森ノオトが地元の農家さんとつながって作った大豆、横浜の里山風景を守る人と拠点の応援、そして料理家のみつはしあやこさんの和食や発酵食品への思いがかけ合わさって続いてきた「100人のひとしずく〜大豆・味噌トラスト活動」。コロナ禍で「100人が集まって味噌を仕込む」ことができなくなり、横浜の農風景を未来につなぐ発信と啓発に形を変えて3年目。2022年度仕込みの味噌は、みつはしさん曰く「これまでで最高の出来!」だったそうです。
私個人の感想としては、みつはしさんの言葉通り、今回はいつもよりぐーんと雑味が少なく、素材の味がよくわかる優しい味わいだったと感じました。こんなにおいしい味噌ができるなんて、手作りの川口さんの糀の力、木桶の力、大豆の力……素材の力たちに感服です!
「津久井在来大豆」を作ってもらっています。一昔前は、この大豆がこのあたりでもたくさん生産され、味噌だけでなくさまざまな郷土料理になったんですね。まんまるでかわいい!
今年も新しい味噌の仕込みを寺家ふるさと村四季の家の農産加工室をお借りして行うことができました。
ちょっと脇道にそれますが、今回新たに教えてもらったことがあるんです。それは、大豆の煮汁の使い方のバリエーションです。
大豆の煮汁には汚れを落とす効果もあり、大王釜はじめ機材の洗浄には洗剤は不要なのです。大豆を洗ったり茹でた時に出てくる泡は、サポニンという洗浄成分であることはよく知られています。機材を洗う時には冷ました茹で汁を使い、しっかりと水で流すことで、とてもキレイに洗いあがります。
他にも、スープ、カレーに使ったり、出汁の代わりにもなるので、小分けに冷凍保存して味噌汁作りに使う人もいるのだそうですよ。お風呂に入れれば肌がすべすべになったりというアイデアもあるそうで、毎年大量に発生するこの大豆の煮汁の活用方法をもっと色々知りたくなりました……。
さて、木桶の待つみつはし家に移動してきました。昨年の味噌を発送し終えているので空ですが、蓋をとると味噌のよい香りが部屋いっぱいに広がります。
昨年と同じく、味噌を詰めるのはみつはし家の皆さんに協力していただきました。手前味噌プロジェクトを始めた時にはまだ乳飲み子だった一番下の息子さんも、今では小学生になり、上手に味噌を投げ込みます。
今年の味噌も、おいしくなりますように……!
コロナ禍を経て、世の中がより効率的に変革しつつも、人の集まる場の貴重さも実感しています。大豆のこと、糀のこと、木桶のこと、横浜の農や食の伝統のこと……味噌作りを通してこのプロジェクトの社会的な使命のようなものを強く感じる1年でした。この先もプロジェクトのスタイルは変化していくかもしれませんが、同じ願い、同じ思いの皆様と味噌を通してこの先もかかわれますように……。
先日、遊休農地を活用する会の三澤元芳さんに、今年も大豆を生産してくださるようお願いしました。大豆や糀をネットなどで購入して手前味噌を作ることは広がってきましたが、農家さんや里山保全に関わる人、職人さんたちと直接つながって、作り手の思いや現状を知ることができる機会は決して多いとは言えません。横浜の農業は、生産地と消費地が近いことが特徴です。ぜひ、足元の農的空間を知り、地元の農家さんから野菜やお米を買うきっかけの一つに、この手前味噌プロジェクトがつながるといいなと思っています。
また1年後、この味噌をお分けし、新しい味噌を仕込めることを、プロジェクトメンバー一同心から願っています。
「100人のひとしずく〜大豆・味噌トラスト活動」
https://syncable.biz/campaign/4326
このトラスト形式の「100人のひとしずく」プロジェクトも、おかげさまで3回を無事完了しました。
今回ご支援いただいた寄付金は、
・大豆購入代
・糀購入代
・仕込み会場費
・仕込み講師謝金
に使用させていただきました(味噌の送料は寄付金に含んでいます)。
支援してくださった皆様、関心を持ってくださった皆様一人ひとりのお気持ちがあって、このプロジェクトが続いています。心から感謝申し上げます。
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