





お庭で慶子さんが大切に育てた植物の中から好きな形の葉っぱを摘んだり、それをモチーフにしたテレイドスコープのつくり方を教わりました。
みなさん、まず「テレイドスコープってなんだろう?」と思いませんでしたか?わたしもその1人でした。
簡単に説明すると……鏡張りの筒の先に入れたビーズやガラスなどのオブジェクト(鏡を通してみる対象物)を転がし、様々な模様を映し出すものをKaleidoscope(カレイドスコープ)・万華鏡と言います。一方、同じく鏡張りの筒ですが、その先には球レンズのみがあり、周りの景色を光の屈折などで映し出すのがTeleidoscope(テレイドスコープ)です。

いつもより小ぶりな万華鏡「夢に咲く花」シリーズの、天然石やスワロフスキー、ビーズなどのオブジェクト。慶子さんがバーナーで焼いてつくった繊細なガラスのパーツも入っている
万華鏡作家であり、実は25年も続いているこども造形教室の先生でもある小野寺慶子さんとは、わたしの姪っ子が教室に通っていたことがきっかけで親しくさせていただき、今では尊敬する先生であるとともに、年の離れた大切な友人でもあります。

緑を背景にブルーのワンピースがお似合いの慶子さん、63歳。こんな風に美しく年を重ねていきたいと思う憧れの女性
日々幅広い年齢層の方に囲まれ、いつもキラキラ輝き、優しく穏やかなお人柄と、自然をテーマにした儚く美しい万華鏡に惹かれ、今回取材を依頼したところ……
森ノオトの活動を理解し、読者やわたしがこども達と自然の中で過ごすことが大好きなことから、万華鏡とエコを絡めた素晴らしい提案をしてくださいました。それが葉っぱ模様の「テレイドスコープ」です。

紙筒に正三角形に組んだミラーを入れて、先端につけたアクリル球に映り込んだ周りの景色を楽しむテレイドスコープのキット
このキットに葉っぱのスタンプを押した画用紙(今回は薄いブルーグレー)を巻くのです。さすが造形教室の先生。グッドアイデア!!
お庭のさわやかな風や木漏れ日などをゆっくり写真で感じながら、行程を楽しんでいただけるとうれしいです。

お庭で摘んだアジサイやサツキなどの葉。形や色、表裏や感触がこんなに違うものなのかと気づく

牛乳パックのパレットに、アクリル絵具で好きな色をつくる

葉脈がくっきりとしている葉の裏に、スポンジでポンポンと優しくアクリル絵具をのせる

葉っぱをスタンプすると、より葉っぱのディテールや葉脈の美しさを感じることができる。どの葉がお好き?

慶子さんは摘んだ葉っぱのスタンプで葉書きやカードをつくる際に、こうして葉を水に浸しながら色を落とし、再利用するそう。葉は1枚でも自然の恵み。ここにもお人柄があらわれる

木漏れ日の中、黄色や青色を差し色にしてみたり……やわらかい三つ葉のスタンプも、うまく押すことができた

できあがり。ブルーの花瓶にさした忘れな草と、パチリ。テレイドスコープは遠近を見くらべる、空や地面、手や顔、身体を180度左右にまわして、筒を回転させて、動くものを見る、見えた映像を絵に描くなど、さまざまな楽しみ方がある

さっそくできあがったテレイドスコープを片手に、子どもたちと野原や公園へ。
筒から季節の植物レッドロビンをのぞき、回してみるとこんな模様が。模様は無限大

緑や赤の葉と可愛らしい蕾と小花できれいな色と模様を映し出してくれたレッドロビン。
こんな風に季節の植物を眺めながら、好きな葉を見つけ、それをスタンプにする……なんて楽しいことでしょう。その日から葉っぱをみる目が変わります。
そして、テレイドスコープを片手にいつもの景色や花々をのぞくゆったり時間……なんて豊かなのでしょう。キットはお子さまでも簡単につくれます。
野原で、お庭で、キャンプ先でも、ぜひつくってみてくださいね。
最後に慶子さんの作品をほんの一部ですがご紹介します。

左から「惑星シリーズ」(火星・Mars)は、個性的で情熱的なイメージのオレンジ系。「薔薇色の夢」は、夜の薔薇園に迷い込んだような幻想的な雰囲気。「聖夜の祈り」は、白系の無彩色のみで制作し、静かな雰囲気だが凛とした気持ちがわきおこる万華鏡
制作前のイメージに合わせ、何度も確認しながら整えたあらゆる素材のオブジェクトを、満月水で洗浄します。そのあとオイル(グリセリン)を入れて蓋を閉め、筒と接着し、半田付けし、ミラーを入れてできあがり。
とろりとしたオイルの中でゆっくり動く個性的なオブジェクトが魅惑的で美しい慶子さんの万華鏡。
小さい頃に自然の中で過ごした体験や原風景は心に残り、半世紀経っても色褪せないと語る慶子さん。その原点が作品に生きているそうです。
多くの方が慶子さんの万華鏡で心を大きく動かされるのは、それぞれの心の中にある原風景を見ているからなのでしょうか……
みなさんも下記のホームページから慶子さんのアトリエを訪ねてみてくださいね。そこからまた、たくさんの出逢いが広がりますように……

小野寺慶子さん(万華鏡作家)

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