世界各国を旅してやってきたアンティークの家具、雑貨。「中央アジアの喫茶店をイメージした」という店内は、まるで彼の地のバザールのようにどこかエキゾチックな賑わいがあります。たまプラーザの「BAR & CAFE KOVU(コヴ)」は、有機やオーガニック、低農薬を中心とした野菜、果物、長期醸造の醤油や味噌など“本物の”調味料、薬品をいっさい使わずにつくられたなたね油などを使った、安心して食べられる家庭の味が売りです。
ナチュラルな素材で、注文を受けてから一つひとつていねいにつくる料理は、ちょっと濃いめの味付けでお酒との相性抜群。一番人気の「鶏つくね焼きと小鉢のお昼ごはん」は、築地直送の鶏肉を店でミンチして、その都度甘辛く焼き付け、コリコリプリプリとした食感がたまりません。周りに添えられた小鉢の多様さ。まるで絵画のように明るく華やかで心が躍ります。
ほかにも「野菜とお豆のスパゲティー」「彩り揚げ野菜のポークカレー」とランチを3種類のグランドメニューに固定しているのは、「このお店ではあの料理を食べたい、そういうニーズが多いんじゃないかと思って」という、オーナーの関本安芸子さんの思いやりからです。
こだわりの食材は、主に生活クラブ生協から。それぞれに産地での持続可能な生産や、未来につながる製法、農法への願いが込められているものばかりです。関本さんは素材の情報をなるべくメニューやウェブなどでわかりやすく伝えようとしています。「みんながいいものを少しずつ食べるようになっていけば、食環境はもっとよくなるはずだから」と。
お店のお洒落な雰囲気と、食材とお客さんへの心遣い、未来社会のためにちょっとだけできることをしようという志。KOVUの料理を食べれば、それらがすべてつながっていることがわかります。
地元の農協や産直などで買ってきた新鮮な野菜は、野菜そのものが持つ彩りや輝きをそのまま引き出す。つくり置きをせずにその都度混ぜ合わせるドレッシングやソース。注文を入れてからドリップするコーヒー。
「できたてって、いちばん美味しいと思うんですよ」(関本さん)
このお店では「待つ」ことも楽しみに変えることのできる、素敵なやさしい時間が流れています。
たまプラーザのお洒落な町並みの中で異彩を放つ古いビル。混沌としたアジアの街角のような、パリのアパルトマンのような、昭和の雑踏のような、そんな空間にできたKOVUは、これからも街の人たちの胃袋と心を満たしていき、新しい物語を紡いでいくことでしょう。
* キタハラ’s eye*
KOVUはともかくお洒落。カッコイイ。世界各国から集められたアンティークや雑貨が混在するなか、オーナーの関本さんの独特の感性でまとめられ、見事に調和した心地いい空間です。「わたし、口べたなんです」とおっしゃる関本さんですが、その語り口に誠実さと頑固さ、美意識の高さが垣間みられ、その人柄が料理や空間、すべてに生かされているんだなあ、と感動しました。食いしん坊の男性にもおすすめ。ランチもいいですが、酒好きこそいい料理でいい時間を過ごしてもらいたいと思います。
BAR & CAFE KOVU(バー&カフェ コヴ)
住所:神奈川県横浜市青葉区美しが丘1-10-8 2階
TEL:045-901-6047
OPEN: 11:30〜15:00(LO14:00)、18:00〜22:00(LO21:00 火〜木)または18:00〜22:30(LO21:30 金土)
定休:月曜、第1・第3火曜(祝日の場合は営業、翌日休)
駐車場:なし
アクセス:東京田園都市線「たまプラーザ」駅より徒歩4分 →Google Mapで見る
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