スープジャーで食養生 ② わが家の定番「自家製麹甘酒」
身体にいいものを手軽に美味しく楽しみたい私にとって、スープジャーは強い味方。
以前ご紹介した「薬膳風お粥」と並ぶわが家の定番「麹甘酒」をご紹介します。

*食養生シリーズ①

スープジャーなら手間入らず お粥で始める食養生

 

麹甘酒の効能って?

気温の下がるこれからの季節、温かい麹甘酒が恋しくなります。実はこの夏、私がスープジャーでよく作ったものは「麹甘酒」。夏に甘酒?と思われるかもしれませんが「甘酒」は夏の季語。かつて夏祭りで多く振る舞われたことが由来とか。「飲む点滴」ともいわれる麹甘酒は、栄養豊富で疲労回復効果が期待でき、胃腸にもやさしく、暑さにバテた夏にぴったりなんです。

では、寒い季節にはどうなのでしょうか。薬膳から見た効能を調べてみると、滋養をつけ、潤いを補い、血行を改善。風邪対策にも良いとされています。つまり、麹甘酒は一年中体に良い!ということですね。ちなみに「飲む美容液」とも呼ばれ美肌・美髪効果も期待できるそうですよ。

麹甘酒は、アルコール0%。子どもや妊娠中の方、運転前でも安心していただけます。「 朝に飲めば一日を元気に過ごせ、寝る前に飲めば質の良い睡眠を得ることができる」といわれ、タイミングで引き出す効能も変わるそう。

そんな魅力たっぷりな麹甘酒ですが、糖分が多いため摂りすぎには注意したいところ。「八海山」でおなじみの日本酒メーカー、八海醸造株式会社のウェブサイトによると、体重や体脂肪率、BMI、糖代謝に関わる血糖値などについて、1日あたり麹甘酒118gの飲用における安全性には特に問題がないとのこと。健康な方も、1日に118gを目安にするのがいいようです。

そのほかにも麹甘酒には、書ききれないほどの多くの効能があり、研究も行われているようです。文末に参照サイトを記しますのでぜひ読んでみてください。

蒸し米に麹菌を生やしたものが米麹。この麹菌が米のデンプン質をブドウ糖へと分解することで甘くなります。味噌や醤油作りにも欠かせない、麹菌は日本醸造学会が認定する日本の「国菌」なんだそう!

スープジャーで作る自家製麹甘酒がおススメなわけ

麹甘酒ブームはすっかり定着し、一年中スーパーやコンビニでも手軽に買うことができるようになりましたが、やっぱり自家製がおすすめです。さらっとした甘味で風味が良い上、出来たてのフレッシュな味わいを楽しめるのは自家製ならでは。

 

麹甘酒づくりはとてもシンプルです。水と混ぜた米麹を50〜60℃で発酵させれば出来上がり。文字で書くと簡単ですが、この温度を8時間ほど保つのがなかなか大変。

炊飯器やヨーグルトメーカー、最近ではホームベーカリーなど発酵機能のついた家電製品でも手軽に作れますが、私はスープジャーで作っています。温度が上がりすぎない上、電気は不要。ほどよい量を気軽に作れるのも良いところです。

 

麹甘酒作りのポイントは「50〜60℃に保つ」ことと「雑菌を入れない」こと。

麹菌の作る酵素は70℃以上で働かなくなってしまいますが、温度が低すぎると発酵・分解ができず芯が残り甘みも薄くなります。また、雑菌が入ってしまうと酸味や匂いが出ます。炊飯器の保温機能を使うレシピがメジャーですが、温度が上がりすぎたり、蓋を開けて作るため雑菌が入りやすくなります。その点スープジャーは、熱湯消毒も簡単ですし、密閉するので雑菌が入りづらいんです。

 

 

初めてでも簡単。味と風味を楽しむなら米麹のみの「はや作り」

米麹のみで作る麹甘酒は「はや作り」と呼ばれ、手軽で初めての方にもおすすめ。

私は簡単に作れる生麹を使っています。生麹は冷凍すれば3カ月ほど保存可能。乾燥麹で作る場合は、下ごしらえで一粒ごとにバラバラにし、混ぜムラに注意してください。

 

〈材料〉

  • 500mlのスープジャー使用

 

熱湯……250ml(スープジャー半分)程度

生米麹……200g

(乾燥麹を使用する場合は事前に細かくしておく)

水……300ml

 

〈作り方〉

1. スープジャーの半分くらいまで熱湯を注ぎ、蓋をのせて温めておく。

 

2.鍋で水を60〜65℃まで温める。米麹を入れ、弱火で温度を測りながら再び60〜65℃まで温める。

※温度が上がりすぎると酵素が働かなくなってしまいます。弱火で少しずつ加熱しましょう。

 

3.スープジャーのお湯を捨て、2を入れる。麹がお湯から顔を出さないよう表面をならして蓋をしっかり閉め、毛布やバスタオルにくるんで暖かいところに8時間置く。

 

4.味見をしてみて芯がなければ完成!

芯がある場合は、鍋で60〜65℃まで温め直し、あと2時間ほど置いてみてください。

 

 

少ない米麹でボリューム満点。もち米を使う「うす作り」

ご飯を入れて作る麹甘酒は「うす作り」と呼ばれます。うるち米でも作れますが、もち米を使った方が甘みが増します。ご飯を沸騰させて冷ますという手間が加わるほかは、作り方は「はや作り」と同じ。雑穀米や玄米などでも作れます。ご飯の割合は減らしても大丈夫。米麹とご飯を合わせて200gになればOKです。

お赤飯を使った麹甘酒

〈材料〉甘酒500ml

  • 500mlのスープジャー使用

 

熱湯……250ml(スープジャー半分)程度

生米麹……100g

(乾燥麹を使用する場合は事前に細かくしておく)

ご飯……100g

水……300ml

 

〈作り方〉

1.スープジャーの半分くらいまで熱湯を注ぎ、蓋をのせて温めておく。

 

2.鍋に水とご飯を入れ、沸騰したら2〜3分炊き、60〜65℃くらいまで冷ます。米麹を入れ、弱火で温度を測りながら再び60〜65℃まで温める。

※温度が上がりすぎると酵素が働かなくなってしまいます。弱火で少しずつ加熱しましょう。

※玄米を使う場合は、沸騰してから5分ほど好みの硬さまで炊き、柔らかくしておきます。

 

3.スープジャーのお湯を捨て、2を入れる。麹がお湯から顔を出さないよう表面をならして蓋をしっかり閉め、毛布やバスタオルにくるんで暖かいところに8時間置く。

 

4.味見をしてみて芯がなければ完成!冷めたら、冷蔵庫か冷凍庫で保存。

芯がある場合は、鍋で60〜65℃まで温め直し、あと2時間ほど置いてみてください。

 

※はや作り・うす作りいずれも、冷蔵庫で3〜4日程度、冷凍庫で1カ月程度保存可能です。

 

※500ml以下の小さなスープジャーを使う場合、容量に合わせて分量を計算し作ることもできますが、少ない分、温度が下がりやすくなります。途中で温度を測り、低い場合は温め直してください。

 

 

失敗しない麹甘酒づくりのコツ

〈温める温度〉

麹甘酒は、50~60℃で最もうまく発酵が進みます。レシピでは、作業中に多少温度が下がることを想定して、60~65℃まで温めます。70℃以上になると酵素が働かず、甘くなりません。この温度を守ることが大切!

保温性能の高いスープジャーでも、注いだり、温度を測っている間に温度は低下します。あらかじめ準備は済ませて、なるべく手早く作業できるようにしましょう。

 

〈芯が残る場合〉

毎回芯が残るという方は、温度か混ぜ方に原因があるかもしれません。

4時間置いたら一度全体をよく混ぜ、60〜65℃に温め直してさらに4時間置く方法を試すのもいいかもしれません。

 

〈酸味が出る場合〉

酸味が出るのは、雑菌か乳酸菌が原因です。雑菌が原因なら、腐敗臭が出ます。その場合は食中毒の危険性がありますので、残念ですが諦めてください。スープジャーだけでなく、使用するスプーンや温度計の滅菌も徹底してみましょう。

乳酸菌も酸味の原因になります。糖分は乳酸菌の大好物。50℃以下の低温や発酵時間が長すぎると乳酸発酵し、酸味が生じます。頻繁にスープジャーを開け閉めすると温度は下がります。発酵時間は最長で10時間を目安に。時間と温度をチェックしてみてください。

 

 

飲むだけじゃないお料理にも使える麹甘酒

ミキサーで滑らかにすれば喉越しがよく、お料理にも使いやすくなります

出来上がった麹甘酒は、お好みに合わせて水やお湯で割っていただきます。温めて飲む場合、酵素を活かしたいなら65℃程度に抑えましょう。炭酸や豆乳、ジュースで割るもよし、凍らせてシャーベットのようにいただくのも美味しいです。飲むだけでなく、ヨーグルトやスムージー、フレンチトーストなどのシロップとして、お料理やスイーツ作りの甘味にも使えます。まず手始めに、照り焼きのタレやドレッシングのお砂糖を置き換えるのがおすすめです。使う量の目安はお砂糖の2倍ほど。麹甘酒は、同じ量の砂糖と比べ糖質がかなり低く栄養価も高いので、いつもの料理がちょっとヘルシーに。

ヨーグルトに麹甘酒、ナッツとドライフルーツをトッピングしていただくのが私のお気に入り。この日は小豆ともち米入りの麹甘酒を使って、ボリュームも栄養もたっぷり

加熱処理をしない甘酒は冷蔵庫で3〜4日日持ちしますが、その間もほんの少しずつ発酵が進み、完成時よりも甘みが増したり、トロトロになったりと変化します。面白いですよね。

すぐに消費できない場合は、冷凍がおすすめ。糖分が多いのでカチカチになりにくく、シャーベットのように食べることもできます。薄くならして冷凍すれば、使う分だけ折って解凍でき簡単です。

また、一煮立ちさせて発酵を止めれば、冷蔵庫で1週間保存可能です。

 

麹甘酒作りは、科学の実験みたい。使う麹も気温や湿度、作る人の気分だってその時々で違います。「おいしくできたかな?」と蓋を開くときは毎回ワクワク、ドキドキ。みなさんも麹甘酒作りを楽しんでみてください。

 

参照:

知るほどスゴい麹甘酒のチカラ(八海醸造株式会社)

https://www.hakkaisan.co.jp/research-development/koji-amazake/koji-amazake01

 

漢方ライフ(薬日本堂株式会社)

https://www.kampo-sodan.com/column/column-3662

 

麹甘酒に含まれる成分について

(農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター)

https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010920187.pdf

 

Taste of Japan ひとさじの麹(農林水産省)

https://tasteofjapan.maff.go.jp/jp/topics/detail/135.html

 

『aff』2018年12月号(農林水産省発行)

https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1812/spe2_01.html

 

麹と酵素とそのはたらき(マルコメ株式会社)

https://www.marukome.co.jp/koji/enzyme/

 

甘酒の効果・効能を徹底解説|飲み過ぎには要注意!?甘酒の正しい飲み方とは

(かわしま屋Webメディア「Food for Well-being」)

https://kawashima-ya.jp/contents/?p=4500

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この記事を書いた人
畑道代ライター卒業生
広島市出身。本や雑誌を得意とするグラフィックデザイナー。フリーランスとなって12年の節目に、新たな刺激を求めて森ノオトに参加。築34年の古家のセルフリノベがライフワーク。夫・息子と3人暮らし。
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