川崎市宮前区犬蔵で4代続く村野家の当主・村野浩一さんは、青葉台駅前郵便局長として、よこはまハロウィンやライブイベントなど、様々な地域活動を仕掛けるまちづくりのキーマンです。「時々、野菜や漬物がもらえる郵便局」として、マスコミでもちょっと有名な村野さん。年に2、3回、自宅に近隣の郵便局職員やまちづくりの仲間を招いて、バーベキューをおこないます。特に、毎年ゴールデンウィークのころにおこなう「タケノコバーベキュー」は、ご当地の旬を味わえるとあって、大人気!
村野さんの活躍と交流を影で支える、奥様の智美(さとみ)さんはお料理上手で、家で採れる旬の農作物を加工し、おいしく食べるコツをご存じです。郵便局の職員に混じってバーベキューにお呼ばれされる我が家も、智美さんのお料理が楽しみで仕方がありません。
村野家では毎年、4月中旬からゴールデンウィーク明けくらいの1カ月弱、タケノコが採れます。収穫は浩一さんと智美さんの仕事で、市場に出荷したり、直売やご近所におすそ分けするものを含めて、年によって収量にばらつきはあるものの、毎年350~500kgくらいをさばくのだそう。
タケノコは、漢字で書くと「筍」で、放っておくと「一旬(10日)」で竹になってしまうから、収穫は毎日です。そして、切断したら急速にエグミが強くなるので、手に入れたらその日のうちにゆでるのが鉄則です。「タケノコは湯を沸かしてから掘れ」という言葉もあるほどです。
村野家ではタケノコの時期は、カマドがフル稼動! 掘ったらすぐにタケノコをゆでます。
焚き付けに使うのは、乾燥させた竹の枝と新聞紙で、火が上がったら太い竹を半分に切った薪をくべて、火力を安定させます。
「昔は、薪の量で家の豊かさが決まると言われたほど、安定的に薪を持っていることが大切だったんですよ。私が嫁いできた24年前は、お風呂も薪で炊いていたんです」と智美さん。「そういえば、子どもの頃は、お風呂を沸かすのが好きだった」と、浩一さんも相槌を打ちます。
右のカマドは「五升釜」で、主にタケノコをゆで、さらに大きな左の釜では、お正月やお祝い事の時に、もち米を蒸すのに使います。
村野家のカマドは、今や犬蔵エリアでは一、二軒とも言われる「現役のカマド」で、地元の小学生の社会科見学の受け入れをおこなっているそうです。
「一般のご家庭では、アクとえぐみをとるために、米ぬかと赤唐辛子を入れて、水からゆでてくださいね。長くゆですぎると、その後の調理の時にやわらかくなってしまうので、30分くらいがちょうどよいと思います」と、智美さんにアドバイスをいただきました。
我が家では、村野家のバーベキューや、森ノオトの事務所「森ノオウチ」の大家さんから毎年タケノコをいただくので、この時期は毎年、タケノコづくしの食卓になります。
それでも、私のバリエーションは、土佐煮と炊き込みごはん、わかめときゅうりとタケノコの和え物くらいのワンパターンなので、今回の取材で、智美さんにいろいろなタケノコ料理を食べ、とても勉強になりました。
「穂先は細かく刻んで、ラー油やごま油で炒めて砂糖醤油をからめると、いくらでもごはんが食べられますよ」「生のタケノコの穂先は味噌汁に入れると意外とおいしいの」など、タケノコ農家だからこその料理法を智美さんにたくさん教えていただき、翌朝の食卓ではさっそく試してみました。
今や、一年中ゆでタケノコが手に入る時代ですが、旬のタケノコを自分でゆでて、さまざまな料理に活用するのは、季節の恵みを感じるうえでも、とても楽しいことです。直売所で売られているタケノコは、米ぬかと赤唐辛子がセットになっていることも多いので、ぜひ、チャレンジしてみてくださいね!
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