よこはま100人のひとしずく〜手前味噌づくり〜3/3(土)にいはるの里山で。
横浜の農ある風景と豊かな食文化を守ってきた農家・三澤百合子さんと元芳さん。NPOとして食と農と里山をつないできた吉武美保子さん。食でまちをむすびたいと考える料理家・みつはしあやこさん。森ノオトが媒介者となり、「100人で味噌づくり」を通して、新しい物語をつむぎます。3月3日(土)ににいはる里山交流センターで「よこはま100人のひとしずく〜手前味噌づくり」を開催します。(写真:みつはしあやこ)

たまプラーザのWISE Living Lab.で、手前味噌講座をおこなうみつはしさん

 

 

味噌や梅仕事、漬物など、季節の手仕事を通して「まちむすび」を考える料理家・みつはしあやこさん。4人のお子さんの母親で、「心と体を満たす“生きる糧”を厨から子どもたちへ」という願いを持ち、出張手前味噌教室や、日常の食「汁飯香 一汁一菜」の大切さを子どもたちに伝える「和食育こころ」を運営しています。

 

「毎日の食事は、自分や家族の体を大切に育み慈しむことにつながり、その積み重ねが周りの人を大切にすることにもつながります。一杯の味噌汁は、生きる糧になります。味噌を手づくりすることは、子どもたちの未来をつくることでもある」と、みつはしさんは、味噌から始まる食育に取り組んでいます。

 

いつしか、その想いは「まち」に広がっていきました。

 

「季節の手仕事をまちのみんなでおこなうことで、世代や性別、学区を越えて知り合うことができます。味噌は、寒いうちに仕込んで、春夏秋と発酵を待って、おいしくなるのは次に寒くなるころ。みんなで一つの大きな木桶に仕込んで、一人ひとりが持ち帰るのではなく、秋にまた集う約束をして、“同じ釜の飯”ならぬ“同じ桶の味噌”を囲みませんか」

 

1月17日、横浜市青葉区の三澤百合子さん宅で大豆の選別作業をおこなった。みんなで手を動かすのは楽し、口もなめらかに動く。だけど、農家さんは日々これを生業としておこなっており、いかに大変な仕事かと思う

 

 

このまちの100人で味噌をつくりたいと想っていたみつはしさんが、たまプラーザ在住の山本久美子さんに出会ったのは、昨年のこと。2014年にたまプラーザに引っ越してきて、「自分の住むまちを、地域のみんなで盛り上げていこう!」という、まちづくりを楽しむ人たちに魅せられて、「たまプラ一座」シェアカル、そして森ノオトなど、様々な活動に参加してきた山本さんは、同じくたまプラーザ在住のみつはしさんの想いに共感してそれを実現したいと、動き始めます。

 

「とはいえ、なかなか“100人”で味噌を仕込める場が見つからなくて。できれば、自然と人がふれあえる、古民家や里山風景のあるところで味噌を仕込みたいと思っていました」という、山本さん。

 

みつはしさんと山本さん。みつはしさんの真摯な想いと、山本さんのピュアな行動力が、このプロジェクトの原動力となった(写真:北原まどか)

 

 

山本さんのSNSでの発信を目にした私は、山本さんを通じてみつはしさんの想いを知りました。

私はこれまで10年、団地暮らしの仲間たちと、故郷・山形の大豆と糀を使って手前味噌づくりをしていました。同じ仲間が翌年も集まり、前の年につくった味噌を持ち寄って、同じ材料・同じレシピ・同じ場所でつくったのに、その家ごとに味が変わるおもしろさを味わい、味噌づくりに魅せられていました。より多くの人に味噌を通じて「食の礎をつくる」ことを伝えたいと、2016年からは森ノオトのイベントとして味噌づくりワークショップを展開していくなかで、地元・よこはまの農家さん(遊休農地を活用する会)にお願いして地産地消、しかも無農薬の大豆をつくることになりました

 

種を継いで、畑に植えて、農家さんが大切に育てて、実った大豆。その物語をより多くの人に伝えたい。農家さんが農業を続けてくださることで、私たちの貴重な緑、里山の機能が保たれ、未来に残したい風景が今、ここにある。農家の営みを知り、伝えるには、その出口である「食」を、覚悟をもって伝える人と一緒に動くことではないかと、感じていました。

 

そうして昨年末、森ノオトの会員でもある山本さんを通して、みつはしさんに、「森ノオトでは、地元の農家さんにお願いして、地産地消で、無農薬の大豆がをつくってもらっています。その大豆を使って、一緒に味噌をつくりませんか」とお声をおかけしたのです。

 

手前味噌づくりは、子どもも一緒に楽しめるのが魅力。実は味噌になる前の選別作業だって、子どもがいればみんな笑顔になれる

 

 

「100人で味噌をつくる」という壮大なプロジェクトは、100人という人数にこだわっているわけではないけれど、なるべく多くの人たちで同じ「場」を過ごし、「手」を使って、「心」を交わすことで、そこに至るまでの物語、そこから始まる物語をつむいでいきたい。だから、できる限り、「100人で味噌をつくる」という願いが叶う場所がないものか、と考えました。

 

そこでご相談したのが、里山保全という立場から、よこはまの食と、農と、緑をつないできた、NPO法人よこはま里山研究所(NORA)の理事で、にいはる里山交流センターを運営するNPO法人新治里山「わ」を広げる会の事務局長・吉武美保子さん。「だったら、にいはる里山交流センターを会場として提供しますよ」と、即答いただきました。そして、糀の入手先について困っていたところ、吉武さんが掛け合ってくださって、三澤さんのお米を使って、横浜を代表する女性農業者・平野フキさんが糀をつけてくださることになったのです。

 

選別後、三澤さんが用意してくださったおやつ。おしるこにお漬物に梅煮にさつまいも。素材からすべてここにあるものでつくられている、最高の「ご馳走」だった

 

 

今年の1月10日にみつはしさんと出会って、わずか一週間の間に、大豆、糀、そして里山の中の素晴らしい会場が見つかりました。横浜の風景、農業、四季折々の行事、そして食……。毎年、種を継ぐように、稲を植えていくように、先人たちが過去から現在、未来へとつないできた物語の中に、この「よこはま100人のひとしずく〜手前味噌づくり〜」が一滴を落とし、そこからまた、小さくも新たな物語をつむいできます。

 

会場となる「にいはる里山交流センター つどいの広場」。眼前にはにいはるの里山風景が広がり、最高のロケーション(写真:北原まどか)

 

Information

「100人のひとしずく 〜手前味噌プロジェクト〜」

 

日時:2018年3月3日(土)13:00〜15:00

募集人数:100人(大人子ども含める)

参加費:3000円

  • 秋に約500gの味噌をお持ち帰りできます。おにぎりとお味噌汁の軽食つき
  • ご家族で参加する場合は、お一人あたり+1000円で軽食をご用意します。
  • 軽食不要の乳児は参加費無料です。
  • イベント保険料込み

持ち物:エプロン、三角巾、マスク、味噌汁用のお椀、箸、手ふきタオル、汚れものを持ち帰るビニール袋、大豆をつぶすためのすりこぎやマッシャー

※汚れてもよい服装でお越しください。

 

会場:にいはる里山交流センター「つどいの家」

横浜市緑区新治町887

http://www.niiharu.jp

JR横浜線「十日市場」駅南口より徒歩15分

東急田園都市線「青葉台」駅もしくは「十日市場」駅より市営バス23系統「三保中央」行き「杉沢」バス停より徒歩6分(運行時間は1時間に1本程度です)

  • 会場には駐車場はありません。公共交通機関か徒歩でお越しください。
  • 公園は一般の来訪者も多く訪れます。手前味噌づくりの様子もオープンにして見学・交流いただく形になります。また、広々としたスペースで里山景観を楽しめますが、お子様の行動につきましては保護者の方の責任で、危険のないよう目をお配りいただけますよう、お願いいたします。
  • イベントの前後は、新治市民の森の散策や旧奥津邸の見学などをお楽しみいただけます。

 

主催:NPO法人森ノオト & 食べる愉しみ企画室(料理家・みつはしあやこ)

協力:新治里山「わ」を広げる会

 

申し込み方法:2018年1月31日(水)10:00より、以下のフォームから受付いたします。フォームが使えない方は、event@morinooto.jp まで、「手前味噌づくり申し込み」の件名で、以下の内容(代表者名と生年月日、代表者以外のご家族の参加者名と生年月日(軽食不要の乳児はその旨記入)住所、電話番号、E-mail、参加動機)をご記入のうえ、お申し込みください。保険申し込みのため、参加者全員の生年月日もご記入ください。受付後、ご入金方法やキャンセルポリシー等をご案内いたします。

 

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この記事を書いた人
北原まどか理事長/ローカルメディアデザイン事業部マネージャー/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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