
年末年始は一年の感謝や新年を祝い抱負を祈願するために地元の神社やお寺へ御参りに行く方は多いと思います。もちろん私もその一人、年始のお参りは欠かせません。
今日は神社仏閣好きの仲間6人が長津田駅に集合。
今回選んだ長津田周辺は田園都市線とJ R横浜線が交わる駅。交通の要所となっていて、駅から少し歩くと国道246号線があります。国道246号線は旧大山街道とほぼ重なり、江戸時代には大山詣りの宿場町(長津田宿)として栄えていました。
そんな歴史的背景もあり、長津田駅周辺には神社仏閣が多いのです。

スタートは大林寺の王門の前でパチリ。大林寺は長津田村の初代領主岡野房恒が開山。以後は岡野家の菩提寺として発展しました
最初に訪れたのは、駅南口から国道246号線方面へ向かって5分程度歩いたところにある大林寺。元亀元年(1570年)に創建され、境内には長津田十景の一つ大林晩鐘(だいりんばんしょう)という鐘があります。

長津田は旧大山街道の宿場町として栄えた地域であることに加え自然も多く残っていることから中国の湖南省の瀟湘八景(しょうしょうはっけい)をモデルにして長津田十景が選出されました、大林晩鐘はその中の一つです。※瀟湘八景:中国の山水画の伝統的な画題、その八つの名所。〇〇八景の由来
広い境内には保育園児と思われる子どもたちが遊んでいて「こんにちは」と元気に挨拶をしてくれました。
6人でお参りを済ませた後は、次の目的地福泉寺へと向かいます。

国道246号沿いを東急田園都市線・つくし野駅方面へ歩いて、歩道橋を渡って向かい側へ

福泉寺の入り口は少し急な坂を上ります
福泉寺は明応元年(1492年)に開山された真言宗のお寺で、ご本尊は薬師如来。ここは関東八十八ヵ所霊場の第65番霊場になります。長津田初代領主である岡野房恒が村の鎮守として勧請しました。

イボ取り地蔵尊、七福神、摩尼車、握手ができるお薬師さま、ぼけ封じ観世音菩薩、仏足跡に六地蔵……境内には多くの御参りスポットがあり、曼荼羅ワンダーランド!

摩尼車を回します。これは、般若心経が書かれていて回すことで読経と同じ功徳が得られるというもの

恵比寿・大黒天・毘沙門天・弁財天・布袋尊・福禄寿・寿老人の7人の神様それぞれに商売繁盛や財運長寿などのご利益があると知られています。七福神がこうして一堂に会しているのは珍しいのだとか

戒壇めぐりの入り口。「暗いので注意」の案内に「そんなことないよね」とたかを括っていた私たちでしたが、本当に暗かったです
看板の脇の階段を降りていくと入り口があり、本堂の地下を進む戒壇めぐりができます。中は看板の案内通り「想像以上に真っ暗」!右手側にある手すりだけを頼りに恐る恐る歩を進めていくと鉄の輪っかにたどり着きます。この輪っかの真上が、本堂に祀られている秘仏薬師如来だそうで、薬師如来の薬壺とつながっているそうです。
あれも、これも盛りだくさんの境内に6人は大興奮!それにしてもどうしてこれほど参拝スポットがあるのでしょうか?
境内を見渡すと、接待所となっている売店を発見。そこで杉本久明住職にお話を伺うことができました。
「これらは先代住職が中心となって取り入れました。先代住職が、他のお寺などで見聞きしたことを取り入れようと考えたものです。参拝スポットを興味を持って回っているうちに少しずつ信仰心が芽生えてくるといいという思いを込めています。福泉寺に六地蔵や七福神が揃っているのも、さまざまな事情で『地蔵参り』『七福神めぐり』として遠出してお参りできない方のために祀っています」とお話しいただきました。
印象的だった「戒壇めぐり」の暗さについて伺うと、「目の見えるありがたさ、光のありがたさを感じられたでしょう」とおっしゃいました。
住職のお話からこのお寺にあるたくさんの参拝スポットは、信仰に興味を持つきっかけを作りたいという開かれたお寺の現れだと感じました。

握手できる薬師如来様。「福泉寺では仏様の方から手を差し伸べています」と住職
この地域は江戸時代には大山詣りの宿場町(長津田宿)であったことで旅の安全祈願や地域に密着した(鎮守)神社仏閣が多くお祭りなども行われていたそうです。
私たちがお寺に向かって歩いている途中買い物帰りのご夫婦が近くの神社に向かって手をあわせているのを見かけました。こんな何気ない風景から、この地域の神社仏閣は地元に根付いているんだなぁと思い、七福神やお地蔵様、薬師如来像に触れ、清々しくすっきりした気持ちになりました。

この連載恒例のお土産。今回のお土産のきんぴらご棒とお接待の足形べっこう飴。べっこう飴はご高齢の方に「お寺の前の坂が急でお参りしにくい」と言う声から、足腰の健康を祈願する仏足石にちなんだ『足形べっこうあめ』を用意したんだとか。きんぴらご棒はサクサクとしていて甘い中に唐辛子のピリ辛と胡麻がアクセント。もちろんごぼうの味も香りもしっかりあって美味
年末には年末詣を行い、一年を無事に過ごせた感謝を伝え、また年明けの初詣では、新たな気持ちで新しい年の幸せを祈願しに神社仏閣へ御参りに行ってみませんか?もちろん年末年始でなくても良いのです、福泉寺の住職も仰ったように、きっかけはいつでもあると思います。

福泉寺、杉本久明住職と取材メンバー
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