こっそり人に教えたくなる!ニューウェーブベーグル専門店
オープンするのは週に4日。開店日も午後には「SOLDOUT」。お目当てのベーグル、マフィンが残っていたら買い占めてしまうかも?! そんな私のささやかな幸せを作ってくれるお店「TREFLIP BAGLE & BREADS」を取材してきました。

横浜市青葉区黒須田、東急田園都市線あざみ野駅からはバスで20分ほどの住宅地に、昨年11月にオープンしたベーグル専門店「TREFLIP BAGLE & BREADS」はあります。

黒須田からもみの木台を横浜総合病院に向かう並木通り沿い。水色の屋根が目印

まるで都内にあるオシャレなコーヒーショップのような外観。開放感あるスライドドアを開けると、「うなちゃん」の愛称で親しまれる田中真理子さんのキュートな笑顔が迎えてくれます。

 

カウンターには、ベーグルをメインに、イングリッシュマフィン、ビーガンマフィン、クッキーなどの焼き菓子がセンスよくディスプレイされ、月に一度は季節のグラノーラがそこに加わります。店内の工房で手作りし、製造から販売まですべてうなさんが一人で切り盛りしています。

モッチモチのベーグルは、季節によって6種類ほど。「その日の気分によって」という焼き菓子は毎回どんなものが並んでいるか楽しみ

オープン直後から週1回くらいで通い詰めている私。パン屋さんでもない、洋菓子屋さんでもない商品のラインナップに、「ここだから食べられる味」としての魅力を感じます。朝一度だけ焼くため、午後に行くとお目当てのものが売り切れていたり、もう閉店していたり……なんていうこともよくあります。だからこそ、お店の前を通って「OPEN」の看板が見えた時にはちょっと早足で店の扉を開け、ついつい買いすぎてしまうことも。

 

「地元の青葉区によい物件があれば、いつかお店をやりたいと漠然と思っていました」とうなさん。この黒須田の物件は、友人で今や全国のイベントで引っ張りだこの青果ミコト屋の鈴木鉄平さんから紹介してもらった場所なんだとか。「地元で活躍する先輩の鉄平くんには、オープンまでのいろんな相談にのってもらいました」

 

20代半ばまで飲食とは全く関係のないOL時代を過ごしていたといううなさん。

 

「もともとパンが好きだったというのはありますが、何か手に職つけたいなぁって思って。私はものすごく堅実だから、就職にも困らないようにパンの専門学校に通ったんです」と笑います。

 

卒業後はネット販売のみのパン屋での商品開発、都内のベジダリアンカフェでパンの製造を経て、独立。その後は都内にキッチンを借りて工房とし、勤めていた時のつながりでお店に卸したり、料理家と組んでの仕事や、イベントに出店したりと、様々なスタイルでの販売の経験を積んできました。

 

3年前に息子さんが生まれてからも、ほとんど休むことなく仕事をしていたうなさん。

 

「動いているほうが私は楽だから、赤ちゃんの頃から作業場にも連れて行ったり。お店への納品も、どこでも子連れでした」

 

息子さんがいる生活の中で、作業工程を中断しても困らないようにと作り始めたグラノーラをオンラインショップで販売したところ、人気に火がつきました。

 

「私がお店やるって言ったら、周りからはグラノーラ屋だと思われていたんですよ(笑)」というほどの評判で、そのグラノーラは今では月に一度、フレーバーを変えて製造しています。オンラインショップと取い扱い店への卸しがメインですが、一部は店頭でも販売しています。

グラノーラの仕込み中。6月のグラノーラはメープル&ココナッツ

「なぜか、ベーグルはネットじゃなくて、自分で売りたかったんです」

 

都内に行けばあるけど、青葉区の近所ではあまり見かけないベーグル屋さん。息子さんも幼稚園へ入園する前後のタイミングで、念願のベーグル専門店を開くことになりました。

 

小さいお子さんを連れて来る常連さん、一人でふらっと入ってくる男性、SNSで見てこのお店をめがけてきてくれる人……。実際にお店に来るお客さんの顔を見て販売するのがとても楽しいと、うなさんは言います。

 

オープン当初は、お店に行くとディスプレイの横に息子さんの姿を見ることも。「実家や旦那さんにみてもらったり、本当に周りに助けてもらいながらだからできることだなぁって思っています」。そして、うなさんはこう続けます。

 

「でも息子と一緒に過ごせる時間も大切にしたい。だから保育園じゃなくて幼稚園という選択にしました」

 

この4月から始まった息子さんの初めての集団生活の様子を楽しそうに話すうなさん。家族と過ごす時間も大切にしながら、お店を無理せずに続けていこうという、地に足のついた様子に、私も働く母親としての共感する部分がありました。

対面式で販売。オシャレに並べられたベーグルや焼き菓子は、まるで服のセレクトショップにも思えて、何を買おうかと悩む時間も楽しい

TREFLIPでは通常営業している傍らで、うなさんの友人のイラスト展や写真展を開催することもあります。店内に飾られた雑貨やイラストは友人たちの手作りなんだとか。友人の建築家に丸ごとお願いした内装も「初めから居心地がよくって」とうなさんのイメージとぴったり合っていたのだそう。

屋号を掲げてからずっと使っている看板。スケートボードのフィルムメーカーをしているうなさんの夫が名付けた店名

 

360°回るスケートボードの技が由来となった「TREFLIP」という店名と、一周ぐるっと輪っかを作るベーグル。それとリンクして、うなさんを支える友人や家族がつながる大きな輪っかが、このお店を作っているように感じました。

 

「一日にたくさんは焼けないし、お店が開いている日も多くはないけど、長くコツコツできたらいいなと思っています。ここは駅から遠いけれど、わざわざ目指して来てくれるようなお店にしていきたい」

 

こっそり人に教えたくなる、ベーグル専門店。この場所で長く愛されていくお店になることを願っています。

 

**<エリア特集>暮らしを楽しむあざみ野 記事一覧はこちら**

Information

TREFLIP BAGLE & BREADS(トレフリップ ベーグルアンドブレッド)

横浜市青葉区黒須田24-18103

営業時間:9:0016:00(商品なくなり次第閉店)

定休日:日・月・水(不定休あり)

Tel045-294-2969

FBhttps://www.facebook.com/treflipbagel/o

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この記事を書いた人
宇都宮南海子事務局長/ライター
元地域新聞記者。エコツーリズムの先進地域である沖縄本島のやんばるエリア出身で、総勢14人の大家族の中で育つ。田園風景が残る横浜市青葉区寺家町へ都会移住し、森ノオトの事務局スタッフとして主に編集部と子育て事業を担当。ワークショップデザイナー、2児の母。
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