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NPOやボランタリー団体の多くが「広報」で悩んでいます。
ボランタリー団体の多くは日々、目の前のイベントや事業を回すことに精いっぱいで、さらに、広報に特化した職員を配置する資金や、広報に割くことのできる時間も不足していることから、どうしても広報は後回しになりがちです。
子育ての孤立や孤独を解消したい。
外国にルーツのある家庭が地域になじめるように支援したい。
学校に行かないことを選択した子どもたちの居場所をつくりたい。
そんな思いを持って活動しているのに、広報がなおざりになると、結果的に受益者に必要な情報が届きにくく、活動や支援を十分に届けることができないというジレンマを抱えているケースが多いのではないでしょうか。
認定NPO法人森ノオトでは、2017年からかながわボランタリー活動推進基金21の補助金を活用して、NPO向けの「発信力UP講座」を実施してきました。2020年からは団体の個別支援に力を入れ、それぞれ団体ごとに異なる組織課題に対してオーダーメードで、広報・発信に納得感をもって進めるためのサポートをしてきました。
2023年度は、基金21の成長支援事業として、神奈川県内の10団体に対して、個別支援を行ってきました。10団体が半年にわたり、広報の課題に向き合い、改善点を見出し、実行し、広報体制をどのように整えてきたのか、成果を発表します。
ボランタリー団体が抱える広報の課題
「事業が忙しく広報に時間や人を割くことができない」
「代表者の言うなりに広報をしていて、広報担当者の納得感がない」
「目の前の広報すべきタスクに追われて、なぜその事業を行うのかの検証が十分でないまま、漫然と広報をしていた」……
これまで森ノオトでは広報に悩む神奈川県内の100団体に対してヒアリングや個別サポートをしてきました。団体が情報を届けたい相手(受益者)のニーズを拾う、広報に関わるメンバーが納得感をもって広報を進めるという体制のないまま、漫然と広報を行っているという課題を多くの団体が抱えていました。
その結果、本来広報すべき相手に情報が届かない、特定の個人に広報の負担が偏りすぎる、広報スケジュールの管理ができておらず行き当たりばったりで情報発信しているという課題が散見されました。
スタッフやボランティアの人数や、財源があってスタッフが仕事として広報をするのかボランティアが担うのか、組織の体制や情報伝達体制がしっかりしているか。団体によって、状況は全く異なるので、一概に「こうした方がいいですよ」という万全の処方箋はありません。
ただし、広報力を高めていくためのステップは確実にあり、一つひとつの課題に向き合ってクリアにしていくことで、広報のスキルが高まるだけではなく、広報によって組織の体制自体が整っていくという効果があることがわかりました。
ボランタリー団体が地域の課題やニーズを知るヒアリング能力と、受益者に届く表現や適切で効果的な広報ツールを用いて発信力を高めてほしい。それによって、一方的な情報発信ではなく、双方向性のある関係性を構築していくことを支援していきたい。組織の広報体制を見直すなかで、団体の行っている事業の価値を言語化し、組織内部の共通認識を持つことで、組織基盤の根本を整えていくことをサポートしたい。私たち森ノオトのメンバーが総出で、県内10団体のもとに出向き、広報活動を一から棚卸しして、積み上げていく半年間を重ねました。
団体の広報の悩みに寄り添う
森ノオトが支援した団体の一例をご紹介しましょう。
神奈川県の県西部で、森林の中で自然体験を提供したり、木材を伐採して薪をつくり販売しているNPO法人仂(ろく)。NPOを設立して2年目で、行政からの委託も増え、団体としては成長中です。
日中は森林の整備や薪割りなどのパワーワーク、イベントがあればその準備や片付けに追われ、広報は「できる時にできる人が」と後回しになりがち。団体の主な収益源は薪の販売ですが、人手が足りず、継続的に関わってくれる人を増やしたいものの十分にお金を払えるわけではないことも悩みの種でした。
仂の広報に関わるメンバーは、代表の根本秀嗣さん、理事の古舘信生さん、東京から2拠点で活動する濱田千裕さんの3人。個別支援ではまず、仂に関わる人たちの関係性を洗い出すワークショップを行いました。思いつく限りの人の名前を出し、それらを「行政/公共施設」「企業」「地域のお店」「NPO/市民団体」「地域住民」「東京や神奈川の都市部から訪れる人」に分類しました。それにより、行政/企業/お店とは薪の販売や環境教育コンテンツの提供といった「ビジネス」で関わり、地域の人や来訪者などの市民とは活動をともにする「仲間」としてつながるという切り分けができました。
これまでの仂の情報発信では、「体験」も「ビジネス」もごちゃ混ぜで、誰に向けて発信しているのかよくわからない状態で、収益源である薪の販売についてもホームページに記載がなかったので、それを森ノオトから指摘しました。
すると、根本さんは翌月にはさっそく薪のランディングページ作成に取り掛かり、わずか2カ月の間に「仂の薪」のブランディングを進めていきました。
また、自分たちがつながりたい相手(顧客と呼びます)に対してインタビューを行い、仂がその人に提供できる価値は何か、どんな形で顧客と協力し合えるのかのニーズ調査をしました。地元で店舗経営する方からは、お店に薪を置いて販売することで環境貢献の発信につながるので「薪のアンテナショップ」としての機能を担えるという提案がありました。都市部から活動に参加する人からの「仂で出会う人との交流に価値がある」という声を受け、仂に関わる人自身の魅力を発信してもいいのでは、という意見が出されました。
こうしたプロセスを経て、代表の根本さん、地元在住の理事の古舘さん、都市部から通っている濱田さんそれぞれの強みを活かした広報の役割分担を行いました。年間の事業計画と広報計画を連動させること、月に一度広報会議を設けてルーティンの確認をするなどの広報体制づくりに取り組みました。
「外へも大事だけど、まずはNPOの会員への広報が大事だと思いました。講座を通して、組織内の風通しのよさが必要だと思いました」(濱田さん)
「ビジョン・ミッションに即して、中に対する広報、外に対する広報について、論理的に、頭を整理できた。広報会議、スケジュール会議、戦略と戦術を区別しながら、みんなで共有したい」(古舘さん)
「(団体の運営や広報を)中心に立ってリードしてきた者として、広報はやっていたら後からついてくるだろうと思っていたのは否めなかった。意識的に仲間たちと意見交換をする時間を落ち着いて持っていきたい」(根本さん)
と、それぞれが手応えを感じたようです。広報によって仲間を広げていくことで、「NPO仂は、多彩なヒトノチカラによってなりわいと遊びを紡ぎ出し、里山地域にヒト・モノ・ココロ・おカネを循環させるセンターとなりたい」というビジョンを掲げ、仂はこの春から新たな広報体制で歩み出します。
10団体が取り組んできたこと、成果を発表します!
ここで紹介したNPO法人仂の成長は一例で、今回、森ノオトで支援した10団体が、半年にわたる広報の成果、組織の変化を2月16日(金)に発表します。目的も、テーマも多種多様な団体で、かつみなさんパワフル!NPOやボランタリー活動をしていて、広報に悩みを抱えている方ならば、きっと参考になるはずです。
発表団体は以下の通り。
・NPO法人リンクトゥミャンマー(在日ミャンマー人の支援)
・NPO法人ハートフル・ポート(コミュニティカフェ、地域の居場所づくり)
・ざま子育て応援プロジェクト(情報発信と居場所づくりによる子育て支援)
・リトルファームHOMMOKUもくり(地域のコミュニティ拠点)
・NPO法人未来経験プロジェクト(子どもを中心にしたまちづくり、つながりづくり)
・NPO法人仂(木質バイオマスを核にした県西部の地域おこし、環境啓発)
・NPO法人なかよしの花(重度障害者のグループホームとヘルパーステーション)
・認定NPO法人横浜移動サービス協議会(障害の有無にかかわらず移動の自由と手段を創出)
・一般社団法人乳がん予防医学推進協会(乳がん予防の普及啓発)
・一般社団法人アマヤドリ(18歳以上の子どものシェルター、居場所支援)
当日会場では団体同士の交流の時間を設けます。参加費無料。ぜひご参加ください。
【開催概要】
基金21成長支援事業「成果報告会」
日時:2024年2月16日(金)13:00〜16:00
会場:かながわ県民センター2F ホール
住所:横浜市神奈川区鶴屋町2-24-2 かながわ県民センター2F
一般受付:12:45
開始時間:13:00
終了時間:16:00
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