「YES!!カツサンド」の大きな文字がドーン!たまプラーザから日吉元石川線をあざみ野方面に進んだ平原橋の交差点で、一際目立つこの大きな看板。前を通りかかるたびに気になっていたという人も多いのでは? こちらは名前の通り、カツサンドの専門店。森ノオトのスタッフでもファンの多いお店です。2023年11月23日に開催する「あおばを食べる収穫祭」への出店をご快諾いただいたご縁で、このたびインタビューが実現!店主の松村智彦さんにじっくりお話を伺ってきました。
カツサンドONLY!の潔さ
この世にあまたあるサンドイッチの中でも、高級感があって、でもちょっとジャンクな感じもして、そしてなんといってもガッツリお腹にたまるのがうれしいカツサンド。みなさんはカツサンドを普段どこで買っているでしょうか。お肉屋さん?パン屋さん?トンカツ屋さんでしょうか?ここ、たまプラーザ〜あざみ野エリアには「カツサンド専門店で買う」という幸せな選択肢があるということを、私は声を大にして叫びたいのです!
「YES!!カツサンド」で販売するサンドイッチは、ただひたすらに、カツサンドだけ。それもキャベツやレタスといった野菜さえ入れず、揚げたての豚カツをドボンとソースにつけたものを食パンに挟んだ、ごくシンプルなカツサンドだけが売られています。
「カツサンドの専門店って、開店前には全国で20店舗もなかったんじゃないでしょうか」と松村さんは言います。
「とにかく売っているのはカツサンドONLY。あ、他に、海老カツサンドもありますけど、まぁこれも、カツサンドですね」。
「カツサンドは、ロースとかヒレとか肉の部位でバリエーションを作っているお店が多いですが、うちはソースでバリエーションを持たせています」と松村さん。
豚肉は、柔らかな肉質を誇る千葉のブランド豚、アボカドポークにこだわっているそう。パンはあえて主張のない、オーソドックスな食パンを専門業者さんから毎日仕入れています。きめ細かな生パン粉も特徴の一つ。この細かさがソースを衣に絶妙に含ませてくれる秘密なのだとか。
ずばり、YES!!カツサンドの名前の由来って?
ところで…… やっぱり気になりすぎるので一番最初に聞いてみました。松村さん、“YES!!カツサンド”というこのインパクトのある名前は、どこから来たんですか?
「理由は大きく二つありまして。一つめは……お客様のさまざまなニーズに対し前向きに “はい” って言おう、という気持ちを込めています。顧客満足度100%は難しいけれどお客様の声に耳を傾けて ”YES”と言う、そういう姿勢でカツサンド屋をやろう、という気持ちですね」。
「二つめは…… あのぅ……ほら、某有名美容クリニックのCM、あるじゃないですか。ヘリコプターに乗っているあの人が “YES!!” っていうやつです。あのCMって子どもも大人もみんな知っているし、とにかくあの “YES!!” のフレーズが耳に残るでしょう? あぁ、これだなって(笑)。お店を覚えてもらう知ってもらうことが一番大事だから、インパクトのためにつけたっていうのもありますね」。
なんと!まさかまさか、あの某CMが元になっていたなんて!今年一番の衝撃をうけ、大笑いしてしまいました。
名刺を拝見すると、松村さんの会社の名前には「choudoii カンパニー」とあります。これもまた大阪出身のなせる技? 独特のネーミングセンスのように感じますがどうでしょう?
「社名を考えている時に、“ちょうどいい” ってよく言ってるよ、口癖だよねって友達に指摘されて。“ものすごくいい” とか”今一番いい” っていうのは僕には作れないかもしれないけれど、“ちょうどいい”は僕にも作れるな、って思ってつけた名前です。肩の力が抜けて、いい社名だなって思っています。ちょうどいい、っていうのは消費されないっていうこと。つまり、ずーっと愛されるロングセラーになる可能性を秘めていると思うんですよ」。
松村さんにとって、カツサンドとは?
消費されたり流行に流されたりしない、ちょうどいい食べ物としてのカツサンド。そんな素敵なフレーズを反芻しつつ、松村さんにとってのカツサンドについてもう少し深掘りしてお話を伺いました。
「僕にとって思い入れのあるカツサンドと言えば、大阪 千里中央にある “ニューアストリア”という喫茶店のもの。もう何年も同じおじさんたちが働いている昔ながらのお店で、とにかくカツサンドが有名なんですよ。ヒレ肉のカツと、トマトとサニーレタスと玉ねぎがサンドされてて本当においしい。子どもの頃からお小遣いを貯めて食べに行ったりしていた思い出の味です。つい先日、アルバイト募集してるのを見つけて。本気で修行しに行こうかなって思ったくらい(笑)」。
松村さんは「日本文化を表現する媒体としてのカツサンド」という、これまたカッコイイ表現を使いながら、こんなことも語ってくれました。
「考えてみればカツサンドって、立派な日本の文化なんじゃないかなと思うんですよね。ごく普通の日、ふとした時に食べたくなるものだし、”懐かしの”っていう形容詞もよく似合う。日本に昔からあるコンテンツとしてのカツサンド、って面白いんじゃないかなと思ったんです。一時の流行で終わったりせず、長いこと老若男女みんなに愛されるロングセラーとしてのカツサンドは、爆発的大ヒットをすることはなくてもじわじわとずっと愛され続ける良コンテンツ。こういう隠れた日本の文化を、カツサンド屋をやることで世の中に発信していけたらいいなぁって思っているんです」。
カツサンド専門店オープンまでの道のりは?
松村さんが「日本文化を表現する媒体としてのカツサンド」の専門店をオープンしたのは2020年。まさに新型コロナウイルスが世間をのみ込んでいく頃でした。
「40歳まで外食大手企業で、販売促進やPRの仕事をしていました。10年仕事を続けたタイミングで一度仕事を辞めて。飲食店をはじめとする店舗型ビジネスのWEBマーケティング会社を手伝い始めました。美容院がカフェを運営するとか、デザイン会社が立ち食いの店をやるとか、そういう企画を考えて提案する仕事の一つに、カツサンド専門店の企画があったんですけど、ちょうどコロナの時期と重なって計画自体がなくなってしまって。でもわれながらすごくいい企画書が書けたなっていう自信があったから、誰もやらないのなら、じゃあ僕が始めてしまえ!と思って」。
数カ月の準備&トライアル期間を経た後、今の場所の物件を見つけていよいよ店舗営業を開始。ちょうどコロナ禍でテイクアウトの需要が高まっていたこともあり、オープンに迷いはなかったと言います。
「ここはどの駅からも遠い陸の孤島だけれど、交通量はかなり多くて看板の認知度がとても高い、という面白い場所でした。店名で、“お!?”って思ってもらえるのは本当にメリットでしたね。なかなかここに辿り着けないから、辿り着けた時にはお客さまも“YES!!”って思うかも(笑)。駐車場もできましたし、ぜひ気軽に来てほしいです」。
おいしいカツサンドのある町って、いいよね!
「YES!!カツサンドが目指しているのは、地域密着型のお店」と松村さんは断言します。
「今、買いに来てくださっているのは近隣の方々。ファミリー層から、70-80代の方まで幅広い世代の方に来ていただいています。最近高校生が放課後に寄ってくれたりするようになってきて。町の駄菓子屋みたいな存在になれたらうれしいなぁ」。
「この町の人たちに愛される、っていうことがやっぱりお店の存在意義だと思います。この町に場所を借りてお店を開く理由ってそこに尽きると思うから。ぼくらの町にこんなお店があるんだよ、ってみんなに自慢してもらえるような店になっていきたいですね」。
全国各地の百貨店などの催事に毎月出店をしているYES!!カツサンドですが、その理由も、「地域に愛されること」が原点にあることを知り、私はハッとさせられました。
「全国の催事に出店することは、“カツサンド屋のカツさんぽ(カツ散歩)” と呼んでいるんですが、この町のお店が外に出ていき成長し、全国に広がるということを一緒に喜んでもらえるようになったらうれしいです」。
現在、2024年1月頃、名前もそのままに武蔵小山に新店をオープンする準備を進めているとのこと。
こんな風にあちこちカツさんぽすることができるのも、消費されたり流行に流されたりしない、王道のカツサンドのスタンダードをここ横浜市青葉区で作っているという自負があるからなのだろうと思います。
揚げたてサクサク、ソースしみしみの絶品カツサンドがこの町にあるって幸せ!”カツサンドのスタンダード”が全国に広がっていく様子を町のみんなで共に喜べたらなんて素敵なんでしょう。今回お話を聞かせていただいて、この町発のカツサンドのこれからをますます応援したくなりました。
ここまで読んでくれたあなたはきっと、もうすでにカツサンドが食べたい口になっている、はず!一口食べたらきっとあなたもそのおいしさに「YES!!」って小さくガッツポーズしちゃうかも⁉︎ ぜひお店で、そして11月23日のあおばを食べる収穫祭で。わが町の愛すべきカツサンドにかぶりついてくださいね!
YES!!カツサンド
横浜市青葉区美しが丘4丁目26−3 101*ピン!ひらはらばし
アクセス:東急田園都市線 たまプラーザ駅 徒歩15分
電話:045-295-1175(予約可)
営業時間、定休日はSNSをご覧ください
Instagram: https://www.instagram.com/yes_katsu_sand/
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