DIY内窓、進化しています!肘掛窓に内窓をつくりました!
夏は73%、冬は53%??。暑さ寒さ、住まいの快適さを損なう熱の移動は、主に窓から起こります。窓を変えれば暮らしが変わる! というくらいに、住まいの省エネと健康に窓の断熱は必要不可欠です。2016年11月7日、森ノオウチでDIY内窓づくりのワークショップをおこないました。

一口に「窓」といっても、窓にはいろんな種類があります。家に「窓」がなければ、光も風も入ってきませんが、夏の強烈な日差しも、冬の凍てつくような冷気も、入ってくる大元は「窓」であることが多いのです。

2015年につくったDIY内窓。重厚で、開け閉めが結構大変。実際にこれがあることで、冬の寒さはだいぶ軽減した

森ノオトの事務所「森ノオウチ」は、無断熱で、夏は暑く冬は寒いのが難点でした。2015年には、天井DIY断熱ワークショップ、事務所1階の大きな掃き出し窓にDIYで内窓をつくるワークショップをおこないました。材料はホームセンターで手に入る2×4(ツーバイフォー)材とプラスチックダンボール(ポリカーボネード板)でしたが、窓が大きかったのと、材料が重いので、つくるのが結構大変で、終わるころには日も傾いていました。外がどんどん寒くなる時間に、さっそく冷気をシャットアウトできて、部屋の温度感がふわっと上がってきたのを感じました。

講師の大澤正美さん。青葉台の工務店の3代目社長で、抜群の話術と知識で聴衆をあっという間に虜にする

ただ、せっかく内窓をつくったものの、玄関と廊下と1階の部屋の間に仕切りがなく、断熱効果を感じるには若干物足りなかったのも事実。そこで2016年は、同じ部屋の肘掛窓(床面からだいたい40cmくらいの高さに設けた窓のこと。床に座って肘をつくのにちょうどいいくらいの高さからこの名がついているといいます)に、内窓をつくることにしました。材料は、ミナトファニチャーの湊哲一さんが秋田産のスギ材を手配してくれました。スギ材は軽くてやわらかく、加工しやすいのが特徴で、素人のわたしたちにもぴったり!

講師はもちろんこの人、DIYリノベーションのスペシャリストで、青葉台の工務店「富士ソーラーハウス」の3代目の社長さん、大澤正美さんです。

117日(土)は日差しも暖かく、格好のDIY日和。この日の参加者はDIY女子5人で、中には臨月の妊婦さんもいました!

最初に大澤さんから、住まいと断熱についての講義を受けました。

「今、木工やDIYがブームですが、すべてをDIYでつくるのはなかなか困難です。こうしたイベントに参加して、自分では何ができて、できないのかを知ることが大切」と、大澤さん。

今回は、内窓自体に框(かまち:戸や窓などの周囲の枠)をつくらず、大きな木枠にプラスチックダンボールの板を直接すべらせる形の簡易的な窓にしました。

木には「表と裏」がある。製材した後も、木目を見ればそれがわかるという。木が立っているように家も建つといいとは言うが……さて、DIYレディたちの目論見はいかに!?

はじめに、既存の窓の大きさに合わせて木枠の大きさを測り、丸ノコで材を切り落としていきます。

その後、窓の上下に溝を堀り、その間にプラスチックダンボールの板をはめていきます。「溝を掘るのは、上が深く、下が浅いのが原則。今回は上を9mm、下を3mm堀りましょう」(大澤さん)

今回は、やはり丸ノコを使うのに緊張しました。わたし自身、丸ノコは初めてでしたが、あまりに鋭利な切れ味に見ているだけでドキドキして、最初は「ケガしたらどうしよう……」と、なかなか手が出ませんでした。

「実は手ノコの方が、技術が必要です。丸ノコは安全な使い方を習得すれば、むしろその方が危険を回避できますよ」と、大澤さん。一人ひとり順番に、丸ノコを動かしていきました。

「おんぶdeハンダ」に引き続き、「臨月de丸ノコ」という名言が飛び出した!? 森ノオトライターの宇都宮南海子さんは、丸ノコと格闘した3週間後に、無事に女の子を出産した

採寸した通りに材料を切り、プラスチックダンボールの「窓」をスライドさせるための溝を掘るのも、丸ノコで。刃先の長さを絶妙に調整しながら、何度も木に丸ノコを当てて横にスライドさせ、理想の深さに溝を掘っていきます。丸ノコを何度も挽いているうちに、だんたん丸ノコが相棒のように思えてきて、愛らしく感じてしまいます。

その後、上下左右の木枠をビスで止めます。インパクトドライバーという電動ドライバーを使うのですが、ギュイーンとネジが回り、木をぐいぐいと貫通して、相手(受け側の木)と接合する瞬間に、「ガガガガガ!」と、大きな音がします。その音のインパクトと手に伝わる衝撃に、はじめはちょっとビックリしてしまいますが、木がきちんとつながって形になる手応えをつかむと、なかなかおもしろく感じます。

青葉台のDIYレディ・土志田祐子さんの作業は慣れたもの!? 大澤さんとの息もぴったり

できあがった木枠を窓枠にはめ、あとは仕上げです。最後は、枠に合わせて切ったプラスチックダンボールの外周部にマスキングテープを貼ってすべりをよくします。まるで障子のように「引き違い」できるので、窓の開閉も楽。スーッと開ける音と感触は、日本家屋の凜とした静けさも感じさせます。

そして、プラスチックダンボールの内窓を枠にはめた瞬間、空気がふわっと温かく変わるのを感じました。つくった直後で、だいたいガラス窓の表面温度と内窓を閉めた時とで、2度は窓の表面温度が変わります。寒い日の計測では、ガラス面と内窓表面とで、5度以上の差になることもわかりました。

やっぱり、冬の内窓は断熱に効果がある!!

本当に気楽に内窓の開閉ができて、驚きだった!

この日は、女性5人と講師の大澤さんという、ミニマムなDIYチームでしたが、プロと一緒ならば、素人女子の集団でも楽しくDIYできる、ということがわかりました。

その後、森ノオトのエコDIYチームは、古い団地の洗面所に使う簡易的な内窓づくりや、DIY内窓を実際の住宅で使ってみる実験へと展開を始めています。

すべて既製品でできあがったものに囲まれて暮らすよりも、自分で手足を動かし、仕組みを知ることで、自分で考えてより快適な方向へと暮らしをつくっていくことができます。

みんなで楽しむDIYは、つくった場自体もみんなのものとなり、仲間で知恵も共有されていきます。

森ノオトは2017年度も、細々とした形でエコDIYを続けていきます。住まいのこと、エコな暮らしを、一緒にDIYしませんか?

DIY内窓の完成まで、ともに時を過ごしたDIY女子チーム。1日協力しあって、手を動かし頭を使い、いいチームに育った

Information

森ノオトではまだ十分使えるけれど自分では使わない、電動工具類の寄付を受け付けます。まだそのための体制が整っていないのですが、買い替えるタイミングで、ウチにあるあれはたしかまだ使えるはず……などと、心当たりのある方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。お待ちしております。

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この記事を書いた人
北原まどか理事長/ローカルメディアデザイン事業部マネージャー/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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