私が和太鼓とTsubo先生に出会ったのは昨年初秋のこと。
当時年長だった長男と一緒に、楽しみながら体を動かせる機会があったらいいなぁと考えていた折、偶然にも、和太鼓を叩ける教室が美しが丘西地区センター(横浜市青葉区)にあるみたいだよ、との情報が舞い込んできたのでした。
和太鼓? わぁ、叩いてみたい! 好奇心旺盛の私と、太鼓を叩けるというキーワードに、素直にやる気になった長男。どんな教室なのか、早速体験に訪れてみることにしました。
体験当日、地区センターの駐車場に着くなり、ドンドンドン! と、太鼓の音色が楽しげに、外まで響き渡っていました。
思わず音の鳴る方へと小走りになった私たち親子が行き着いた部屋には、和太鼓に向かい合う大人と子どもがたくさん集っていました。
みんな、太鼓を叩くバチを握りしめてリズム打ちの練習中。
真剣にリズムを刻む人、こんな感じかなぁと叩き方を手探りしながらの人、リズムに乗り眼をキラキラさせて音を弾ませるおちびちゃんも。
色んな人たちが自然と一体になっている、ワンダーランドな空間がそこには広がっていました。
その空間を演出していた方が、太鼓の先生である坪崎剛一(つぼさきこういち)さん。Tsubo先生の愛称で生徒さんから慕われる、太鼓ロックなワイルド男子です。
Tsubo先生は、全く飾らないフレンドリーなお人柄。気が付けば初体験の私たち親子も自然とその空間に溶け込んでいました。
太鼓を間近で見るのも叩くのも初めてだった長男は、その楽しさに一瞬でテンションMAX! リズムなんてお構いなしでバチを持って叩くは叩く、また叩く。
この息子の行動を目の当りにした私はつい、「そんなめちゃくちゃに叩いてたらだめでしょ。先生の話をちゃんと聴いて正しい姿勢でリズムにあわせて叩くようにしないと。ふざけていたらいけないよ!」と、周囲を気にしながら、そしてここは教室なのだから、の真面目な親的発言をしてしまいました。
すると、Tsubo先生が一言。
「おふざけ、最高じゃん! とことん楽しもうぜ!!」
私はその言葉に、「あっ!」とふいを突かれたような、何とも言えない感覚になったことを、今でもよく覚えています。そしてこんな風に感じました。
事始めに大切なこと、それはまず「上手くやろう」ということよりも、「心から楽しむ」こと。心から楽しむことができれば、やがて自然と身についてくるものがあって、そのことに気付く。その気づきが自分の中の自信や勇気につながり、次へとステップアップする可能性が広がっていくのかもしれない、と。
長男は、先生の「楽しもう!」に背中を押してもらい、体験したその日からわずか5、6回ほどのレッスンで、地区センター祭りキッズ和太鼓の舞台に出演させてもらったのでした。
短い演目とはいえ、舞台という緊張感あふれるステージの中、子どもたちはとても生き生きとした表情で元気一杯太鼓を叩き、客席全体が笑顔に包まれました。本当に貴重な経験をさせてもらったなぁと、今でもその時の様子を鮮明に思い出します。
そんな、「楽しむ心」に明かりを灯してくれるTsubo先生の太鼓教室、その名も「Smile Taiko Project」は、始動して今年で8年目を迎えます。
部活動中心だった学生時代を経て、ようやく将来のことを考えるようになった20歳の頃、たまたまコンビニのチケットぴあで世界的に有名な太鼓集団「鼓童」のコンサートがあることを知ったTsubo先生。当時太鼓とは無縁だったにも関わらず、何故だかその時ふと、日本のものを極めれば将来的に役立つかもしれないと思い立ちチケットを入手、2時間のコンサートに釘付けになったといいます。
太鼓で観る人を魅了するパフォーマンス、これだったら俺にもできる、と自然と湧いてくる自信を胸に、22歳で当時結成して3、4年目だった「鼓粋(こすい)」という青葉区の太鼓集団に研修生として入団しました。
下は中学生から上は社会人まで、太鼓が好きな仲間が集まって週末は練習の日々。これだったら俺にもできると軽い気持ちで入団したものの、いざ始めてみると全くできない、と大きな壁にぶつかりました。ゼロからのスタートだと気を引き締め直し、続けていくこと3年目にしてようやく本格的な初舞台を踏むことに。その舞台でもらった1000円の初ギャラは、太鼓を叩いてお金がもらえるんだ! と、心から嬉しかったと、当時の興奮そのままに笑顔で話してくれました。
演奏活動をする会場にギャラを前借りしていたこともよくあったとか(笑)。そのお金で飲みに行っては太鼓や演奏の話に明け暮れた、そんな素晴らしい同志と出会えたことも、日々の活動意欲につながっていったそうです。
30歳を迎えた頃、Tsubo先生は自分の好きなパフォーマンスもしていきたいと考えるようになり、さらなる可能性を求めて鼓粋を卒業、ソロ活動へと歩みを進めます。
地域や町内会での太鼓ワークショップ、小学校のサマースクールでの演奏など、営業回りで声がかかった場所にはどこでも赴いていた一方で、和太鼓をもっと気軽に出来る環境があったらいいなとたまたま通りがかった美しが丘西地区センターで、教室を始めることになったのでした。
Tsubo先生はこう言います。
「太鼓を叩くことが、何かのきっかけになればいい。子どもの場合は特にね。がちっとすると太鼓だけになっちゃうし、太鼓以外の何かにつながっていったっていいんだしね。そんな余裕は残してあげたいなと思っていて」
その想いを聞いて、まさにTsubo先生の優しさそのものを表している言葉だなぁと、私は感じました。
とはいえ、中には普段シャイなのに太鼓のリズムを考えてきたり、自ら太鼓をセッティングして自主練をし始める子どもがいると、Tsubo先生はとても嬉しくなるそうです。太鼓のことをもっと知りたいと思ってくれたのなら、いくらでも教えてあげたいよ、と。
教室に通う50代女性の方は、以前から太鼓に興味があったけどリズム感もない、覚えが悪いうえに楽譜も読めない……そんな私が始めてもいいのかしら? と躊躇しているところを、Tsubo先生が「楽しくできたらそれでいいんですよ」と背中を押してくれたんです、と嬉しそうに話してくれました。
また、私と同じ子連れのお母さんからは、「リズムが少々合わなくても、上手く出来なくてもOK、とにかく笑顔で!」と呼びかけてくれる先生の方針が好きで続けられている、とも。最初は子どもたちにと思って通いだした和太鼓レッスンだったのに、今は自分が一番ハマっています! と語ってくれる彼女の練習中の笑顔は、子どもたちと同じくらいキラキラ輝いていました。
Tsubo先生の創り出す空間は、肩肘張らず自然体でみんなが大好きな太鼓にふれ合える、そんな温もりあふれる地域の憩いの場だと思います。
みんなが笑顔で太鼓を叩く、大人がしばらく叩いたら次は子どもの番、しばらく叩いてホッと一息つきながら会話を交わす、そしてまた太鼓を響かせ笑顔になれる。実に素敵なローテーション!
日本を代表する伝統楽器の和太鼓。芯に響けば心(しん)にも響く、楽しむ心に花を咲かせることのできる和太鼓。
そんな魅力の詰まった和太鼓をぜひ、人情味あふれるTsubo先生や教室の仲間たちと一緒に楽しんでみてください!
<Tsubo先生主宰の和太鼓教室>
*Smile Taiko Project
“太鼓で笑顔を” をテーマに年齢、性別問わず誰でも参加出来る気軽な和太鼓教室。太鼓を通してのコミュニケーションを楽しめます。
1回 50分 900円(水曜日開催)
美しが丘西地区センター音楽室(横浜市青葉区美しが丘西3-60-15)
*リズム和太鼓
初めての方歓迎! 太鼓を叩いていて悪いことなし!ストレッチ、体をほぐしながらリズムを楽しむ。演奏を楽しむ。[大人コース]と[小学生コース]に分かれている太鼓教室。
1回 60分 月2回 月謝1500円(火曜日開催)
木曽山崎地区センター音楽室(東京都町田市山崎町2160)
☆各教室の日程は下記のTsubo先生ブログでご確認ください。
http://profile.ameba.jp/tsubosaki-syouten/
教室以外でのその他演奏、太鼓ワークショップ、太鼓講師などのお問い合わせは、こちらのブログメッセージ欄へ。
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