区役所が花と緑のカルチャースポットに!?|フラワーバスケット
くらす
理事長/ローカルメディアデザイン事業部マネージャー/ライター
北原まどか
2019/03/29
2019年1月12日(土)、青葉区役所1階区民ホールで「フラワーダイアログあおば」のイベント「フラワーバスケット」が開催されました。区民が「花と緑」をテーマに自分の得意なことを持ち寄って、「マイ屋台」をつくり発表する、来場者と一緒に楽しめる12のプログラムが花咲きました。
2018年12月8日にフラワーバスケットの準備のためのワークショップが行われた。そこで出てきたアイデアを、その場で区内在住のイラストレーター・中尾仁士さんが図解した
時折小雨が降る寒さのなか、青葉区役所は華やかな熱気に包まれていました。NPO法人森ノオトと青葉区が行っている協働事業「フラワーダイアログあおば」で、12組の花好きな人たちが「花と緑」をテーマに、自分の得意なことや、興味関心のある分野を持ち寄って発表する「フラワーバスケット」が開催されました。自分の得意とするカルチャーを気軽に教えあう仕組みとしてたまプラーザで始まった「シェアカル」の「花と緑」バージョンとも言える取り組みです。
当日集まった12組は、いったいどんな「マイ屋台」を出したのでしょうか? その様子をレポートします!
青葉区役所華道部の方が事前に作品を区民ホールに展示してくれていた。華やかな生け花に迎えられ、気持ちが一気に高まっていった
「はちみつぶんぶん」の屋号で出展したすすき野団地理事長の小柴健一さん。本当に屋台を持ってくるほどの気合に、周囲をあっと驚かせた。この日は6種類のハチミツを用意、テイスティングで最も話題をさらったのは「コーヒー」のハチミツ!?
「きまま茶ろん」の徳地誉子さんは、友人と一緒に桜茶を楽しめるブースを用意。お茶の温かさに心をほっと落ち着かせ、様々な味の金平糖を舌で転がしながら、五感を駆使して桜花の香りを楽しんだ
Photo05:花農家に嫁いだ森愛子さんは、自宅にある花材と大きなパネルを持ち込み「森のアート屋さん」のブースを開いた。参加者が自由な発想で花材を飾って、最後にどんなアート作品ができあがるのかな?
大和市のハーブ農家・小川穣さんは「小川ハーブ店」として出展。参加者は様々な種類のオーガニックハーブの中から数種類を選んでブレンドし、すり鉢であたって香りの変化を観察したり、ハーブティーにしてその場で飲んだり、手浴をしてリラックスしたり。楽しみ方は人それぞれ
田奈小学校放課後キッズクラブを運営するNPOの理事長・土志田祐子さんと、同じ田奈小学校で学校の花壇ボランティアとして活躍する黒田ゆかりさんは「きうえやさん」として、学校花壇の作り方を提案した。寄せ植えを花壇に見立て、子どもが楽しめる配置を来場者に伝えていた
終始行列が絶えなかった「チッチェーノ・デッケーノ」のブース。昨年11月にたまプラーザで開催された子どものまち「チッチェーノ・チッタ」に参加した小学生を中心に、ローズマリーの剪定枝でリースをつくるワークショップを運営した。グループをとりまとめた里井美由紀さんは「子どもたちが自発的に考え、アイデアを生み出してくるので、私は何もすることがなくて」と、当日は写真撮影に専念
森ノオトライターの南部聡子さんは友人と一緒に、日本文学をモチーフにした栞づくりのブースをつくった。万葉集から現代文学まで、花にまつわるたくさんの文学のフレーズを花ごとに分け、それぞれ好きな花から心惹かれる言葉を選ぶ作業は、まさに「ことの葉の森」に迷い込んだかのよう
もうすぐ臨月!の大きなお腹を抱えて出展した本田真弓さんは、自宅マンションの修繕でベランダから引越を余儀なくされた「花の里親探し」をした。小さなスワッグや植物の苗を持ち込み、それが多くの青葉区民の手にわたった。数カ月後、SNSで「フラワーバスケットで本田真弓さんからもらった苗が、家で元気に花開きました」という投稿が相次ぎ、本田さんもうれしそうだった
「絵本」でつながる城所律子さんと、森ノオトライターの山田麻子さんは、花と緑に関するたくさんの絵本を用意。隣の「葉っぱ物語製作所」では、参加者がそれぞれ言葉をつないでいき、四つの物語を作り出していった。さて、どんなお話になったのかな?
山本久美子さんが出会った「えだ福祉ホーム」の刺し子は、心身にハンデのあるメンバーが一つひとつ手作りしたもので、なんとも味のあるものばかり。山本さんは「刺し子屋さん」として、その魅力を訪れた区民に伝えていた
森ノオトは「葉ぎれ屋さん」として出展。布雑貨工房AppliQuéにある花柄の端切れの数々に、「本当にこれ、もらっていいの?」と来場者は喜色満面。「この布で何を作ろうかしら」と話に花が咲いていた
区内在住のジャズシンガー・黒田ナオコさんは「花うた屋」として、花にまつわるジャズソングを披露。12時からのライブを目当てにやってくる人もいて、しっとりした歌声に会場の大人たちは身を委ねていた
10時からスタートした「フラワーバスケット」。3時間という短い時間でしたが、100人近い来場者が集まり、また区役所の土曜開庁で訪れた方が立ち寄るなどして、多くの人が「花と緑」に関するカルチャー体験を楽しんでいました。たまたま行き交った人同士で一緒にアート作品や物語をつくったり、お茶やハーブやハチミツを通して花の香りを楽しんだり、文学の世界に耽るなど、「花と緑」というテーマだけでも、いく通りもの味わい方があるのだなあ、と感じました。
3つの「葉っぱ物語」は、いろんな人の言葉がつなぎ合わされて、最後にはちゃんと作品になっていた
青葉区のマスコットキャラクター「なしかちゃん」登場に、子どもたちは大喜び!
「森のアート屋」さんでは、多くの人の手によって、こんなにダイナミックな作品ができあがった
「フラワーダイアログあおば」の全体を企画・統括している森ノオトの梅原昭子と、たまプラ一座の林月子さん。花をモチーフにした髪飾りをつけてご機嫌
「フラワーバスケット」は、あえてお金を介さずに、自分の得意なことを持ち寄って周りの人たちと一緒に楽しむことがテーマです。それが仲間を広げたり、自分の暮らしを豊かにしたり、困った時には支え合える関係づくりの土台になればと私たちは考えています。
この日、青葉区役所が花と緑であふれて、清々しく華やかな香りでいっぱいになった体験は、忘れられません。花と緑が人々に元気と活力、そして交流をもたらしてくれることを実感し、これからもこうした場をつくっていきたいと感じました。
花と緑を通じた区民交流の文化を今後も広げていきたい