雨ニモマケズ!3年ぶりに帰ってきたよ、あおばを食べる収穫祭2022レポート
3年ぶり8回目の開催となった「あおばを食べる収穫祭2022」。地産地消&資源循環をテーマに掲げたエコマルシェは、当日の悪天候にもかかわらずパワーアップして帰ってきました。雨にも寒さにも負けない、あたたかな一日となったマルシェの様子をレポートします!

秋らしい晴れの日が続いた11月。森ノオト事務局はコロナ禍をはさんで3年ぶりの開催となった「あおばを食べる収穫祭」(以下、収穫祭)の準備で大忙しでした。

 

「藤が丘のあのマルシェ!久しぶりだね、楽しみにしているよ」

 

チラシを配ると、たくさんの地域の方々から声をかけられ、開催できなかった2年の間も、心待ちにしてくれた方がいることや、食を通じた地域のお祭りの復活に、地域からの期待も感じました。

毎回好評のフライヤーのデザインは高山えりかさん

開催日1週間前。前後の日は晴れマークなのに、収穫祭本番の11月23日だけ降水確率100%(!)という天気予報……。ヤキモキしながら1時間おきに天気予報をチェックしても、この日だけは頑なに雨マーク。こうなったら腹をくくるしかない!と、雨対策をすることに切り替えて準備を進めることに。

朝5時台から始まる会場設営。テントは防水スプレーや横幕などで雨風対応をしました

当日は予報通り、夜明け前からシトシト……。

そんな天気を一蹴するように、毎年協力してくれる藤が丘商店会の皆さんが「収穫祭日和の良いお天気ですね~!」と朝イチから笑いと元気を注入してくれ、まだ暗い早朝からの会場設営も明るい空気が流れていました。お昼を過ぎるとさらに雨足が強まるとの予報に急遽前日、出店者が搬入・搬出しやすいようにと、車も公園内に入れて横付けできる、オートキャンプスタイルでのレイアウトに変更。ほとんど現場合わせの変更で、胃がキリキリとしていましたが、全部の出店者の誘導を終えて、ふと顔を上げると次々に出店者のブースがお店として整っていく様子を確認し、「これで大丈夫!」と思えた瞬間でした。 

土壇場でのレイアウト変更も結果オーライ!オープンから来場者が押し寄せました

午前10時のマルシェオープンと同時に、傘をさしたりレインコートを羽織りながら、多くのお客さまが来場する姿が見えて、森ノオトスタッフは「開催してよかった!」とホッと胸を撫で下ろしました。それにしても、雨降りの寒い中、お買い物を楽しんでいくお客さまのタフなこと!湖のようになった水たまりも、子どもたちにとっては恰好の遊び場になったようでした。

水たまりをピチャピチャとはしゃぎまわる小さなお客さま

今年の出店者は20店舗。農産物やパン、焼き菓子、加工品、あたたかいスープに焼き立てホットドッグ、おしゃれなフレンチトースト、鮮やかな生花に、工夫を凝らしたワークショップ……。残念ながら雨による出店キャンセルもありましたが、青葉区の食の恵みを味わう新旧のオールスターが一同に集い、大人も子どもも楽しめるブースの数々。「晴れていたら、きっと人が並びすぎていただろうから、雨でゆっくり買い物が楽しめました」と来場者のポジティブな声に、私たちも元気をもらいました。

DJのトップバッターは石井正宏さん。マルシェオープン前には、石井さんの選曲でラジオ体操が流れ、スタッフと出店者みんなで準備運動をしました

今回も会場を音楽で盛り上げてくれたのは、地域の個性あふれるDJのお二人。「この日のためにまたレコードが増えてしまう」と笑いながら、収穫祭セレクトをたっくさん引っ提げて参戦してくれたDJ石井正宏さん(NPO法人パノラマ)と、かゆいところに手が届くJ-POPカバーメドレーで聴かせるDJちゃんこみさん。その二人が響かせる音楽が、降りしきる雨音を心地よい響きにしてくれました。そして軽やかなMCとダンスで華を添えてくれたMCの塚原敬子さんと、完璧なステージ環境をつくってくれたフジッキーさん。ステージの電源は今回も横浜市環境創造局からやってきたFCV(燃料電池自動車)が供給してくれました。雨の中でも来場者や出店者の体温をポカポカにしてくれたステージチームでした!

 

 

原点回帰の「サスティナブル」

リユース食器回収ブース。リユースブースでは来場者さまご自身で食器を拭いてもらって返却します。マイ食器持参の方も数多くいました

2013年の初開催から取り組んでいる収穫祭の大きなテーマが、エコ。飲食ブースではリユース食器を使用し、できるだけゴミが出ないイベントを目指しています。リユース食器回収ブースでは、ボランティアスタッフの皆さんが来場者と会話をしながら、ウェスでの食器の拭き取りと回収を担当してくれました。今回、雨のため食品が濡れないようにと容器で提供する場合もありましたが、主催者側で回収したゴミはリユースブースで食器を拭き取ったウェスと設営時のゴミ拾いやベンチを拭き取った際に出たゴミのみ。今回もほぼ45リットルのごみ袋1袋におさまり、主催である森ノオトスタッフも改めて「ゴミが出ないって気持ちいい!」と感じることができました。

左が設営時にベンチをふいたウェスのゴミと、主にリユース食器の拭き取り時のゴミの量

こうしたお祭りのハレの場だけでなく、日常の暮らしの中でのエコにつなげられるアイデアを来場者に持って帰ってもらいたいと、今回新たに「エコアイデアブース」を設けました。メディア森ノオトでこれまで紹介してきたエコな取り組みを紹介した記事を、ブース内でQRコードで掲示。もう一つ、今回会場で出た食べ残しは、コンポストへ。トートバック型のLFCコンポストのアドバイザーである勝浦香さんをエコアイデアブースにお招きして、コンポストの土を掻きまぜる体験も。使い方の相談やアドバイス、LFCコンポストの販売も行い、「収穫祭に来られる方はエコ意識が高くて驚きました」と勝浦さんも初めての収穫祭を楽しんだようでした。

青葉区内の小学生が立ち上げた環境活動団体・マイクロプラスチックゼロコミュニティ「Welc0me」のメンバー和泉澤佑奈(いずみさわゆな)さん。緊張しながらも堂々とした活動紹介に、多くの来場者が足を止めて聞いていました

祭りのあとも……地域のサードプレイスづくり

今回の収穫祭、運営のバックステージでは、とあるプロジェクトが走っていました。青葉区や横浜北部エリアを中心に困難を抱える子ども・若者・大人の支援を行っているNPO法人パノラマ。森ノオト読者にとっては、田奈高校のぴっかりカフェの運営者としてご存知の方も多いかもしれません。

 

パノラマの運営する「よこはま北部ユースプラザ」は、ひきこもり等を経験した社会に出づらさを抱える若者たちが利用しています。秋のある日、理事長の石井さんからこんな相談を受けました。「若者たちの支援が終了して、職場などの所属を持てたとしても、居場所をもつことができない人も多くて、ストレスを抱えてしまう人が多いことが課題。収穫祭の出店者のブースを若者が手伝うことで、終了後も関係が細くでもつながっていけると素敵じゃないかと思っているんです」。

 

森ノオトとしても、お祭りの場をきっかけに、若者と地域のつながりが生まれることにとても意義を感じたことや、日頃から、出店者さんたちの懐の深さを感じているので、きっと良い化学反応が起きるのではないかと感じました。出店者への直接の連絡や、関係者に向けたキックオフミーティングで説明会を開いたところ、6店舗が手を挙げてくれました。そこから若者とのマッチングをして、当日は4店舗に4人がボランティアとした入ることに。受け入れ店舗の方々から熱いコメントをもらい、パノラマのスタッフと一緒になって私たちもガッツポーズ。

 

そして迎えた収穫祭当日。寒さと緊張からか、朝イチは不安げな表情だった4人。バタバタした時間が落ち着いた頃に私も会場をまわって、若者たちの姿を探してみると……。それぞれにブースの中に溶け込み、販売のサポートに入っている様子や店主と会話している姿が目に映りました。TENZOのブースにはパノラマのバイターンという仕組みを利用して、すっかり店舗のタッフの一員になっている若者の姿もありました。

初出店の萬駄屋も受け入れ店舗。参加した若者は「地元ラブな人が多く、地域の人たちとのつながりを感じた」とにぎわっていたブースでのボランティアが充実していたことが伝わります(提供:NPO法人パノラマ)

終了後、参加した若者たちからこんな声が寄せられました。

 

「地元でもないし、共通の話題がないし、できることがあるのかなってわからなかったけど、全然そんなことなくて、自分のできることの幅が他にもあるんだなぁと気づけました」(あおば小麦プロジェクトボランティアのYさん)

 

「自分としてもできるか不安だったんですが、(収穫祭の)ポスターを見て惹かれて参加しました。もともと野菜を買ったり、料理したりするのが好きだったので、はやし農園さんでボランティアさせてもらうことができて、知識とか活かせたわけじゃないけど、手伝えて楽しかった。」(はやし農園ボランティアのTさん)

 

「ミコト屋さんと地域の方(お客さま)が近い感じで喋っていて、あたたかい感じがしたのがまず第一印象でした。忙しくて、バタバタしていた中で、一つひとつ丁寧に教えてくださって、すごくありがたかったです」(青果ミコト屋ボランティアのHさん)

 

収穫祭から1カ月ほど経った後にも、手伝った出店者の実際の店舗に顔を出したというエピソードや、別の場所での出店の手伝いの声をかけてもらったという話も。行政や支援施設だけではなく、地域のお祭りもお店も、若者たちのサードプレイスになれる可能性があることに希望を感じました。若者たちと地域の縁が細くともつながっていくことを願っています。

終了後に、スタッフとボランティアさんが集合しました。藤が丘商店会のゆるキャラ「汁ウィン」ポーズでハイチーズ

終わってみれば、見事に一日中、大雨。それでも最後まで来場者が途切れることなく、それぞれに3年ぶりの収穫祭をたのしんでいる様子に、スタッフはエネルギーをもらった一日でした。そして出店者の皆さま、ボランティアの皆さま、ご協賛の皆さま、そして森ノオト読者の皆さまに支えられています。いつもありがとうございます。

 

収穫祭で知った地域のお店にぜひお買い物に行ってみてくださいね。そして、日々の暮らしの中で、ゴミの出ない工夫があればぜひ森ノオトに教えてください。ハレとケのつながるエコなお祭り「あおばを食べる収穫祭」の次回開催をたのしみにお待ちくださいね!

 

 

【Thank you to our sponsors】

https://morinooto.jp/2022/10/27/sponsor2022/

 

【Thank you to our volunteers】

谷幸子様、山本久美子様、山本友紀子様、白川薫様、三浦紀子様、明石智代様、山田麻子様、青木マキ様、塚原敬子様、出口陽菜様 、出口聖晃様、鈴木茂雄様、川岸憲一様、金子拓也様、藤崎浩太郎様、藤が丘商店会の皆様、あざみ野商店会様、北嶋克悦様、マイクロプラスチックゼロコミュニティ「Welc0me」様、よこはま北部ユースプラザからご参加の皆様

Information

「あおばを食べる収穫祭2022」

主催:特定非営利活動法人森ノオト

協力:藤が丘商店会、上谷本連合町内会

後援:横浜市青葉区、横浜市環境創造局「横浜市みどりアップ計画に基づく事業」

 

公式Instagram

@aobashukakusai

公式Facebookページ

https://www.facebook.com/aobashukakusai

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この記事を書いた人
宇都宮南海子事務局長/ライター
元地域新聞記者。エコツーリズムの先進地域である沖縄本島のやんばるエリア出身で、総勢14人の大家族の中で育つ。田園風景が残る横浜市青葉区寺家町へ都会移住し、森ノオトの事務局スタッフとして主に編集部と子育て事業を担当。ワークショップデザイナー、2児の母。
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