これもそれもあれもどれも集まれ!コミュニティ喫茶から広がる町の輪
東急田園都市線・南町田グランベリーパーク駅北口から徒歩20分のコワーキング喫茶「cosoadot(こそあどっと)」は、店名の由来である「これもそれもあれもどれも集まれ!」が表すとおり、日々豊かな才能が集まって進化しつづけるコミュニティスペースです。地域の人の思いをサポートし、実現への背中を押す店主の中山綾子さんに場づくりの話を聞きました。(2022年ライター養成講座修了レポート・日影愛)

cosoadotの担う役割をいくつか挙げてみます。仕事や会議、勉強に使えるコワーキングスペース、おいしいコーヒーなどのドリンクが満喫できる喫茶店、地域の作り手さんの作品がたっぷり並ぶ雑貨屋さん、菓子製造許可取得済みのレンタルキッチン…。様々な講座が開かれたり、陶芸サークルの活動の場、それに町田市南地域の情報を伝えるフリーペーパー『みなまち通信』の拠点でもあります。

南町田の住宅街にたたずむお店は、駅から離れているにも関わらず賑わいをみせる。地域のお年寄りや親子連れも、散歩ついでに気軽に立ち寄るそう

オープンから3年ですっかり地域の人たちのたまり場さながらのこのお店。店主の中山さんは企画・プロモーション業のフリーランスとして2017年に独立するやいなや、南町田にこのコワーキングカフェを立ち上げました。

居抜き物件だった元の和喫茶をそのまま生かした心地よい空間。1時間300円から利用できるほか、月極利用や会議用の和室もある

きっかけを尋ねると、理由のひとつに、この年の再開発事業により南町田が何もない町になったからということがありました。こんな施設があったらなあというお友だちとの会話の中から、この町での居場所づくりを考えたそうです。わたしも南町田住民として、当時は駅前がぽっかりと更地になり鶴間公園も閉鎖され、行き場のない町になってしまったと空しい気持ちで過ごしたことを思い出します。自分の子どもにとってはここが故郷となるのだから、この町のためになることをやろう、と思ったという中山さん。何もない町を嘆くばかりだった私自身をふりかえりながら、中山さんの行動力の軽快さに引き込まれていきました。

地域の作家さんの手づくり雑貨が入口でお出迎え。小物やアクセサリーなど、選ぶのが楽しく、ついつい時間を忘れて見入ってしまう

「これまで何もない町だと思っていたけど、ここに集まれと旗を立てたら、すてきな才能あふれる人がたくさん現れて。なかったのは場だけだったんだってわかったんです。お店はないけどこの町にはいいものを持っている人がたくさんいた。自分はただ場をつくって提供し、みなさんと地域をおつなぎするだけ、旗上げのあと押しをしているだけ」とほほ笑む中山さん。場をひらいたらみるみる色んな人が集まってお店を盛り上げてくれた。これまで才能を仕事にしていなかった人がお客さんとしてcosoadotにやってきて、今度は自分もやってみよう、と背中を押されて旗上げをする。そんな循環が生まれつづけているというのです。

以前は遅くまで都心で働いていたという中山さん(左)が、今ではこの町のキーパーソン。スタッフの大内さん(右)との楽しそうな仕事風景が印象的だった

中山さんは一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の理事も務め、フリーランスの人々のサポート事業にも携わっています。いわば、背中を押す名人!「最初の一歩をふみだす場や、自分の作品のファンづくりに、この店を使ってもらえれば」と話します。

 

南町田が再開発を経て2019年11月に新たに町びらきすると、町の目玉イベント「鶴間パーク大作戦」のコアメンバーでもある中山さんが率いるcosoadotはさらに盛り上がりを増していきます。

今年に入ってからは、cosoadotのお隣にパンやおやつが日替わり出店するシェア店舗「Yotte(よって)」、犬のおやつ「Picnic」という新事業も立ち上げる敏腕ぶりを発揮している中山さんですが、思いはいたって軽快で柔軟。「こんなふうにしようと立ち上げ時に決めていたわけではなく、周りからの持ち込み企画があれば、やってみようかという感じです。こうじゃなきゃ、がないので、自分では思いつかない場の使い方になったりします」とのこと。

 

YotteもPicnicも、きっかけはお店のイベントから生まれました。cosoadotの1dayマルシェで寄せられた様々な雑貨やスイーツ。そこから雑貨を店頭で委託販売するスタイルにつながったけれど、賞味期限のある食べ物はそうはいきません。ならば隣の店舗をおやつ屋さんにしちゃおうというのが中山さんの発想でした。こうして南町田の手づくりパンやベーグル、焼き菓子の作り手さんが日替わりで出店するシェア店舗Yotteがオープンしたのです。

この日のYotteは末吉真由華さんの「甘酒物語」の月に1度の販売日。砂糖の代わりに甘酒を使った優しい味わいのマフィンやタルトが並ぶ。オープン前からお客さんが列を作ります

 

通りに面したYotteは地域の一見さんへの窓口にもなっているそう。お店の中から「こんにちは~!」と元気な声をかけられ思わず「寄って」しまいます

Picnicは、味噌作りイベントの講師に呼んだ近所の「とことうふ」さんのおからを使った犬のおやつです。「おからは産業廃棄物でお金を払って処分してもらわなければいけない」という話を聞いた中山さんは、「こんなにいい大豆のおからが、もったいない!」と、いてもたってもいられなくなり、できることを考えたそうです。その結果、この上質なおからと、地元の農業グループ「なないろ畑」さんで販売できなかった無農薬の不ぞろい野菜をかけ合わせたアップサイクル製品として、栄養満点の犬のおやつができあがりました。

 

南町田といえば、今や犬の町だということにも中山さんは注目しています。南町田駅直結の複合商業施設グランベリーパークでは、ペット同伴可のお店やエレベーター、駐車場をはじめ、ペットトイレとシャワーの設備まで用意されているんです。そのため、隣接する鶴間公園とともに、毎日たくさんのワンちゃんがお散歩しています。(ちなみに、スヌーピーミュージアムも開館して町の顔になっています。余談ですが、スヌーピーはビーグル犬です。)

ペットフレンドリータウン南町田発の愛犬用おやつとして、「町田市名産品に認定されるといいなあと思っているんですよ」と中山さん。捨てられるはずのものから新たなものを生み出し、地域の食材が大きな輪になって広がります。

獣医さん監修の犬のおやつは、おからや米粉、米油などが基本の材料。店頭や鶴間公園マルシェでの販売のほか、地域の動物病院やペット関連ショップに卸販売すべく活動中

こうしてお店でのひょんな会話から、地域の人の思いを巻きこみながらむくむくと発展していくコワーキング喫茶cosoadot。感性のおもむくまま形にとらわれずに経営する中山さんの思いは、ここに集うフリーランスの事業主さんや、Yotteや委託販売の作り手さんへの思いにも重なります。

 

「やってみることに価値があると思います。この店を利用して旗を立ててみて、成功して続けてもいいし、うまくいかずに1回きりにしたっていいんです。やってみたということに価値がある」と中山さん。失敗を恐れる人の多い昨今の世の中で、柔軟にチャレンジし続ける中山さんに、失敗を恐れずに思いを事業として成り立たせていく秘訣を聞いてみると、「失敗したら訂正すればいいんですよ」とあっけらかんと笑いました。「失敗は敗退ではないんです。失敗のおかげでこれはやらない方がよかったな、と得意なことにしぼられていくし、他人に頼るチャンスだったり、他のことに時間を使うチャンスだったりができていく。失敗させてもらったことは宝になるんです」

 

今、森ノオト読者にも、こうしたコミュニティスペースなどの地域の人がつながる場づくりを目指す人も多いと思いますが、「とにかく小さくてもいいから始めてみることが1番の情報収集になります。場づくりは、その土地によって違うので本や他人の情報からはわからないんです。みんな集まれーと旗を立ててみる。集まらなかったとしても、やったことに意味がありますから」と中山さんは言います。

 

cosoadotはコワーキングスペースであり、喫茶店であり、雑貨屋さん、レンタルキッチン、講座やサークル活動の場であり、そして、トライ&エラーできる場所。今日はお客さんとしてバトンを受け取った人が、明日は作り手となりながら、たくさんのいいものを持った町が育っています。

 

やりたいことがある人たちが「集まれる場」がこの町に根づいた今では、ひとりひとりが町づくりの参加者となり、魅力的な町を創造していると感じました。お客さんとして遊びに来るのもいいし、出店したり、新しい形を提案してもいい場所。それはcosoadotはもちろんのこと、そのまま南町田の町にも言えることかもしれません。

中山さんのキラキラした声と瞳に感化され、小さくてもいいから私も何か始めてみようかな、と心をときめかせながらcosoadotを後にしました。

Information

コワーキング喫茶cosoadot

住所:〒194-0005 町田市南町田1-4-9

東急田園都市線・南町田グランベリーパーク駅北口から徒歩20分

営業:平日9:00-18:00(土日祝除く)

HP:https://cosoadot.com/

連絡先:(042)706-9194/ info@cosoadot.com

この記事を書いた人
日影愛ライター
湘南生まれ、南町田在住。企画上手な教師の両親と3人の兄弟のもとに育ち、中学・高校は鹿児島で寮生活。にぎやかな生い立ちからか、好奇心旺盛なイベント好き人間に。人との距離間はつい近めを好みがち。町や人の魅力を発見し、伝えたいです。
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