コミュニケーションのハブのようなお店でありたい。レイズクッキーサンドイッチ玉井摂人さん
青葉区鴨志田町に2024年4月にオープンした「レイズクッキーサンドイッチ」。グルテンフリーの米粉100%のクッキーやカステラ、ワッフル、そしてクッキーにアイスを挟んだサンドイッチが楽しめるお店です。店主の玉井摂人(たまいかねひと)さんにお店への思いを伺いました。

レイズクッキーサンドイッチは、東急田園都市線・青葉台の駅から車で10分ほどの鴨志田公園の近くにある、グルテンフリーのお菓子やアイスクッキーサンドイッチを提供するお店です。

店の外観

店の前に着いてすぐ目に飛び込んでくるのは、鮮やかなペールグリーンの壁の色やポップでかわいいイラストや文字たち。店内の壁や天井も同じく統一感があり、明るい印象を受けます。

 

レイズクッキーサンドイッチは米粉100%のクッキーとアイスクリームが定番商品です。アイスのラインナップは定番フレーバーである「無限バニラ」「特濃チョコレート」「超超ストロベリー」の3種と日替わりの3種のフレーバーが販売されています。

 

撮影のため、店のオープン時に伺った金曜日はカステラの焼き上がり日。また、お店の近所で営業しているOHAYOGOZAIMASUCOFFEE®︎の梶原大史(かじわらたいし)さんが店頭でコーヒーをハンドドリップで販売している日でした。

アイスはシングルやダブル、クッキーの枚数などを多様にカスタマイズ可能。クッキーの味は8種類あり、その中から好きなクッキーとアイスの味をセレクトします

店内で注文を取るのはレイズクッキーサンドイッチの店主である玉井摂人さんご本人。

 

超超ストロベリーのアイスシングルとクッキー2枚を選んだところ、「クッキーはそれぞれ違う種類も選択できますよ」と玉井さん。私はプレーンホワイトチョコチップとプレーンチョコチップを選びました。

超超ストロベリーは濃厚なイチゴミルクに時々酸味を感じるイチゴの果肉が絶妙。クッキーはサクッとした食感で、シュガーとバターベースのチョコチップクッキーです

 

クッキーとアイスの他には、グルテンフリーのカステラやワッフル、また冬のメニューとして考案された「か餅田アイス(アイス大福)」がある。OHAYOGOZAIMASUCOFFEE®︎のレイズオリジナルブレンドなども注文可能

オープンから1時間半経った頃でしたが、到着時から続々とお客さんが出入りしていて、若い男性の一人客や母娘で散歩の途中に立ち寄った近所の常連さん、来年1年生になるという女の子とお母さん、また、学校帰りの中学生など、老若男女賑わいを見せていました。

常連のお客さんも多く、会話が弾む店内

より安全に食べられるものを提供したい

レイズクッキーサンドイッチ店主の玉井摂人さん

店主の玉井さんは、広告事業を中心とした会社を経営をされており、これまで企業の販促企画やイベント運営、またスポーツグッズの輸入や販売などを行ってきました。

 

今年新しい事業に挑戦してみたいという思いで、レイズクッキーサンドイッチを開店しました。

 

玉井さんがグルテンフリーに関心を持つきっかけとなったのはご自身の体験が基になっています。

 

玉井さんは会社勤めをする傍ら社会人アメリカンフットボールチームの選手として活動してきました。

38歳に選手を引退するまでは、体づくりのための筋トレや食事コントロールなどが欠かせなかったと言います。

 

そして引退後に普通の生活に戻ったところ、急に毎日のように蕁麻疹が出る症状が起こったそうです。

 

アレルギー検査をした結果、いくつか引っかかった中にグルテンも含まれ、体調改善をきっかけに日々の食事の見直しを行いました。

 

「その時に初めて、食べるもので人間の体は変わるんだなぁと言うことを実感しました。もちろん体調不良の原因は小麦が全てだったわけではなく、例えばお肉が大好きでたくさん食べていたので、それを制限してその代わりに野菜を補ったり、糖質制限や便通改善、サプリを利用することで体を整えてきました。今は大分マシになって、小麦も好きなのでたまに食べるのですが、食べた後に体が重たいなぁというのを実感します。なのでグルテンフリーで作ることで、より安全に食べられるものを提供したいという思いがありました」と玉井さん。

 

そのためレイズクッキーサンドイッチのお菓子は、グルテンフリーだけでなく無添加にもこだわり自然な素材を使って作られています。

 

また、甘いお菓子はほっと一息つきたい時に欲しいものだと玉井さんは言います。

 

「甘いお菓子は、生活の中で一息つきたい時やご褒美、何かを頑張るためのカンフル剤として必要なものだと思っています」

 

選手の頃から食と体づくりに向き合ってきた玉井さん。甘いものにおいても、栄養として捉える言葉はスポーツマンらしさを感じられます。

 

 

鴨志田でお店を開いたきっかけ

そんな玉井さんは現在東京都世田谷区在住。この鴨志田エリアに店を開くことになったのは、友人であり、アメリカンフットボールのかつてのチームメイトだった、島原創(しまはらはじめ)さん(青葉区在住)に声をかけられたことがきっかけだったそう。

 

島原さんは福岡県を拠点に豆乳で作ったヴィーガンスイーツのお店を経営しています。ご自身が住んでいる街でもスイーツを販売する拠点を作りたいという思いから、かつてのチームメイトの玉井さんに声をかけたんだそうです。

 

なかなか条件に合う場所が見つからない中、元々、鴨志田町でパティスリー「ブランフルーヴ」を営んでいた市川幸治(いちかわこうじ)さんが店を閉めるという話を耳にした玉井さんと島原さん。3人が個々に活動できる場所にしたらどうかと考えました。

 

現在は、奥の工房とレイズの店舗に分けて運営されており、工房ではオーナーの島原さんや市川さんが自社商品やOEM(委託された他社商品)などの製造を行い、玉井さんは店舗部分でレイズクッキーサンドイッチを運営しています。

新メニューのカステラは、市川さんが焼き上げてます(写真提供:レイズクッキーサンドイッチ)

鴨志田町の人々の温かさ

お店をはじめるとは決めたものの、アイス作りやグルテンフリーのクッキー作りにおいては初心者だったという玉井さん。クッキーアイスサンドイッチを作るまでには多くの苦労を重ねてきました。

 

「作るからにはおいしいものをと思い、市川さんにもアドバイスをもらったりなどして何度も試作を重ねました。なかでも納得のいく米粉のクッキーを完成させるのは大変でした」

 

また、店舗経営というスタイルも初めてのことだったそうで、その難しさを初めて実感したと言います。

 

「個人経営となると、会社の時よりも一日中一人で過ごすことが多くなりました。そのためお客さんが来ない時間に一人でいると客観性がなくなり、ネガティブな方に気持ちが傾いてしまうこともあり個人経営の辛さを実感しました」

 

そんな頃、島原さんからOHAYOGOZAIMASUCOFFEE®︎の梶原さんを紹介され、店頭で定期的にハンドドリップのコーヒーを販売することになります。

 

「梶原さんは出会った当初から気にかけてくれて、仕事がない日にも会いにきてくれて、色々話すようになりました。このエリアに住む方々は温かみがあり、周りを気にかけてくれることや応援してくれる人が多いように感じるんです。以前のお店が新しくなっても、まだ市川さんも店にいるんだよね。と言って来てくれるお客さんがいたりだとか。お店を見守るように応援してもらえる気持ちを少しでも皆さんに返したいなという気持ちになります」

 

 

レイズクッキーサンドイッチの由来

 そんなお店の経緯を聞きながら気になっていたのは、お店の名前の由来。玉井さんに聞いてみると、「レイはアメリカンフットボールの時に使っていた、僕の愛称なんです」とのこと。

 

「アメリカンフットボールの研修でアメリカに行くことがあったんですが、その時に自分のカネヒトという名前は海外では難しい発音だったんです。なので、自分が好きな選手のレイ・ルイスからもらって自称していたんです。なので、その名残でこのお店もレイのクッキーサンドイッチ=レイズクッキーサンドイッチにしました」

 

また、アメリカの思い出は店名の由来だけでなく、アイスクッキーサンドのルーツでもあるそうです。

 

「仕事などでもよくアメリカに行く機会があったのですが、ロサンゼルスのとある大学の近くにクッキーアイスサンドのお店があったんです。全然アイス自体はこだわっている感じもなく、市販のアイスに薄いクッキーをサンドしている感じでした。けれども夕食後の時間帯になると、学生たちや子どもそして大人までがこぞってそのクッキーアイスサンドイッチのお店に行ってとても楽しそうにしているのが印象的でした。

 

アメリカではアイスクリーム屋に行くのが身近なことで、その場で食べてさっと帰る気軽な場所でもありますが、地域の人と人がつながるコミュニケーションの場としても成り立っていました。なのでレイズクッキーサンドイッチもコミュニケーションのハブのような場所として、地域の活性化を担う店になればと思っています」

 

そんな玉井さんの思いが伝播するかのように、取材に伺った日のレイズは、たくさんのお客さんで賑わい、なかには玉井さんと何気ない雑談を語らうためにお店を訪れている人もいるようでした。

 

その光景は玉井さんが語った思い出のアメリカのお店と重なるように感じられました。

 

食べたもので人間の体はできている。

それは、私も日々心身に向き合い、自分に合った食事をコツコツと実践して元気になってきたことで、つくづく実感していることでした。

また、人とふれあうことで心を養えたり、癒やされたりして、人は幸福になるのだと感じています。

 

レイズクッキーサンドイッチは、2024年11月23日のあおばを食べる収穫祭で出店を予定しています。

 

ぜひこの機会においしいグルテンフリーのクッキーアイスサンドイッチを食べてみてくださいね。

Information

Ray‘s Cookie Sandwich®︎ レイズ クッキーサンドイッチ

住所:神奈川県横浜市青葉区鴨志田町560-5-105

定休日:月(臨時休業はinstagramで要確認)

電話番号: 045-479-4452

instagram:https://www.instagram.com/rayscookiesand/

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この記事を書いた人
岡島知美ライター
2020年よりライターとして活動を始める。私生活では菜食、グルテンカット、エコ生活など、自身の心と体が求める食事や生活を実践中。取材を通して人々の思いや活動を知ることで、これからのことを考えていきたいと思っている。
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