「まちづくり」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか? 私がまず思ったのは、行政の仕事ということでした。民間の不動産会社の社員が語る「まちづくり」とは、どういうことだろう? ハテナがいっぱいの状態で講座に参加したのでした。
まずは、講師の相澤毅さんの経歴と株式会社リストとは何をする会社なのか? というところからお話が始まります。大手企業で商品開発に携わるなどの経歴を持ち、その後勤めていたリノベーション会社が買収されたことからリストに入社した相澤さんは、現在プロデューサー、デザイナー、プレイヤー、広報(メディア)など様々な役割を演じ分けながら、まちづくりに携わっています。リストは、総合不動産会社で、ものづくり(まちづくり)の会社ですが、「ものづくり=ハードづくり」ではないと、相澤さんは言います。
リストの戸建て住宅部門のブランドスローガンは、「ずっとそこにいたくなる」。家そのものが快適で健康な「エコハウス」であるだけではなく、分譲区画内でのコミュニケーションが生まれるような仕組みづくりや、さらに地域との関わり、連携を生むような仕掛けなども考えています。相澤さんも、元々その地域に住んでいる方との会話を大切にし、景観に配慮した計画を策定しているとのことです。
また、アメリカ・ポートランドへの視察で、古いものを活かすことが当たり前であり、廉価大量消費からQOL(Quality of Life=生活の質)重視への考え方の切り替え、ローカリズム(地域密着)などを実際に目にし、自身の経験と合わせて、これからの時代のまちづくりのキーワードとして以下の三点を挙げていました。
1,キーマン(人)の存在 = グランドデザインを描ける人
2,消費者から生活者への転換 = 当事者として生活する人
3,開かれたローカリズム = 居心地の良さ
そして、まちづくりにはもう一点、描いたグランドデザインを基にしたエリアマネジメント機能が必要です。
「現在、日本の各地で、デベロッパーを主体とした、アートを通じた、エネルギーを軸とした、リノベーションを通じた、さまざまなエリアマネジメントが行われていますが、マネジメント機能とは、企画力・営業力(経営力)・発信力を表し、これらが揃わないとまちづくりが機能しない」と相澤さんは言います。
翻って、森ノオトの活動を見てみると……「森ノオトの活動はまちづくりの先進事例になりえるのではないか」と、相澤さん。例えば、“あおばを食べる収穫祭”は、エコという“消費”の価値基準を変えるものをキーワードに、地域で活躍する人を軸にしたイベントであり、上記の企画力・営業力・発信力をすべて満たしていると言うのです。
森ノオトはメディアであり発信力をもっているとは私も思っていましたが、イベントを行う上での企画力や営業力も備え持ち、自分の身近なところ(ローカル)からエコなことをやっていこうという活動が確実に広がってきている、それってまちづくりなんだ! という新たな発見に、リポーターとして森ノオトに関わっている私もこのまちづくりのプレイヤーなのかな、と嬉しくなりました。
相澤さんは、関内に本社がある会社の社員として、自分が住むまちとして、横浜が好きだと言います。大都市の機能、東京のベッドタウンとしての住宅地、寺家のような田舎が残っているところなど、不思議な中途半端感を備えた横浜市。これからご自身の住むエリアでも、何か始めようとの考えをもっているようです。
「まちづくり」??行政のつくる広範囲のまち、デベロッパーのおこなう住居を中心としたまち。ハード面の計画はとても大切で重要ですが、そこに住まう私たちが、このまちをどうしていきたいのか、一生活者としてどう関わっていくのか、一度じっくり考えてみるのもいいかもしれません。まちづくりなんて壮大なことは私には関係ないなんて思わなくても、もっと身近なこと、生活の延長戦上にあるものだと気づかせてくれた、そんな講座でした。
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