気に入っているエリアのひとつ。

 

そんな雑木林や畑に囲まれた場所に「元木いちご農園」はあります。

黒川のお気に入りのお散歩道。この道をすすむと右側にハウスがみえてくる

黒川のお気に入りのお散歩道。この道をすすむと右側にハウスがみえてくる

 

ハウスの前のかわいい看板が目印

ハウスの前のかわいい看板が目印

元木いちご農園は元木要介さんと、奥さまの成美さん、そして要介さんのご両親の4人で農園を切り盛りしています。イチゴは、12月から5月にかけてがシーズン真っ最中! お忙しいなか、快く取材を引き受けてくださいました。

 

もともと、三度の飯よりイチゴが好きな娘のために、JAセレサ川崎・農産物直売所「セレサモス」まで行きイチゴを調達をしている私。

特に元木いちご農園のイチゴは、姿が美しいだけでなく新鮮で美味しいので、いつも指名買いしていて、夕方に行くとだいたい売り切れている人気商品です。

 

さて、ここでイチゴに関して改めて説明します。

イチゴはバラ科の多年草の一種。私たちが食べている赤い部分は、果実ではなく、なんと花托(かたく)という茎にあたるそうです。

本当の果実は、あのツブツブの一つひとつ(!)。

 

ビタミンCも豊富で、5、6粒食べれば1日に必要なビタミンCが摂取できるとのこと。その他、ポリフェノール、カルシウム、マグネシウム、カリウム、食物繊維、葉酸に加えて、意外と知られていないのは、キシリトールが含まれいるということ。なんとも魅力いっぱいの果実です。

元木いちご農園さんで育てている品種は5種類。

イチゴ狩りに来る方は色々食べ比べができます。

●紅ほっぺ……ほどよい酸味と甘み。果実が大きく、しっかりとした食感がある。人気の品種。

●章姫(あきひめ)……特徴的なやや長細い円錐形。甘みが強く酸味が少ない。果肉はやわらかい。

●桃薫(とうくん)……桃のような芳醇な香り。色は桃白、果肉はジューシーで酸味も少ない。

●おいCベリー…新品種。ビタミンCが豊富。甘みも強く、適度に酸味もある。

●とちおとめ……栃木県で品種登録された。果肉に締まりがあり、甘みと酸味のバランスが良い。

※時期によりすべての種類を必ず食べられるわけではありません。

照れ笑いがキュートな要介さんと、明るく朗らかな成美さん

照れ笑いがキュートな要介さんと、明るく朗らかな成美さん

はじめにお話を伺ったのは、奥さまの成美さんです。

入ってすぐに目に入る高い畝。現在主流になってきた「高設栽培」で育てています。土耕栽培が主流だった頃は、生産者の方が足腰を曲げて作業するため、腰痛などに苦しんでいたそう。高設栽培になったことで、立ったまま作業ができるようになり、身体への負担と作業負担が減り、作業効率があがりました。

 

「イチゴの栽培は、温度・水・光が重要。中でも温度にはとても気を配っています」と、成美さん。

暑すぎると葉が徒長するし、寒いと休眠してしまうそうです。

ハウス内は午前と午後の温度も微妙に変え、常に23℃-25℃くらいになるように保たれています。また、培地は常に暖められ、土中の水分量も自動で管理しています。光合成を促進させるため、ハウス内の隅から隅まで光が行き渡るようなつくりになっています。

 

また、低農薬を心がけ、紫外線の夜間照射などの技術を用いて病気を予防したり、イチゴの変化をすぐに見つけるために、ハウス内を注意深く、くまなくチェックしたりと、細やかな観察力と丁寧な作業で、大切に育てています。

「病害虫を予防して、とにかく元気に育てることを一番に考えてながらやっています。現在の状態もとても良いですよ!」(成美さん)

 

要介さんはハウス内の色々なところを観察。ご両親も畝をまわりながら、葉かき(葉を取ること)、かんざしとり(収穫し終わり、茎だけになったものを取り除く)をしながら全体の様子、健康状態を見て回っています。

「彼(要介さん)は植物の気持ちがわかるみたいなんです。イチゴのちょっとした変化に一番はじめに気づくんです」と、成美さん

受粉にとっても大切なパートナーの住処

受粉にとっても大切なパートナーの住処

そして、イチゴの結実にとても大切なのがミツバチです。

イチゴが綺麗で大きな実を付けるための、大切なパートナーなのです。人がひとつの花ごとに受粉させるのは本当に骨が折れる仕事。それを人に変わってやってくれるのがミツバチです。

 

ハウスの中央には蜂箱が設置されていて、畝を観察していると訪花しているミツバチを見ることができます。

 

ちなみに、形が綺麗なイチゴはミツバチが「よくがんばりました」、いびつな形をしているものは「もうすこしがんばりましょう」だとか!

 

受粉の良し悪しで、成長過程に大きな影響が出るということをはじめて知りました。※蜂は刺激させない限り刺さないので大丈夫とのこと。

ミツバチのがんばりで、イチゴの形も変わる?! 確実に受粉させるのも大変

ミツバチのがんばりで、イチゴの形も変わる?! 確実に受粉させるのも大変

 

ミツバチちゃん、頑張れ!そしていつもありがとう♪ 美味しいイチゴになりますように

ミツバチちゃん、頑張れ!そしていつもありがとう♪ 美味しいイチゴになりますように

「やるからにはイチゴのようにかわいい農園を作りたい!」という成美さんは、かつて、幼稚園の先生として5年働いていたそう!

ハウス内も手作りのキュートなポップや、イチゴ柄のカバーシート、イチゴ柄の机と椅子など、とてもかわいらしくデコレーションされています。

手作りのかわいいポップたち

手作りのかわいいポップたち

実は要介さんと結婚する前は、毎シーズン何回もイチゴ狩りに行くほどイチゴ好きだったとか。現在は、元木農園を支え盛り上げる力強いサポート役です。

 

イチゴ狩りのシーズンは、お子さん連れの方も多く訪れるこちらの農園。

美味しいイチゴを育てる技術や努力はさることながら、私が一番感動したのは、元木さんご一家のみなさんの温かさ!

元幼稚園の先生の成美さんはもちろん、要介さんのお母さんもとても子ども好き。おふたりで「保育園を作りたいね」、と話したこともあるほどだそう。

 

今回、娘連れで伺った際も、終始動き回る娘を温かい目で面倒みてくださいました。娘もそんなおふたりにベッタリ……

かわいいアイテムに娘も大興奮

かわいいアイテムに娘も大興奮

仕事の合間に摘んだばかりのイチゴを娘に差し出してくれる要介さん、寡黙にずっとイチゴの手入れをしていらっしゃるお父さんも、たくさん食べられたかな?と優しく声をかけてくださいました。

 

訪れる前は、娘が迷惑をかけなければいいが……と不安な気持ちもありましたが、取材中も本当によくしてくださり、心もぽっかぽか、美味しいイチゴで娘ともども幸せいっぱい! でハウスを後にしました。

 

ご家族の愛情がいっぱい、丁寧に大切に育てられたイチゴたち。直売もありますし、JA川崎セレサモス黒川でも購入ができます。

イチゴ狩りシーズンは5月までです。

私も数種類食べ比べたのですが、それぞれ甘さや酸っぱさ、噛みごたえも違うことに気づきました。自分好みの種類が見つかるかもしれません。

 

完全予約制なので、一度事前に電話にて予約を。お早めに!

Information

元木いちご農園

住所:神奈川県川崎市麻生区黒川203番地(小田急線黒川駅から徒歩7分)

駐車場あり、予約の際に前もって連絡を。

URL http://motoki-farm.com/

【営業時間】

●月・木・金・土・日 … 10:00-16:00

●水曜日のみ … 13:00-16:00

火曜定休

※いちごの収穫状況により臨時休業あり

《イチゴ狩りについて》

完全予約制。3日前までに予約を。30分食べ放題、コンデンスミルク付き。

【料金】

1月2月 大人 … 2,000円 子ども … 1,000円 2歳未満 … 無料

3月中 大人 … 1,800円 子ども … 1,000円 2歳未満 … 無料

4月以降  大人 … 1,500円 子ども … 800円  2歳未満 … 無料

※子ども:2歳以上小学生未満

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この記事を書いた人
板垣恭子ライター卒業生
静岡県出身で四姉妹の長女。大学卒業後、デザイナーとして働きつつ花屋で修行。現在は子育ての合間に、その経験をいかせるような世界観を目指して制作活動中。森ノオトではジャーナリスト的な一面を見せ、硬派な記事も立派に書き上げる努力家でもある。
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