4月のある日、我が家にどっしりと重量のある段ボールが5箱、届きました。KUMIKIプロジェクトのロゴが印刷されており、なんともおしゃれなパッケージ。ワクワクしながら箱を開けると、中から無垢材のパネルが出てきました。
KUMIKIの「広葉樹の床タイル」は、主に東北産のナラ材を秋田県の藤島木材工業がタイルに加工してできたDIY用の床材で、表面は15mm厚のナラ材、裏面はカルプ材といって3mm厚の防湿防音シートが張ってあります。凹凸の「実(さね)」を組み合わせることによって張る、とても施工が簡単な床タイルです。
一般に、家を建てる時に柱や梁に使う杉材は、軽くてまっすぐで加工しやすく、また早く成長する(50年ほど)で大量に仕入れることができるのが特徴ですが、床や壁などの内装材に使うと、そのやわらかさから傷がつきやすいのが難点と言えます(逆にそれが味になっていい、歩いた時に感触が温かいなどのメリットも多いです)。ナラ、タモ、カエデ、クルミなどの広葉樹は、育つのに年月がかかり、その分重くて硬いので、傷がつきにくいのが特徴。そのため、家具材として重宝され、フローリング材にも最適です。
ただ、タイルを市松模様に組み合わせるだけ……の簡単施工なのですが、ここでKUMIKIの最高技術責任者ので湊哲一さんが運び込んだ、丸ノコが活躍します。DIYをする部屋は、必ずしも直角の正方形や長方形ではないし、広葉樹の床タイルの規格にぴったりというわけでもない、時には角が鋭角だったり、斜めだったりと、一筋縄ではいかないもの。我が家の四畳半は基本的に真四角なはずなので、施工しやすいはずと思いきや、例えば部屋の隅っこはパネルの凸部をそのまま置くと段差が出るので凸部を取らなければいけない、襖を開閉する端っこはきれいに断面処理する必要があるなど、「ただパネルを置けばいい」というわけではないことに気づきました。
湊さんが材を加工する横で、KUMIKI代表のくわばらゆうきさんが壁と床のフィット感を確かめるようにパネルを置いていきます。だいたいの感覚をつかんだところで、長女に声をかけてくれた湊さんとくわばらさん。「私の部屋!」と、長女は張り切って作業をするのですが、間髪を抜かず「あーちゃんも!」と邪魔をする次女の姿が……。
床パネルを置くだけの簡単施工で、1時間もしないうちに四畳半の部屋はみるみる無垢材の素敵な空間に。長女は最後には丸ノコを使うことにチャレンジしました。
もう一つ、DIYの床張りを経験して感じたのは、建築にはさまざまな学びの要素があるなあ、ということ。この日、長女は無垢材とフローリング建材の質感の違いを肌身で感じ、丸のこでパネルを切るために差し金を使って線を引き、パネルを切るための調整を自分でおこないました。図工や算数で習うことを、実地で学ぶことができる。まさに生きた教育だと感じました。
KUMIKIプロジェクトが進めている「DIYがっこう」は、ただモノを買って使うだけではなく、自分で生活に必要なものをつくるための生活技術を身につけることのできる取り組みです。木工における「ものづくりの基礎」を体得し、さらには、床はりクラス、ペイントクラス、壁紙クラスなど、住空間をよくするための具体的な技術を学べるコースもあります。
「今後は、こうした床張りや壁塗りのDIYをオフィス向けに展開していきたい」とくわばらさん。みんなで一緒に空間づくりをすると、チームワークが強まり、場に対する愛着が高まります。DIYがっこうを卒業したインストラクターたちが活躍する場をつくることにもつながります。森ノオトでもエコDIYで、NPOの仲間や、地域の有志と一緒に、さまざまな場づくりをおこなってきましたが、自分たちで手がけた空間には愛着もわき、「育てていこう」という気持ちになるから不思議です。
さて、床張りDIYを終えて4カ月が経ちますが、無垢材の床は本当に気持ちよく、パッと明るい気持ちになります。塗装がはげることもないし、時々パネルがずれることもあるのですが、金槌で直せばすぐに元どおり。経年変化も楽しみです。
何より、家族全員でDIYした床。家族の絆もますます深まったような……?
森ノオトでは10月9日にKUMIKIと一緒にワークショップをおこないます。
10月9日(日)KUMIKIprojectと学ぶ「基本の道具の使い方」
場所:森ノオウチ
参加費:3500円 森のなかま会員は3000円
土の講座を経て、秋は木材を使ってDIYするための基本的な道具の使い方を、再生可能な日用品を作りながら学びます。電動工具やノコギリ、釘打ち、失敗しながら学びましょう。
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