森ノオトでは、青葉区とともに「フラワーダイアログあおば」という事業をすすめています。ここでいうダイアログ=対話には、一人ひとりが身近な花や緑との対話をするという意味と、花や緑の活動を通じて、人々が世代を超えて対話、交流することで、まちづくりに参加するきっかけをつくるという、ふたつの意味がかけられています。
令和2年度のフラワーダイアログの取材記事第3回目となる今回は、まちなかの花や緑を愛でて語る、雑草博士との対談記事「みちくさのススメ」に続き、庭がなくても楽しめる、鉢物の寄せ植えレッスンを公開します。
誰しも一度は園芸に憧れるのではないでしょうか?そして、やる気になって買ったけれど放置されている植木鉢がひとつふたつあるという方も多いのではないでしょうか。記事を読んで、再びチャレンジしてみようという人が増えたらいいなと思います。
まず最初に、「どこからどんな苗を買えばいいの?」という悩みを抱える人は多いと思います。寄せ植えをするにあたり、大事なのは、ここは好きだなあ、センスがいいなあと感じるお気に入りのお店で鉢や花苗を購入することです。
そうすることで、簡単に自分の理想の寄せ植えに近づけます。青葉区にはたくさんのお花屋さんがあり、森ノオトでも、ライターがお気に入りの地元の素敵なお花屋さん(空の箱・アトリエアイ)や、花育(はないく)に取り組む団体(フラワークラブなな夢)を紹介しています。また、昨年のフラワーダイアログでは、区内の複数の園芸事業者などにお声がけをして、小さなフラワーショーを実施しました。その場で、「この園芸事業者さんにお庭をお願いしたい」という参加者とのやりとりもあったそうです。実際に色々見比べて、その時の自分にしっくりくるお店を選択するという、最初の入り口を楽しんでほしいと思います。
里井さんが「寄せ植えキャラバン」を始めたのは、数年前のこと。自宅をアトリエとして花のレッスンやマルシェなどをしていた里井さんに、お年を召したお客様から「作業がちょっとしんどいから来てくれない?」と要望があって始めたのだそうです。「園芸の作業は優雅に見えて実は重い荷物を運んだり、腰をかがめたりと重労働ですからね。それに、ご自宅に伺うと、ああ、こういう場所で育てているんだ、と、お花の環境とか、使っている植木鉢、お庭の状態がわかっていいんです」という里井さん。
最近では、事前にご自宅の写真や映像を撮って送ってくるお客さんもいるそうです。
寄せ植えをする花を買いに行く時にも、花を置きたい場所の写真や映像を撮ってから、お店に行って相談してみてはいかがでしょうか。目移りしてたくさん買いすぎることも防げるし、きっと、どの店の店主も喜んで対応してくれるはずです。
結果、選んだ苗は、ニゲラ、オレアリア、ブルーサルビア、ペチュニア(ピンクの花)、リッピアです。あらかじめ、苗を選ぶ段階で完成時の配置を決めておくと、植え替え作業の際に迷いません。「初心者向きの苗はありますか?」という質問がよくありますが、「自分がいいなと思う苗を選び、その育て方のコツをお店の人に聞いてみたらいいのでは?より愛着が湧いて、結果的にきれいな花が咲いてくれると思いますよ」と里井さん。
そして最も大事なのが土。「土の品質は金額に比例するので、いいものを買いましょう」。25リットル入りで一袋1,000円以上するものがよく、里井さんオススメの土はこちら。「虫がつくのをどうしたらよいか?」という悩みも多いのですが、やはり最初が肝心、良い土と丈夫な苗を選べば、虫も早々寄り付かないとのことです。
植木鉢は、植物たちの「おうち」です。心地よい環境をつくるために、鉢に残っている古い土を取り出しました。里井さんは、鉢底石の代わりに赤玉土を使っています。赤玉土なら、次の鉢の植え替え時に取り除く面倒もなく、土として色々と再利用もできるので、早速自宅でもまねしたいと思いました。
土が用意できたら苗の植え付けです。全部の苗を鉢の中に配置してから土を入れるのではなく、一つひとつ順に自立するように植えていくのがコツです。ポットから苗を出したら、肩の部分の余計な土を落とし、全体的に丸みを帯びた形にして、土の上に配置します。
里井さんは「園芸用手袋だと厚すぎて!」と、手の感覚をより感じ取るために薄いビニール手袋を愛用しています。素手でももちろんよいとのこと。土を苗と苗との間や鉢のきわまで隙間なく入れるために、指先の繊細な感覚を頼りにしているそうです。
上の写真で、つるが伸び、丸い小さな花が出ているのがリッピアで、「こういうつる性のものは寄せ植えをする時、つい一番手前に持っていきがちだけど、そうすると手前の部分だけ伸びてしまって時間が経つと全体のバランスが崩れてしまうんです」との指摘に、再びなるほど!いかにもやりがちだと、うなずきました。白い小花のアリッサムの少し奥、中央に近づけてリッピアを配置しているのがわかるでしょうか。いずれ、四方からつるが出てくるように配置しています。こうして、事務所の玄関前が一段も二段も華やかになりました。
植え付けたあとは水やりです。植え替えたばかりの時は、やりすぎかな?と思うくらいたっぷり水をあげます。最初になるべく土をふわっとさせて、苗を手でぎゅうぎゅう押し込まないのは、水の力を借りて最後の仕上げをするからです。
ちなみに、上の写真は、森ノオト事務所の中庭にある別の鉢で、里井さんの見本を見ながらスタッフが植え付けたものです。ライムグリーンのバーベナと、1つの苗を3つに分割できるヒペリカムシルバーナという多肉植物のような葉っぱ、黄色のペチュニア、コロニラ・バレンティナの斑入りの葉っぱで、素朴なやさしさを表現したような仕上がりです。植え付けの角度が違ったかも?とか、全体的に、先生の作品と比べると立体感がない?など、反省点もありますが、可愛らしくできたので、訪れる人の心をホッとさせてくれるでしょう。秋まで長く楽しめるよう、草花との「対話」を欠かさないようにしたいと思います。
里井さんの寄せ植えレッスンから2週間の間に、急な暑さが続いたり突然の大雨を受けたのに、寄せ植えの鉢は外に出しっ放しでいても元気に育っています。植え付けから少し経って苗が安定したら、水やりは週1回でも大丈夫だそうです。とはいえ、事務所の玄関前はかなり日当たりが良いので、天候の様子を見ながらなるべく乾かないように水やりをしています。夏休みなど、しばらく出かけてしまう時は、思い切って全く日の当たらない場所に鉢を移してあげると良いそうです。
花の苗を見るとついたくさん買いすぎてしまうものですが、里井さんは「ひと鉢があれば十分、そんなに買いすぎないでってお客さんに言うんですよ」と笑います。数をあえて制限することで、本当に好きなイメージに近づける目とセンスが磨かれます。
そして、やっぱり大事なのは、毎日ほんのちょっとでも花の様子を見てあげること。自分が行きづらい場所には絶対に鉢を置かない方がいい」と、お客さんにはアドバイスするそうです。
鉢と定位置決まっていれば、次回の秋の植え替えにはこうしよう、といったアイディアが湧いてくるはずです。そして、園芸店や花屋さん、近所のお庭や、まちなかの、ちょっとした植え込みを見る目も変わってくるでしょう。
ひと鉢の寄せ植えから、たくさんの対話が生まれますように!
フラワーダイアログあおばでは、2020年6月から
SNSを使って花と緑を通じたつながりづくりを実施しています。
FacebookとInstagramで「#フラワーダイアログ」をつけた写真の投稿で、青葉区内の花と緑の情報を事務局から発信しています。
みなさんも、ぜひ「#フラワーダイアログ」をつけて、身近な花や緑を投稿してくださいね。
詳しくはこちらをごらんください。
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