3.11 福島とともに生きるための復興支援チャリティーコンサート
かつて豊かに稲穂が実っていた田んぼは、荒れ放題になっていた(写真提供:井上仁さん)
東日本大震災・福島原発事故からまもなく5年。復興は進んだのでしょうか? 福島では、原発からの距離で復興の度合いが大きく異なり、故郷に帰りたいが戻れない、そんな方々も数多くいます。震災以降、福島支援をおこなってきた井上仁さんが企画した「フクシマ復興支援チャリティーコンサート」をご案内します。
フクシマ復興応援ネットワーク事務局の井上仁さん(右)と、横浜市で様々な温暖化対策の活動をしている高嶋威男さん

フクシマ復興応援ネットワーク事務局の井上仁さん(右)と、横浜市で様々な温暖化対策の活動をしている高嶋威男さん

青葉台駅からバスで20分ほどのところにある、若葉台団地(横浜市旭区)にお住まいの井上仁さんは、福島県双葉町の出身です。2011年3月11日の東日本大震災、ならびに東電福島原発事故で、井上さんの故郷・双葉町は全町民が埼玉県加須市に避難して以降、ほとんどの人が町に帰れない状態がつづ浮いています。双葉町では、今なお町の多くの地域が「帰宅困難区域」となっています。

「双葉町には親戚、知人、友人がたくさんいて、少しでも力になりたいと思って、最初の2、3年間は無我夢中で活動していた」という井上さん。避難所の学校の体育館で寝泊まりし、体力的にも精神的にもまいっていた町民たちを、少しでも快適な環境に移せないかと、茨城県つくば市の公務員宿舎に誘導したり、茨城県内の弁護士会と連携して賠償請求活動の手伝いや、復興計画の策定に関わるなど、故郷の仲間たちのために積極的に動いてきました。

 

井上さんが一時帰宅の皆さんに同行した折に撮影した、双葉町の駅前の通り。崩れた家がそのまま残っている(写真提供:井上仁さん)

井上さんが一時帰宅の皆さんに同行した折に撮影した、双葉町の駅前の通り。崩れた家がそのまま残っている(写真提供:井上仁さん)

原発から近い双葉町で思うように進まない除染の状況や、未だに残る放射線の影響などを鑑みると、「帰還に向けた支援だけでなく、今後、100年、200年先を見据えた支援活動に切り替えていく必要がある」と考えた井上さん。今、北海道の著名な有機農家に学びながら、福島県で有機栽培を普及する活動に精を出しています。「150年後には、福島の人が日本で最も安心・安全な野菜を食べられる状況をつくりたい」と語ります。

 

双葉町で。灯りが消えたままの信号と、伸び放題の草(写真提供:井上仁さん)

双葉町で。灯りが消えたままの信号と、伸び放題の草(写真提供:井上仁さん)

150年前の天明・天保の大飢饉で壊滅的な打撃を受けた福島県の相馬・双葉地区は、二宮尊徳の「御仕法」の教えで豊かな農業地として生まれ変わりました。今、またこの地で150年後の豊穣の大地を夢見て、一歩を進めたい……。そのためにも、地道な支援を続けていきたいと、井上さんを中心としたフクシマ復興応援ネットワークの皆さんたちが、青葉台のフィリアホールで3月11日(金)17:30より「フクシマ復興支援チャリティーコンサート」を開催することになりました。

石井彰スペシャルジャズバンド、地元青葉区・緑区の民謡同好会の三弦会による演奏に加え、スペシャルゲストに黒澤久雄さん、そしてMCはマイク真木さんと、たいへん豪華なコンサートです。

あいにく残席はほとんどないとのことですが、今後も福島県、特に相馬・双葉地区の復興に向け息長く支援を続けていくフクシマ復興応援ネットワークの活動を知る意味でも、ぜひ、ご興味のある方はお問い合わせください。

かつて豊かに稲穂が実っていた田んぼは、荒れ放題になっていた(写真提供:井上仁さん)

かつて豊かに稲穂が実っていた田んぼは、荒れ放題になっていた(写真提供:井上仁さん)

 

仲間が少しでも早く故郷に帰れるようにと尽力していた井上さんですが、移転先で生活が落ち着いたり、小さな子どもを抱えた方と話をしていると、双葉町に帰るよりも、新しい場所で新しい暮らしを送る気持ちを固めた人が多く、「誰もが故郷に戻ろう、という積極的な気持ちが必ずしもあるわけではない」という現実に直面しました。

井上さんと一緒に「フクシマ復興応援ネットワーク」で活動している横浜市の高嶋威男さんも、「現地に行くと、新聞報道と全く違う状況を目の当たりにします。避難全面解除になった町でも、産業がない、病院や商業施設といった生活基盤がない状況で、生活を立て直すのは難しい。除染した土もあちこちに置いてあり、いつになったら安全なまちになるのかが実感として見づらい」と語ります。

あいにく残席はほとんどないとのことです

あいにく残席はほとんどないとのことです

 

 

 

 

Information

フクシマ復興応援ネットワーク事務局

TEL 045-921-5687

井上仁さん 090-3050-3120

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この記事を書いた人
北原まどか理事長/ローカルメディアデザイン事業部マネージャー/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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