自転車は地球にやさしくエコで、経済的。私はただ単純に、自転車ってかっこいいと憧れました。自転車に乗ったら風が気持ちよかった、先へ進みたいとペダルを踏み続ける……とてもすてきな乗り物、自転車。自分の一歩一歩の積み重ねが、どこまでも続く道のその先まで連れて行ってくれます。この夏、そんな自転車の魅力を息子と一緒に楽しもうと、サイクリングに出かけることにしました。
といっても、子どもと一緒に車道を走るのも少し怖いし、どこを目的地にしようか、そもそもどこまで行けるものなのか?そんな初心者の私たちの助っ人になってくれたのが、東急田園都市線青葉台駅の近くにある「轍屋(わだちや)自転車店」の店主、鏑木(かぶらぎ)裕さんです。
さぁ、小さな冒険、地元サイクリングのはじまりです!
○ 7:00 「轍屋」集合
最初にしたのは、ルート確認。
「大人が事前にルートを確認しておくことが大切です」と、鏑木さん。
お勧めされたのは「ルートラボ」という、Yahoo! Japanが提供するウェブサービスです。
行きたい地点を入力すると、ルートを繋いでサイクリングコースを簡単に作成することができ、走行距離、所要時間、高低差なども出してくれます。道を間違えそうな場所にはコメントを挿入することができ、ネット上に載せて友達や家族と共有したり、道中にスマートフォンで確認することもできる、とても便利なサービスです。
本日のルートは、こちら。
今日は、「恩田川源流」へ行くそうです!
○ 7:30 「轍屋自転車店」出発
環状4号線を十日市場の方へ、車道の端を3人で連なっていきます。
恩田川につきあたった所で右折。さぁ、ここからは車道を離れて川沿いの細い道です。
「このあたりは古くから村があり、今いるところは恩田村近く。川沿いには多くの村が残っています」と、まちの解説をしてくれる鏑木さん。
川沿いの細道をまっすぐ上流に向かって、ひたすら自転車をこいで行きます。
自転車で輪行する時は、幾つかの注意点があります。
・川沿いの細道は車道よけの柵が所々にあるのでペダルをひっかけないように気をつけましょう。
・犬の散歩で使われているリードにも注意しましょう。
こどもの国線の高架下では「昔、こどもの国があった場所には陸軍の弾薬庫があって、この線路で横浜まで運んだんだよ」とか、成瀬クリーンセンター(町田市)のそばでは、「僕たちが子どもの頃には日本で二番目に汚い川だったと言われていた」とか、鏑木さんは、地元の歴史を所々で教えながら、私たちを休ませてくれます。
小田急線をくぐり、鶴川街道を超えて「日向山公園」のそばを通り抜け、恩田川は小川のように細くなっていきます。
後ろから鏑木さんの走る姿を見ていた私が質問。
「走るコツとかはありますか?」
「ペダルを踏むのに一定のペースを保つと疲れにくいです」
なるほどなるほど。確かに次男は急に早くこいだり、足を休めたりムラがあるけど、鏑木さんは同じペースですいすいと踏み続けています。
「立ちこぎをするときも、いつも骨盤の上に頭があるように上半身はぶらさず、腕や肩の力は抜きます」
これは後から教えたいただいたことですが、ペダルは土ふまずではなく母指球(親指の付け根の所)で踏むのがよく、がに股でなく内股で、膝、かかとがペダルにまっすぐ垂直に降りていくと、力が逃げずに効率がいいそうです。
女性はヒールなどがあると土ふまずの所でペダルを踏むことが多いですが、ぜひ「母指球踏み」も試してみてくださいね。ちなみに、私は子どもの時から土ふまずでペダルをこぎ、どこで踏むかなんて考えもしなかったです!
サドルの高さは、かかとが下に行った時に膝が伸びきる所がベストです。
ようやく源流域までたどり着き、細い溝のようになった恩田川。溝の先は地下になり、湧水自体は見られませんでした。源流なれど、あたりは道路が走り車が行きかう街中で、びっくり。
最後はルートから少し外れて、薬師池公園の裏手の、源流が地下深くにあるだろうと思われる丘へ向かいました。
町田薬師池公園は薬師池を中心に、梅、紫陽花、椿など季節ごとにいろんな花を楽しめます。池にはかわいい亀やすっぽん!もいて、びっくりしました。
お弁当を食べることができるベンチや、すぐそばにリス園やダリア園などもあるので、家族でゆっくり遊ぶのもいいですね。
ゆっくりおなかも満たしたあとは、帰り道へ。
帰りは鶴見川沿いをまっすぐ下っていきます。
○ 10:30 「轍屋自転車店」到着
写真を撮ったりかき氷食べたりと、今日のサイクリングは、ゆっくりまわってちょうど3時間でした。最後は汗もいっぱいかいて、着いた時に鏑木さんが出してくれた冷たいお茶のおいしかったこと!
「冒険心や、季節ごとに変わる自然を一緒に体験できることや、たどりついた時の達成感を一緒に共有できることが子どもと一緒にサイクリングに行く魅力です」と、話す鏑木さん。
そして、途中出会った甲羅干しをする亀や、ひまわり、鳥のさえずり、「ママ、鯉がいるよー」という息子の声。どんどんと流れていく景色の美しさは、子どもと一緒に過ごす時間が流れていく人生の美しさと、とても似ていました。
旅と人生はとても似ているとよく言われますが、この自転車の旅では、パラパラ漫画のように人生をゆっくりと味わい、楽しむことができました。
「自転車って、人や場所、風景、そんないろんな出会いを、革命的に広げてくれます」。鏑木さんが最後に話してくれたこの言葉は強く、自転車への情熱がまっすぐストレートに伝わって来ました。
我が家の息子は二人とも自転車大好き。
母親目線としては、自転車で出かける子どもを送りだす時は、いつも心配で仕方ないです。本人が経験を積むしかない、とか、罰があたらないように善行を積むしかないとか、そんなことを繰り返し自分に言い聞かせつつ、「今日も元気に帰ってきますように」と、いつの時代もたくさんの母親が願ったことを私も心の中でつぶやいています。
でも、前を走る息子の背中を見て、なんと頼もしく成長したことかと、本当にうれしかったです。息子たちにも革命的なことがこれからたくさんあるのかもしれない。それを選ぶこと、選ばないこと、どんな風に人生を豊かにしていくかはその子次第。
今日のコースは、ママチャリでも十分行けるコースです。
ぜひ、子どもと一緒に自転車に乗って、小さな冒険をしてみませんか?
◆ 子どもと走る時に気をつけたいこと。
・ 幼児や走るペースが遅い時は歩道を走る。
・ 3人なら子どもを間に、2人で走るなら子どもを前に(脚力、体力に応じて高学年なら後ろでも大丈夫)する。
・ 車道から歩道に上がる時、信号などで停まる時に転びやすい。特に16インチ~20インチなどの小さいタイヤは転びやすいので気をつける。
・ 小さい子は集中力が長続きしないので、時々休憩を入れつつ進む。
・ 高学年になると、かけっこの延長に自転車があるので、「歩行者優先」であることを大切にする。
・ 「左右、とまれ」などの手信号を送ってあげる。
・ 夏は、いつのまにか脱水症状を起こしていたりするので、気をつける。熱中症、日焼け対策もしておく。
・ 雷雨にも注意。気象庁HP、東京都下水道局のアメッシュはとても便利。http://tokyo-ame.jwa.or.jp/
◆コース選びのポイント
・坂道が少ない道を選ぶ。
・川沿い(恩田川、鶴見川、早渕川)はおすすめ。川沿いは古い地名が残っているので地域の歴史を知ることにもなる。
・楽しい目標点をつくる。例:お正月の七福神めぐり、川崎大師。朝ごはんのパン屋さんめぐり。江ノ島、羽田空港など。
轍屋自転車店/わだちやじてんしゃてん
住所:横浜市青葉区青葉台1-19-1
TEL.045-989-0945
FAX.045-989-0946
mail: info@wadachiya.com
アクセス:東急田園都市線 青葉台駅 徒歩5分 / 東名高速 横浜青葉IC 10分
営業時間:月~金 12:00-20:00、土・日・祝 12:00-19:00
定休日:水曜
町田薬師池公園
住所:東京都町田市野津田町3270番地
電話:042-724-4399(町田市公園緑地課)*お問い合わせは平日のみ
開園時間:6:00~18:00(6月~8月は6:00~19:00)
休園日:年中無休
その他:ペットをお連れの方は、リードをつけて散歩してください。
園内では自転車は駐輪場に停めましょう。
町田市HP:園内の地図や交通アクセスなど詳しい案内が載っています。
https://www.city.machida.tokyo.jp/bunka/park/shisetu/park01.html
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