自分で作ると愛着たっぷり。プチDIY生活はじめませんか?
雨がしとしと降る4月のある土曜日、森ノオウチでちょっとぎこちないトンカチの音と笑い声が響いていました。4月から月1回のシリーズで始まった大丸建設さんとコラボの「土曜日の日曜大工講座」、1回目の踏み台作りに参加してきました。(写真:梅原昭子)

今年、森ノオトと大丸建設さんのコラボでおこなう「土曜日の日曜大工講座」、ワクワクの初開催の日は、あいにくの雨。こぢんまりとした森ノオウチの部屋で子ども連れ6家族。本当にできるのだろうか? と、ちょっと心配しつつ到着してみると、すでに、作業着を着て準備をする人たちが。

今回の企画を一緒に開催するのは、東京都稲城市で140年続く老舗工務店、大丸建設のみなさん。

自然素材、木を生かした家づくりを得意とする工務店で、DIYを通じて木に親しみを持ってほしいと今回の講座開催が実現しました。

専務の安田佳正さんと、二級建築士の田上さん、大工の石田さんと田中さん。総勢4名のとても手厚いチーム

 

職人不足といわれる建築業界にあって、大丸建設では有能な大工さんが育っています。この日は2人の若手大工さんが加わり、森ノオウチの庭にテントやブルーシートを張って作業スペースを拡張、見る間に作業場ができあがりました。

10時前には、今回の参加の6家族が勢揃い。さっそく、安田さんのレクチャーにより、作業に取りかかりました。

これからする作業を説明する安田さん。完成品を見て、まずはイメージトレーニング

 

今回作ったのは「踏み台」。

あらかじめカットされた木のキットを使って作る初心者組と、サイズを測ってのこぎりで切るところからスタートする上級者組に分かれます。今回参加の6組のうち、DIYの基本からしっかり学びたいと連続で参加する男性2人が上級編、女性4人がキットを選びました。私も迷わず、キット組へ。

材料を前に「学校の工作の時間以来だ~」という声も聞こえ、みんなのワクワクした雰囲気が伝わってきました。

小学1年生も、教えてもらいながら果敢にのこぎりにチャレンジ

 

大丸建設では和歌山県の「山長商店」を始め、全国各地の林産地との関わりがあり、今回は天板に秋田杉、その他のパーツに埼玉県の西川材を使いました。杉といっても、産地によって材の適性が異なり、構造材や内装・造作材など、使う場所と予算に合わせて、最適な材を選ぶそう。そんな風に、木を知り尽くした大丸建設の大工さんは、「木使い」がとても上手だそうです。

安田さんの説明を聞きながら、早速作業を進めていきます。てっきり電動のインパクトドライバーなどを使うのかと思いきや、穴を開けるところのみ電動ドリルで、後はかなづちと釘。ひさびさのかなづちに釘はなかなか入っていかず、1本目がやっと入った頃には、これがあと何本? と途方も無い気分になりましたが、だんだんとコツを掴むうち、アドレナリンでも出ているのか、もうこの釘を打つ作業が楽しくてしょうがない!

しかし、キットだから組み立てさえすればなんとかなると気軽に考えていたら、やはりかなづちに気持ちが集中してしまうためか、押さえているはずの片方の手がだんだんずれていく……。結局プロの大工さんをアシスタントに、木を押さえてもらい、アドバイスも受けながらという、なんとも贅沢な作業でした。

安田さん、こき使ってしまいごめんなさい……

 

お母さんのお手伝いを率先してやる小学生。実は、お母さんもやりたくてしょうがない(笑)

 

とんかちの音もリズミカルになり、1本の釘が入っていくスピードがあがったころ、踏み台らしい形に。

しかし、どんなにアシスタント(大工さん)がすばらしくても、それを上回る素人っぷりに、上部の平らでなくてはいけないところが、ここにきてあわず、ちょっと焦る……

すると、大工さんがすぐさま、カットしていない木を持って来て、段差のサイズを目で測り、そのサイズぴったりの薄い木片にのこぎりでカットし、挟み込んでくれました。これには、おもわず「すごーい」と、歓声が。

この木片を挟み込んだことで、平らな天板に

 

この頃には、子どもたちもすっかりうち解け、森ノオウチの廊下で一緒にブロック遊びをしていました。この狭さが逆によかったのかも。

そして、組み終わったところで、一台一台最後の調整。私は、多少のがたつきは手づくりの証し、と気楽に思っていたところ、大工さん達が、またも薄い木片をのこぎりでカットし、足に継ぎ足し調整するという小技を披露。大工さんの目方のあまりの正確さに、びっくりしました。

足の高さの補正作業を教えてもらいながらやる女性。大工さんに薄く切ってもらった木片を、足板の幅に合わせてカット

 

足を継ぎ足した部分

 

お陰で、とても立派な踏み台が完成。

最後、仕上げにサンドペーパーをかける頃には、手づくりの踏み台が我が子のようにかわいくて。何かを一緒に作ったというこの時間がいっきに距離を縮めるのか、旧知の仲のように心安い雰囲気になったみんなは、おしゃべりがはずみながらいつまでもいつまでもなでるかのようにペーパーがけをしていました。

これ、どこで終わりなんだろう? といいながら、延々とペーパーがけ

 

最初「お父さんが来て作るはずだったんだけど急遽自分が作ることに。大丈夫かなあ」と不安げにやってきた子連れのお母さんも、帰りには「次回はお父さんもくるけど、やっぱり私が作りたい!」と(笑)。

次回、5月の日曜大工講座「ブックエンド」はこちら。

折りたたみ式で、持ち運びも便利

 

これも、試作品の全く違う2タイプの本立てからみんなの意見を取り入れ、この形にすることに。臨機応変にみんなの声を聞き、取り入れてくれるとても柔軟でありがたい講座です。

こんなに熱心で丁寧な講座なのに、会社紹介の宣材チラシを忘れてしまったというおちゃめな安田次期社長。ほのぼのとした人柄を感じました。

そして……

我が家の一員になった「踏み台」、またの名を「ローテーブル」。

まだまだ新人感のある木肌。これからの経年経過が楽しみ

気づけば色んな場所に移動していると思ったら、娘が冷蔵庫前、洗面所、とせっせと運んで使っています。時にはぬいぐるみが置かれていることも。子どもたちが遊びにくれば、ソファー前でテーブルに、夜になると主人が、ソファーの横に置いてくつろぎタイム。すでに様々なシーンで大活躍しています。無垢材の素朴な仕上がりが、今後時間を経てどんな風に我が家になじんでいくのか、これからが楽しみです。

Information

「土曜日の日曜大工講座」

2回:2017513日(土)10:0012:00「ブックエンド」

3回:2017610日(土)10:0012:00「ダストボックス」

会場:NPO法人森ノオト事務所「森ノオウチ」

神奈川県横浜市青葉区鴨志田町818-3

東急田園都市線青葉台駅よりバス「鴨志田団地」「寺家町循環」に乗り、「鴨志田町」バス停下車徒歩3分。開始時間の20分前に青葉台駅に到着するとちょうどよいです。

参加費:12000円(作品1つにつき。できあがった作品はお持ち帰りいただけます)保険代、道具レンタル代込み

お申し込み・お問い合わせ:

参加者全員の氏名、生年月日(保険のため)、住所、電話番号、メールアドレス、参加の動機を記入のうえ、event@morinooto.jpまでお申し込みください。

主催:NPO法人森ノオト

共催:株式会社大丸建設

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この記事を書いた人
齋藤由美子ファクトリー事業部マネージャー/ライター
森ノオトの事務局スタッフとして、主にAppliQuéのディレクションを担当。神々が集う島根県出雲市の田舎町で育ったせいか、土がないところは落ち着かない。家では「シンプルな暮らし」関連本が十数年にわたり増殖中。元アナウンサーで、ナレーターやMCとしての顔も持つ。小6女子の母。
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