今では当たり前のように利用できて、子育てを助けてくれる制度。例えば、今や横浜市内全18区にある「地域子育て支援拠点」や「親と子のつどいの広場」は、20年前にはありませんでした。当時、子育てをしていた人たちが動き、必要なものを自ら形にしながら、「次の世代に持ち越さないために」と、現状を知り、制度を学び、行政にはたらきかけて協働で取り組み、よりよい子育て環境をつくるために実現したものです。「子育て支援拠点があって、救われた」「広場に行けば誰かに会える、悩みを聞いてもらえる」。そんな風に今子育てをしている私たちが感じられるのは、子育ての先輩方が絶え間ない努力の結果、つくりあげてきたものです。
(具体的な物語として、青葉区の子育て支援拠点「ラフール」の運営者であるNPO法人ワーカーズコレクティブ・パレットの記事をご覧ください)
就労の有無にかかわらず誰もが利用できる乳幼児一時預かりや、子育てサポートシステム、産前産後ケア、病児保育など、今ではさまざまな制度が私たちの子育てを支えています。
「みんなで話そう!横浜での子育てワイワイ会議」は、2015年にスタートした市民団体です。きっかけは、今から5年前の2014年、横浜市が2015年度から2019年度までの5カ年の「第1期子ども・子育て支援事業計画」を策定するにあたり、パブリックコメントを集めるなかで、子育て当事者の声を届けていこうと有志が集まって「よこはま子育てワクワク作戦」というWebアンケートを展開したことです。この時、1562もの声が集まり、これらをパブリックコメントとしてとりまとめて、横浜市のこども青少年局に届けました。ワクワク作戦はいったん解散し、その後、ワイワイ会議として、子育て当事者が本音で自分の子育てについて話し合うお茶会を各地で開きながら、活動を続けています。
※パブリックコメントとは、公的な機関が規則などを制定するときに、広く公(=パブリック)に、意見・情報・改善案(=コメント)を求める手続きのことをいいます。パブリックコメントは、横浜市の子育て支援事業に限らず、国、都道府県、市区町村の、さまざまな制度で行われています。
政策の改定期に募集されるパブコメは、市民が横浜市の子育て環境を「ともにつくる」意味において、とても重要なステップです。
10月17日(木)から、2020年度からの5年間の横浜市の子育て支援政策「第2期子ども・子育て支援事業計画」に関する意見をひろく求めるパブコメが実施されています。
ワイワイ会議では、子育て支援拠点を築き運営している支援者のネットワーク「よこはま地域子育て支援拠点ネットワーク」や、横浜での子育て環境に政策提言を続けている「よこはま一万人子育てフォーラム」の方々と一緒に、この絶え間ない市民社会の努力に当事者として参画していきたいと、今まさに子育てをしている人たちの声を集めるWebアンケートを実施します。
ご自身で事業計画を読み込み、市のウェブサイトからパブリックコメントを書き込んでもらうこともできますが、より多くの人が、気軽に声を出せるよう、ワイワイ会議では、簡略化したステップでパブコメのアクションに参加できるようにしました。
「私も自分の声を届けることで、横浜市の子育ての未来をよくすることに参加できる!」
そんな気持ちを、より多くの方にもっていただければ、と願っています。
▼▼
Webアンケート(クリックしてください)
横浜市が「子ども・子育て支援事業計画」を策定するにあたり、これまで様々な取り組みが行われてきました。昨年度(2018年度)は、未就学児の主に保育に関する現状とニーズ、小学生の放課後等に関する現状とニーズに関する大規模な調査が行われました。合計回収数は59,459人(回収率46.1%)。
9月30日に横浜市開港記念会館で開かれた「よこはま地域子育て支援拠点ネットワーク」主催の勉強会「しくみを知ろう!」では、このニーズ調査の分析と、これからの横浜の子育て支援に望むことについて語り合うワークショップが開かれました。膨大なニーズ調査の資料を読み込むなかで、ワイワイ会議共同代表の森祐美子さん(NPO法人こまちぷらす代表)は、次のような分析をしました。
「横浜での子育てについて、未就学児の親は、満足度はあがっているが(H20年度33.1%→H30年度46.8%)、不安も増えている(H20年度31.4%→H30年度38.6%)。充実してきたと思われる子育て環境のなかで、膨大な情報の海の中で本当にこれでいいのかと思うことが増え、いざという時に頼れる関係や駆け込める場が少ないのでは」。また、「1日の中で子どもが起きている時間に、子どもと過ごせる時間は、父母ともに全体的に減っている」などのデータに、職住近接の働き方の実践を試みるも、実際は難しい現実なども交えて、ていねいに本音をひろっていく場をもつことの大切さを森さんは感じたようです。
また、横浜市こども青少年局とワイワイ会議で、子育て当事者の「生の声」をひろっていこうと、2018年10月から2019年1月にかけて、横浜市全18区でグループトーク「みんなで話そう!横浜での子育て」を開催し、201名、3180の声を集めました。
ワイワイ会議では、集めた声を分析し、横浜市の子育て支援事業に対して、次のような提言をおこないました。
(1) 時代と課題が先行し、制度が後から追いついていく現状の打破
・制度間/官民、市と区連携での検討の加速
・「まち保育」の拡充
・多様な働き方への制度対応
・スペシャルニーズ(外国につながる子ども、ひとり親、多胎児、ダブルケアなど)を抱える人への支援
(2) サービス提供が充実した半面、利用者意識も育ってしまったこの10年を振り返り、人の力を戻して今後10年の子育て支援を期待
・「地域で子育てをしていく」ことへの参加型のプロセスデザイン
・子育て当事者主体のプロジェクト立ち上げ支援の強化
(3) 点の子育て支援から面の子育て支援を希望
・すでにある場同士の連携
・情報の連携
・地域を超えた連携
上記の提案は、市民と行政との対話と協働に基づいておこなわれるものです。それは大きく【公助】といい、制度の実現や改善に向け、今回のパブコメのような機会を通じて呼びかけていきます。
一方で、【公助】だけで全てをカバーできるものではなく、市民が自ら動き、仲間をつくりながらよりよい子育て環境をつくっていくための【共助】【自助】の動きも大切です。ワイワイ会議は、継続して以下のことに取り組み、声を届けることを続けていきます。
(1) 子育て当事者が自分を語れる「場」をつくっていく
(2) 行政の制度や予算がどう動いていくかを理解し、歩み寄っていく
(3) 多様なレイヤーの情報や支援をつなぎ、横浜市域で連携していく
私たちの先輩方が、子育て支援者として横浜市の全区に広がるネットワークをもち、政策提言を続けているように、私たちワイワイ会議のメンバーも、自らが今子育てまっさかりの当事者として、等身大の声を集める場をつくっていきたいと考えています。ワイワイ会議の仲間も少しずつ広がってきていて、横浜市全域で素敵な活動をしている人たちがゆるやかにつながり始めています。
2020年度からの5年間で、横浜での子育てはまた、大きく変わっていくはずです。地域に仲間がいる、横浜市全域でつながっている。横浜での子育て、子どもの育ちがより豊かになっていくように、世代を超え、横浜全域で手を携えながら、声を出すことで一緒に未来をつくりませんか?
子どもに関わるすべての方へ
「子育てのご意見大募集!」〜アンケート期間を一週間延長し、11/13 (水)までとします!〜
2020年度からの横浜市の子育て環境に関する「パブリックコメント」
Webアンケート募集期間 2019年10月17日(木)〜11月13日(水)
Webアンケートはこちらのリンクから。
横浜市のパブリックコメントに直接意見を届けることもできます。募集期間は2019年10月17日(木)から2019年11月15日(金)まで。
みんなで話そう!横浜での子育てワイワイ会議 facebookページ
生活マガジン
「森ノオト」
月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる
森のなかま募集中!