私は自宅の庭でも数種類のハーブを栽培するほど、実はとてもハーブ好きです。その姿は一見、地味であり、華やかな草花には劣るかもしれませんが、ふれた瞬間にふわっと漂う香りやハーブのもつ効能はとても魅力的です。取材に訪れた「ハーブカフェ ららら」は、こうしたハーブを100種類ほど栽培しており、ガーデンに植えられたハーブを実際に目で見て、さわり、そして舌で味わえる場所になっています。
この施設は、2009年10月に、NPO法人たま・あさお精神保健福祉をすすめる会が、精神しょうがいのある方の支援のひとつとして開設しました。現在は、23名の方が登録しており、園芸作業・菓子製造・喫茶業務などの“働く”場を通して、利用者の目標に向けた活動をしています。また、利用者の家族や地域の方たちが気軽に訪れ、安心してくつろげる場にしたいという願いもあるようです。
それにしても、これだけのハーブガーデンを管理・維持するのは相当大変なこと。何か秘訣があるのでは? と、現在、施設の所長・サービス管理責任者でもある大友わかささんにお話を伺いました。
「私の前任者の代から、最も大切にし、かつ引き継いでいきたいことのひとつに、“地域の皆さんとのつながり”があります。元々、自治会などが盛んな地域ということもあり、皆さんには日頃から本当にお世話になってばかりです。地元のお祭りに参加したり、また、ハーブカフェらららでも地元の方と一緒に“ハーブまつり”を開催したりして、少しでもコミュニケーションをとることができたらと思っています」
大友さん自身もここに来て、昔ながらの地域交流の良さを実感しているようです。「おかげさまで、常にご近所の方が気にかけてくださり、施設が休みの日に植物が弱っていたら水やりをしたり、私たちでは難しい大きな樹の剪定をしていただいたりと、常に見守られながら今日まできています」
施設の利用者、スタッフ、そして近隣の方々の協力があってこそ、この気持ちの良い空間が維持されており、それは日頃の信頼関係の積み重ねから生まれているものなのだと感じました。
そして、もうひとつ驚いたことは、利用者の方に、ハーブの名前や栽培方法などについて尋ねると、とても詳しく説明してくれることです。毎月、定期的にハーブに関する勉強会や、運営の改善点などについて振り返る時間を設けているそうで、カフェを訪れた人へ知識やノウハウを伝え、それが利用者の自信にもつながっているとのこと。“自分が得た知識を人に教える、伝える”という行為は誰にとっても嬉しいことであり、利用者の誇らしげな姿を見ているだけでこちらまで優しい気持ちになれるひと時でした。
大友さんにお話を伺っていると、常に地域の方への感謝の念が表れてきます。お世話になっている近隣の方たちに少しでも恩返しができるように……と、「今も時折、市民グループの方の作品展や高齢者施設の方の集まりに、この場を利用していただいていますが、更に地域交流の場としてここを活かしていければと思っています。そして、ここにハーブカフェらららがあって良かったね、と言われるような場所になれたら嬉しい」
ここ数年、地元の小学校の授業では、ここを訪れ、園芸作業やクッキー製造などを見学し、質疑応答をしながら、カフェスタッフとの交流を深めているそうです。子どもたちがハーブをさわりながら、葉っぱの匂いをかぎながら、おしゃべりしている姿が目に浮かびます。このことからも、既に十分、地域に根付いていることが分かるような気がします。
近くには、早野聖地公園や寺家ふるさと村などもある自然豊かなエリアです。子連れのお母さんたちには、子どもたちがハーブガーデンで遊ぶ姿を見ながら、カフェでひと息ついてもらうなど、ぜひ散歩コースのひとつに入れてもらえればと思います。
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「ハーブ市」開催!
「ハーブカフェ ららら」では毎年ハーブ市を開催しています。今年も以下の日程で開催予定です。ミニハーブカフェ、ハーブを用いたワークショップ、ハーブ摘みなど。
日時:2015年7月3日(金)11:00-15:30
会場:ハーブカフェ ららら(ご来場の際は、公共の交通機関をご利用ください)
ハーブカフェららら
住所:横浜市川崎市麻生区下麻生3-32-5
TEL:044-989-8323
営業日:金、土曜日
営業時間:11:00-16:00(15:30ラストオーダー)
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