横浜市青葉区「こどもの国駅」近くに、パン屋さん「パナデリアシエスタ」があります。近くには幼稚園もあり、店のかわいらしい外観からも、子どもやお母さんたちにも人気のお店であることがわかります。
スタッフがきびきびと動く工房内で、店主である水谷優一さんにパンのこと、畑のこと、食のことなどについて話を伺いました。
「パナデリアシエスタ」が誕生したのは、2005年。当時は、横浜市青葉区産の小麦でパンを焼くことは想像していなかったそうです。
「お店の近くを散歩中に、偶然、小麦畑を発見したんです。まさか、こんな所に小麦畑があるとは驚きました。生産者の方がいたので、そのままお話をし、気づくとその小麦でパンを焼くことになっていました(笑)。お店を開店してからちょうど5年ほど経った頃です。今では、その方から小麦以外にも季節の野菜をいただくなど、月に1度ほどのペースでずっとお付き合いをさせていただいています。まるで田舎のおじいちゃん、おばあちゃんのようです」
「店があるこの場所も、たまたま通りがかり見つけた物件でした。小麦も同じで、たまたま出会った畑でしたが、きっと縁があったのでしょうね」と水谷さん。
お店では、この小麦粉から天然酵母を起こし、元種をつくっています。種は使ったら残りをかけ継して、翌日の種として使用し、酵母を起こしはじめた時以来ずっと種を継ぎ続けているそうです。
パナデリアシエスタでは、おとなり町田市の農家さんの協力を得て、無農薬での小麦づくにもチャレンジしています。種まきからはじまり、年に数回の作業をスタッフ総出でおこなっています。獲れる小麦の量はわずかではあるものの、不定期で限定商品のパンとして販売されているとのこと。
「畑でどんな風に小麦がつくられ、こうして製粉された状態でパン屋にやってくるのか、とても興味がありました。無農薬での小麦栽培は本当に大変! しかし、楽しい。畑のことを少し知ると、また違うことに興味が湧いてくる。畑について知れば知るほど、どんどん深みにはまっていきます(笑)」
笑顔で話す水谷さんを見ると、まるで苦労までも楽しんでいるかのように思えます。
「小麦を石臼で挽くことや小麦づくりなど、知らないこと、初めてのことに挑戦することは、とても怖いです。でも、失敗を恐れずにチャレンジしていきたい、と常に思っています。そうすることで、お店も職人としても少しずつ成長していっているような気がします」
そんな水谷さん率いるパナデリアシエスタのこだわりは、他にもたくさんあります。小麦は、横浜産・北海道産・フランス産などをパンの種類により使い分け、ジャムやクリーム、ソースなどのフィリングは全てお店で手づくりしています。食材は、できる限り無農薬・減農薬のものを心がけているとのこと。
「こだわりというよりは、単純に自分たちが食べたいもの、子どもや家族が安心して食べられるパンをつくりたいだけなんです。フィリングを手づくりしているのは、まずそれが一番おいしいと思うからであり、つくること自体が好きだから。“安心して食べられ、かつおいしいもの”を追求していった結果、お客様に支持されているので、本当に恵まれていると思います」
パン屋の仕事は朝早く、体力的にも大変なことが想像できます。自家培養酵母を扱うことから、長期休暇もなかなか取りづらい環境の中で、それでも食への探求心から、畑仕事を始めとする未経験の分野へと歩み続けている水谷さん。
「興味が湧いてしまうから、仕方ない!」と、笑いながら話す姿を見ていると、この先どのようなパン屋さんになっていくのかとても楽しみです。お店のホームページには、そんなパンや食材への思いがぎゅっと詰まっていますのでぜひのぞいてみてください。
「パナデリアシエスタ」
住所:神奈川県横浜市青葉区奈良5-4-1レーベンスラウム1F
TEL:045-963-5567
営業時間:7:00-18:30
定休日:毎週月曜日
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