花と緑の「つながり」から膨らむ地域活動~「区役所で花端会議」第2弾に参加して
梅の花も咲き始め春の訪れを感じた3月5日、青葉区と森ノオトの協働事業「フラワーダイアログあおば」のプログラム「区役所で花端会議」の第2弾がオンラインで開催され、花と緑の地域での活動者と、関心のある人たちが交流しました。

コロナ禍での自粛期間、近所の公園へよく出かけるようになり、青葉区の花と緑に興味を持った私。市ケ尾にあるお花屋さん「ジョイフロリスト」の取材をきっかけに、フラワーダイアログに関わるようになりました。さてさて、画面をのぞくと花端会議ウィークでの取材や、森ノオトの記事の取材で知った顔がちらほら。第1弾の昨年9月の時とは参加メンバーも変わり、集まったみなさんの話を聞いて、改めていい地域だなあと感じた今回の花端会議。来られなかった方々のために、レポートします!

 

つながりづくりから始める持続可能な花と緑の地域活動

 

今回の花端会議のテーマは「『つながり』づくりからはじめる持続可能な花と緑の地域活動」。第1部では保木公園の取り組み報告をメインに、その他4団体の活動紹介が青葉区役所とオンラインをつないで行われました。

 

まずお話ししたのは、「保木公園」愛護会会長赤野たかしさん。青葉区の一番北に位置する保木公園は、多目的広場や遊具もあり子どもたちから犬の散歩をする方までたくさんの人に利用されています。赤野さんが愛護会会長になったのは2017年。20年以上活動が続いてきた愛護会を引継ぎ、2013年に開校した美しが丘西小学校関係者の皆さんと一緒に公園を盛り上げていこうと新たに活動を始めました。2019年12月には、ペットとファミリーのコミュニティイベント「第1回保木公園フェス」を開催。愛護会メンバーで協力をしあい、盲導犬や救助犬を呼び込み、近隣の動物病院やパン屋さんからの協力を得て、イベントは地域の皆さんにも大変好評だったそうです。

 

フラワーダイアログとの本格的な関わりは、2020年。対話の場を通じて、花と緑の地域活動を楽しく継続するためのサポートをすることで、公園や、愛護会を取り巻く地域の人々が、緩やかにつながりました土がカチカチでスコップも入れることができず花も植えられない状況だった保木公園の土壌も、青葉土木事務所の協力で堆肥ボックスを設置し、堆肥作りをするなど改善してきました。今では、堆肥置き場にカブトムシの大きな幼虫が大発生するまでに。今年の夏には成虫になると、楽しみにしているそうです。また、「愛護会」というと敷居が高い印象があるのではと、「保木公園ファンクラブ」としてグループLINEをスタート。近隣に住む子育て中の私も参加していますが、「ファンクラブ」としたことでお子さんをお持ちの親御さんがたくさん参加するようになったそうです。

 

2021年度愛護会メンバーで話し合って「あおば地域サポート補助金」を申請。助成金を得て事業を行った(写真:当日の保木公園の発表資料より)

 

より魅力的な公園を計画する中で、様々な補助金制度があることを知り、2021年には、青葉区の「あおば地域サポート補助金」を申請·獲得しました。

 

獲得した補助金で行った事業の1つとして、202111月には、「部分月食を見る会」を開催。駅から離れた高台にある立地をいかしてJAXAのボランティアグループの方と一緒に望遠鏡で空を観察しました。保木公園ファンクラブのグループLINEでは、会の終了後も星や月の話題で盛り上がっていて、楽しんで参加されたみなさんの様子が伝わってきました。

 

他にも、公園内の樹や花を知り、寿命プレートを作成·取り付けるイベントも行っているそうです。

 

「これからもみなさんの力を借りて、できることを無理なく楽しく活動をしていけたら」、と赤野さん。お話終盤での「子どもたちにとっては、ここがふるさと」という言葉が心に響きました。私が子どもと一緒に花苗を植える作業に参加した時も、子どもたちからの質問に愛護会のみなさんが優しく丁寧に応えて下さっていて、こうした関わりが子ども達の成長を促しふるさとへの思いにつながるのかなと感じました。

 

次の活動紹介は、「市ケ尾町公園」。中市ケ尾自治会の方々が、2年ほど前から、新たに市ケ尾町公園花ボラ愛護会の活動を始めました。代表の佐藤進さんと共同代表の渡辺幸野さんが、コロナ禍の閉塞感を打破したいとまず、自治会館に花を植えたところから活動がスタート。次にお花を植えようと考えた市ケ尾町公園は、最初は草が生い茂り人も入れない状態でしたが、生えていた3つの矢車草を見つけて「ここで花壇を作っていた人がいたんだ。それなら自分たちにもできる!」と花壇づくりを始めます。家にあまっているものでも何でもいいから植えていこう、と今まで60種類くらいの花を植えてきました。

 

市ケ尾町公園の活動報告の中で思わず画面にくぎ付けになったのが、渡辺さんが毎月手作りしているという絵ハガキ。行事予定や作業内容と共にその月のお花の写真や絵が描かれた絵葉書は、色とりどりでとても素敵

 

3番目は、「あざみ野三丁目東公園」。愛護会副会長の那波英利子さんは、愛護会に関わって14年。手入れがされず見通しが悪く暗い状況を解消しようと防犯のために活動をスタートしました。あざみ野三丁目東公園は、あざみ野団地内にある通り道にあたり、散歩道として毎日、たくさんの人が行き来します。「街のみなさんの通り道だから、安全で素敵な公園にしたい」と那波さん。宿根草を取り入れて、ナチュラルで、手がかかりすぎない、自然風のガーデンを目指して、10年以上経ってようやく素敵になったと感じているそうです。取材で公園を訪れた時に印象的だったのが「引越しするから」と那波さんが引き取って植えたという苗の数々。多様な種類の植物もグループ分けして植えることで、自然な中にもまとまりがある美しさを感じました。

 

報告会で那波さんは「植え替えがあまり必要ないものとか、街路樹の根を守ってくれる植物などを取り入れて、自然風の美しいガーデンを維持していきたいし、一緒にやりたいという人を増やしたい」とこれからの活動の思いをお話されていました。

 

毎週月曜日の定例活動日以外に、月一回団地のクリーンアップデー後に公園掃除も行っています。あざみ野団地に暮らす多世代の皆さんが家族のように集う姿は、とてもアットホームな雰囲気。昨年秋、フラワーダイアログSNSに公園の様子が投稿された際は、元居住者のみなさんも喜んで見ていたそうです

 

4番目は、荏子田太陽公園。荏子田太陽公園愛護会は、結成から20年。JORJoy Of Roses)というバラの会と、地域組織が手を結んで荏子田太陽ローズガーデンへと発展していった活動です。きっかけは防犯目的でしたが、バラが好きでお庭で育てていた方がいたことで、バラがテーマの公園が実現しました。赤澤増男さんと増田健一さんのリーダーシップの下、参加メンバーからの声を柔軟に取り入れる土壌もあって、ここ最近では、以前から行われていた花壇の花植え活動のメンバー3人が、グリーンカーペットという園芸サークルを作って、バラ以外の花壇も充実させているそうです。地域の組織や団地との連携がしっかりされていること、地域の伝統的な行事も大事にしていながらも新しいアイディアを提案できる場があることで、革新的な取り組みが実現しています。今回の花端会議には残念ながらメンバーの方は欠席となりましたが、花端会議ウィークで私が取材に訪れた際に「ローズハウス」(横浜市都市整備局が行うヨコハマ市民まち普請事業によって2019年に完成)でお茶をいただいたひと時が、とても心地良かったことを思い出していました。

 

最後の活動紹介は、こどもの国のみどりのボランティア世話人代表の瀬田武久さん。みどりのボランティアは「こどもの国」が取り組んでいるボランティアの組織で、この名称になってから約30年。活動エリアは子どもの国の一部左奥にある約2haの広大な敷地。現在50名の方が登録をしていて、活動日は年間にすると約110日以上にもなるというから驚きです。そんな瀬田さんが危惧しているのが後継者問題。解決の糸口になればとボランティアの歴史、年間スケジュールを資料として残す作業を行いました。「資料として残したことで新しく入った方にも、古くからいる方にも理解が深まり、組織の風通しがよくなったかなぁ」と瀬田さん。「後継者問題についてご意見やアドバイスを伺いたい」という投げかけで報告は終了しました。

 

当日は活動報告の登壇者がいる区役所と参加者がオンラインでつながり開催されました

 

活動紹介後には公益財団法人横浜市緑の協会の郡司美佐さん、協会が行っている地域の緑化活動の支援についての紹介がありました。緑の推進団体に入ると、団体や自治会にも様々な支援があります。春と秋の植え替えシーズンにお花の苗の支援をしており、横浜市内の農家さんが作った苗を公園に届けてくれる取り組みは好評だそうです。

続いて、横浜市環境創造局みどりアップ推進課課長の小田嶋鉄朗さんからは、横浜みどりアップ計画の活動目標である「市民と緑の関わりを増やし、豊かな暮らしを実現」というのは、まさに参加されている皆さんそのもの。2027年開催予定の『横浜国際園芸博覧会』に向けて「横浜はガーデンシティだからこそ、こうしたイベントができるんだね」となるように出来る限りのお手伝いをしたいとのお話があり第1部は終了しました。

 

場に込められた思いと「つながる」思い

 

2部では参加者が5つのグループに分かれて花と緑の地域活動をしている方と、興味関心を持っている方が交流し、活動を楽しく継続していくための知恵を共有しました。

私が参加したグループでは、第1部の感想として「活発で精力的な活動に多くの人が参加していてビックリした」という声が共通して聞かれました。また「活動を拡大するためには、色んな人と関わる必要があるのかな?」という問いに「自治会との連携、イベントのチラシを回覧板でまわしてもらったり、愛護会で直接声がけをして協力団体を見つけている」という具体的な内容から「なかなか他の地域の団体と交流する場がないのでぜひ連絡先を交換させてください」というやりとりまで聞かれました。園芸·造園アドバイザーの方からは「プロとしてフォローしていくのが仕事。ぜひ身近なプロを使ってください」とのお話もありました。

 

グループトーク終了後は、他グループでのトークをシェア。「非常に参考になった」「すごくモチベーションが上がった」という感想や、実際の事例を自分たちの活動に取り入れたいという声も上がりました。中には、「地域に開くためのツールとしてどんなことをすればいいんだろう」という投げかけに「定例で行うということが、実は非常に良いアイコンだった」という経験から生まれたお話や、「ハードルを下げる」といったキーワード、後継者問題について「手があがらなくても、なんとなく引き継がれていくもの。大丈夫じゃないかな」という体験を踏まえたアドバイスもありました。

 

参加されたみなさんは、青葉区をはじめ都筑区の公園愛護会、中学校で花壇の里親活動を行っている方、地域施設で花緑のボランティア活動をされている方など区を超えた多世代の皆さん。環境創造局みどりアップ推進課の小田嶋さんからは「こうした情報共有を世代・エリアを超えてできるという点に未来を感じた」という感想も

 

今回、花端会議第2弾に参加してみて、自分たちの活動を紹介したり他団体の話を聞いたりお互いに共有することで、みなさんの表情がどんどん活き活きとしていったのが印象的でした。

 

「こどもの国では来週末つばき祭りがあるので、ぜひこどもの国にいらしてください」、「今日の夕方牛久保公園がイッツコムで紹介されるのでぜひ見てみてください」。会の最後には、それぞれの活動の場へのお誘いがかかるたびに、イイネ!の笑顔が画面いっぱいに飛び交い、場に込められた思いと「つながる」思いが、この地域がずっと持っていたあたたかさを呼び起こしたようにも感じました。公園や地域にある花壇活動の場それぞれの思いがつながって、青葉区の花·緑の活動がこれからどんな風に膨らんでいくのか、訪ね歩きながら感じてみたいと思ったひと時でした。

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この記事を書いた人
松井ともこライター
神奈川県出身 ワークショップデザイナー。劇団の養成所を経て俳優のマネージメント、文化施設で事業企画運営などを行う。青葉区の子育て仲間と地域でアート活動(トトリネコ)を始めたところ、子育てとアートの関係に興味がわき、立教大学大学院にて研究中。二児の母。
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