3月の中旬、子どもたちと一緒に緑地に出かけました。この日の目的は「つくし」。毎年、この時期になると散歩のついでにつくしを探し、見つけては調理をして食べていました。
しかし、この時に発見したのは、辺り一面がまだ枯れ葉色の下草の中から、ひょっこりと顔を出したふわふわの「よもぎ」でした。若芽を摘んで指でこすると、あの“草もち”の香り。子どもの頃、食べられる草として一番身近にあり、母と一緒に摘んで、草もちにした記憶がよみがえります。そうだ、今年は、はじめての草もちづくりに挑戦しよう!
「よもぎ」は、キク科のヨモギ属の多年草で、その栄養価も高いことから漢方では万能薬として扱われていました。3月から5月は、草もちの原料となる柔らかな若芽が出る時期であり、よもぎは道端や土手など私たちの暮らしの中で最も身近にある薬草のひとつかもしれません。
『日本の七十二候を楽しむ-旧暦のある暮らし-」(白井明大・著、東邦出版)では、二十四節季「穀雨」の旬の野菜としてよもぎが登場します。穀雨とは、たくさんの穀物をうるおす春の雨が降る頃のこと。まさに春のやさしい雨を浴びて、よもぎが顔を出す姿が想像できます。
「草もち」をつくるには、もちろん“よもぎ”が必要になります。今ではパウダー状のものが1年中手に入りますが、やはり自分の手で摘んだもので作りたい! そんな強い思いもあり、この1カ月ほどは子どもたちと野山に出かけてはよもぎを摘み、冷凍してストックしてきました。
さて、1カ月ほどかけてよもぎを集めました。その後、田奈恵みの里が主催する「よもぎだんご作り教室」に参加する機会があり、青葉区田奈町近隣の農家のお母さんたちからよもぎだんごのつくり方を教わりました。今回は、ここでのレシピを参考にしながら自宅で草もちづくりに挑戦しました。
■よもぎのアク抜きの方法
(よもぎは、柔らかく香りも強い若い芽を摘む。3月下旬頃がベスト)
(1) ゴミを取り除き、よく洗う。
(2) 鍋にたっぷりの湯を沸かし、その中に重層(よもぎ生葉100gに対して小さじ1程度)を入れて2分ほど茹でる。
(3) ザルにとりよく水ですすいで洗い、水の中に入れたまま15分ほどアク抜きをする。
(4) 水気を搾り、保存する場合はラップに包み冷凍保存する。
■草もちのつくり方
材料(15個ほど)
上新粉 250g
熱湯 約200㏄(粉の状態により調整)
よもぎ(茹でて、アク抜きした状態のもの)約80g
つくり方
(1) ボールに上新粉を入れ、熱湯を少しずつ加えながら木べらでよく混ぜる。粉っぽさがなくなりしっとりしてきたら、耳たぶほどの柔らかさになるまで手でよくこねる。
*粉や季節によっても生地の柔らかさが変わってくるので、熱湯の量はこねながら調節してください。
(2) クッキングシートを敷いた蒸し器に、(1)の生地を手でひと握りほどの大きさにしたものを並べ、強火で20分ほど蒸す。さらに、生地の上によもぎをのせて2分ほど蒸す。
(3)蒸し上がった生地とよもぎをボウルに移し、すりこぎで熱いうちに突いて生地とよもぎを混ぜ合わせる。生地が冷めてきたら、手水をつけながら手でよくこねる。
(4)白っぽいところがなくなり、なめらかな状態になったら、お好みの大きさに丸めて出来上がり。きなこやあんこと一緒にいただきます。
冬が終わり、植物や小さな生きものたちが一斉に息を吹き返して、活動的になりはじめる季節。人もその気配に誘われ、そわそわと外へと出かけ、足元に広がる生命力あふれた自然からの贈り物を少しだけいただき、そして、口にする。1年のうち、その時でしか出会えない味、その過程で感じる季節の移ろいから、四季のある国に生まれたことへの感謝の思いがじんわりと湧いてきます。
端午の節句に食べるお菓子の一つでもある「草もち」、想像よりとても簡単に出来上がりました。今年は、よもぎを探しに、ちょっとそこまで出かけてみてはいかがでしょうか。
※なお、市民の森や公園での植物採取は禁止されています。畑の脇や土手は私有地であるケースが多いため、地主さんや農家さんの許可を得るようにしましょう。
「田奈恵みの里」
http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/nousan/megumi/tana/
*田奈恵みの里では、さまざまな教室が催されています。詳しくは上記ホームページをご覧ください。
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