本と仲良くなれる場所。 町の中の小さな文庫たち
みなさんの家の近くに文庫はあるでしょうか。文庫、その多くは絵本や児童書をメインに揃えてあり、小さな子どもが本に出会うにはもってこいの場所です。そして本に出会うだけではないのが文庫の魅力。お子さんと一緒にお気に入りの文庫を探してみてくださいね。横浜市青葉区のあざみ野、荏子田、市が尾エリアにある小さな文庫をご紹介します。

本を借りるだけではもったいない?文庫の魅力

「文庫」。なんだかかわいらしい、そして懐かしい響きだと思いませんか?「文庫」とは文書、図書を収蔵する書庫のことだそうですが、ここでは個人のまたは少人数の人たちの所有する本を読んだり、借りたりできる場として捉えて書いていきます。

 

私はこれまで、家庭文庫を二つ取材しています。

一つは家の近所にある「おはなしのへや ぽっぽ」。こちらは私の子どもたちが小学生の頃、せっせと通っていた家庭文庫です。子どもたちは、オーナーの二塚はる子さんに絵本を借りるアドバイスをしてもらったり、困りごとの相談に乗ってもらったりしていました。また子どもだけでなく私自身も子育ての悩みを相談させてもらったこともあります。まさに子どもたちの成長を見守ってくれている文庫です。

 

もう一つは「ぬくぬく文庫」です。「ぬくぬく文庫」のオーナーである芝匠子(しばしょうこ)さんは子どもたちに本の魅力だけでなく、語りや劇などの楽しさを伝えています。子どもたちが楽しそうにそれらに取り組んでいる姿も印象に残っています。

 

一言で「文庫」と言ってもさまざまな形があります。ただ本を貸してくれる場所、本を読める場所というだけではないのが文庫のおもしろい部分だと思います。

 

さて今回新たにご紹介する三つの文庫(小さな図書館)たち、それぞれ全く違うタイプです。お出かけコースとして組み立ててみたので、文庫に行くときには参考にしてみてくださいね。

 

 

文庫と公園を楽しめる欲張りコース

まずは私がお手伝いしている文庫からご紹介します。

荏子田太陽公園にあるローズハウスで開かれているのが「文庫 ちいさいおうち」です。ローズハウスというのは、公園のバラの手入れをしてくれるボランティアさんが休憩したり、地域の人たちがサークルで利用したりする場所です。明るくきれいなローズハウスの中に子ども向けの絵本や児童書、そして大人向けの本が置いてあります。スタッフの私物や地域の人たちの寄付してくれた本や、図書館の団体貸し出し(※)の本たちです。新しい本はそれほど多くはありませんが、ロングセラーの絵本や他所ではみられないような掘り出し物(掘り出し絵本?)に出会えるかもしれませんよ。

 

絵本の読み聞かせや手遊びなどで遊ぶおはなし会があるのは「文庫の日」。こちらは不定期ですが、木のおもちゃなどでも遊べます。大人の会話に飢えている人も、ママ同士や、スタッフとおしゃべりを楽しんでくださいね。

 

「文庫 ちいさいおうち」の目の前には遊具があるので、公園に寄るのは必須かもしれません。ぜひ文庫&公園をセットにして楽しんでください。また、荏子田太陽公園はバラの季節はもちろん、その他の季節もさまざまな花が咲いています。大人もお散歩を楽しめる公園ですよ。

 

(※)横浜市立図書館では地域で読書普及活動を行う団体やグループに図書の貸し出しをしてくれます。

充実の絵本コーナー。11月に入れ替えたばかり。今はお菓子にまつわるお話が多いかも!?

 

ローズハウスの目の前には遊具がある。抱っこの赤ちゃん以外、ほぼ遊んでいく

「文庫 ちいさいおうち」(荏子田太陽公園内 ローズハウス)

住所:横浜市青葉区荏子田3-21-5

アクセス:「東急バス」た63系統 「荏子田三丁目」バス停下車徒歩3分程度

*本の貸し出しはローズハウスがオープンしている時間帯に。ローズハウスの空いている日はFacebook(太陽公園ローズハウス)のカレンダーで確認してください。

 

                                  

ゲームする?オルガン弾く?いろいろ遊んで、帰りはお買い物のコース

 お次は「子どもと若者の図書館 あざがに」です。こちらは商業施設「あざみ野ガーデンズ」のバス停からすぐ近くにある「ガーデン&エクステリア LEAD」というお店の中にある小さな図書館です。あざみ野ガーデンズから徒歩2分なので「あざがに」です。黄色い建物なので気になっている方も多いかもしれませんね。店内はおしゃれな雑貨がいろいろ並んでおり、あれこれ見ながら中に入っていくとお店の奥に小さなカウンターが登場します。その奥には本が並んでいる図書館コーナーがあります。

 

図書館と名前はついていますが、おもちゃ、ボードゲーム、漫画、そしてお菓子まで置いてあります。ちょっとワクワクしますね。午前中は小さな子ども連れのママやパパ、そして、午後になると学校から帰ってきた小学生たちが遊びに来るそうです。そしてめずらしいのは誰でも自由に弾いていい「街角オルガン」が置いてあることです。弾いてみたい人も多いのではないでしょうか。

 

お店のスタッフでもあり、「あざがに」を任されている田中歩さんは「ここではスマホから離れてお母さん(お父さん)と子どものかけがえのない時間を過ごしてほしい」と言います。本を読んで過ごすのもよし、ゲームするのもよし、オルガン弾くのもよし。素敵な時間を過ごしてくださいね。そして帰りはあざみ野ガーデンズでお買い物して帰りましょう。新鮮な魚や野菜がたくさん揃っているのでお子さんと一緒に選ぶのも楽しいですよ。

小さなスペースがより秘密めいて楽しそう。写真に写っていないけれど右側にも漫画が。いろいろな年齢の子どもたちに来てほしいという思いが伝わる

 

充実のおもちゃコーナーも

 

足踏みオルガン。懐かしい音がします

 

おしゃれな外観のお店の前で。「うちの子、不登校なの」と、さらりと話す田中さん。田中さんは、居場所のない子どもたちや食事に困っている子どもたちにこの場所があることを知ってもらいたい、そして悩みを抱えているお母さんたちにも遊びに来てほしいと言います。田中さんの笑顔を見るとほっとします

「あざがに」(ガーデン&エクステリア LEAD内)

住所:横浜市青葉区荏子田3-7-1

アクセス:「あざみ野ガーデンズ」バス停下車すぐ(東急バス小田急バスが利用できます)

TEL:045-482-6651

利用時間:10〜17時(お店の営業時間内で利用)

定休日:毎週火曜、金曜

インスタグラム:  azaga2_pula2

 

*2023年10月21日から同じ場所で「子どもと若者の図書館&カフェ ぷぷあ」も始まりました。困っている子どもたちに補助食を無料で提供してくれます。カップラーメンやスープ、クラッカーなどの支援も募集しています。詳しくはインスタグラム( pupua_aoba )をチェックしてください。

 

 

絵本選びの相談&ゆっくりおしゃべりコース

 東急田園都市線・市が尾駅から徒歩12分。オクトスというマンションの集会室の和室で月2回開かれているのは「ぽけっとライブラリー」です。こちらは学校司書の水流添(つるぞえ)淳子さんが開いています。

 

水流添さんは、2017年に、それまでコツコツと買い集めた絵本や本を貸し出す場として「ぽけっとライブラリー」を始めました。現在は0〜3歳くらいの親子連れが多いそうで、水流添さんは絵本選びを手伝ったり、ママたちのお話を聞いたりして、ゆったりと過ごしてもらうようにしているそうです。季節のかわいいワークショップ(12月はまつぼっくりのツリーや毛糸のリースなど)も用意されていることもあり、大人でも「ちょっと作ってみたいな」という気持ちになります。

 

また、インスタグラムでは水流添さんの司書視点で選んだ魅力的な絵本が頻繁に紹介されています。こちらも読み応えがあるのでぜひフォローして絵本選びの参考にしてみてください。

 

水流添さんは、ぽけっとライブラリーが地域の人たちの交流の場になってほしいと夢を語ります。小さな和室で赤ちゃんからお年寄りまでが交流できたら素敵ですね。

 

そうそう、コースとしては、近くに市ケ尾町公園があるのでお弁当持って公園で食べてから、ぽけっとライブラリーに行くというのも楽しい過ごし方ですね。

小学生の女の子たちが本を選びに。こういう時間って大人になっても覚えていたりします

 

和室に並べられた小さな子向けの絵本やママたち用の料理の本など。実は児童書も並べていないだけでたくさんあるそうなので、本に興味が出てきた小学生にもおすすめしたい

 

水流添さんとサポートの堀さん。お二人と雑談して子育ての疲れを癒やしてもらおう

「ぽけっとライブラリー」

住所:青葉区市ケ尾町541-2オクトス市ヶ尾1号棟2階和室集会室

利用時間:基本第2、第4土曜日14:00〜16:00

インスタグラム:pocket.library2017

*詳細はインスタグラムを確認してください。

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この記事を書いた人
山田麻子ライター
横浜市青葉区在住。中学生女子、小学生男子の母。料理の仕事歴25年以上。管理栄養士。森ノオトでの初めての取材をきっかけに、絵本、詩、素話に出会い、その世界の虜に。以来、絵本と飲み物やお菓子の相性を考えるのが楽しみに。図書ボランティア活動、おはなし会のお菓子作りなどに心ときめく。現在の夢は「語り手」になること。 ブログ:スマイル*ごはんを始めよう
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