ペットボトルにあるリサイクルマーク、じっくり見たことありますか?表示に従ってきちんと分別することが大事です。環境問題でもあるごみの分別に関心を持っている人は多いはず。私もとても気になります。分別の方法はなんとなくわかっているけれど、「これで間違いない」を紹介したいと思い、森ノオト編集部メンバーと緑資源選別センターへ取材見学に行ってきました。
資源選別センターは、分別収集した家庭からの「缶・びん・ペットボトル」を搬入し、種類別に選別し、リサイクル(再生利用)をするための施設です。
横浜市には選別センターが4カ所あり、緑資源選別センターには、青葉区・緑区・都筑区全てと港北・保土ケ谷・旭・瀬谷区の一部の分別ごみが搬入されます。
見学の案内をしてくださる所長の阿部廣道さんのお話では横浜市での年間の受入の総量は約5万1千トン(緑資源選別センターは、約1万7千トン)。これがどうリサイクルされていくのでしょう。
工場見学の前に、ビデオと、阿部所長のお話で、工場での選別の方法や何に生まれ変わるか?などを伺いました。
緑資源選別センターはA棟とB棟に分かれていて、同じ作業がされています。
各棟とも選別は2基のベルトコンベアで行われます。選別する品目はペットボトル・アルミ缶・スチール缶・びんの4種類で、びんは茶色・無色・その他の色に分けられます。
そして、ペットボトル・アルミ缶・スチール缶は圧縮して、梱包後再生資源として売却したり、リサイクルして新しい商品に生まれ変わります。
主なリサイクル先として、スチール缶は建築資材などの鉄製品に、ガラスびんはガラスに生まれ変わります。また、身近なところで目にするものとしては、道路のキラキラと光る部分には砕かれたガラスが混ぜられていたり、花壇のブロックなどにもリサイクルされているそうです。
アルミ缶は溶かしてアルミ缶に、スチール缶も溶かされて建築資材などに。びんも溶かされびんに再生、ペットボトルは石油から作られていることからペットボトルをはじめ食品用トレーや繊維にも再生されていきます。
こうしてきちんと分別することで、ごみではなく、新しい資源として生まれ変わるのです。
ビデオで見た通り、集められた缶・びん・ペットボトルがベルトコンベアで流れてきます。
工場内は音がすごく、皆さん耳栓をして働いているとのこと。
それからやはり匂いです。取材時は冬場でしたが、夏に見学に来た小学生は必ず「臭い」と言うそうです。阿部さんは子ども達に伝えます。「ここに来るごみは全部家庭から出た物。ちょっとだから、と、そのままごみに出すと数日経ったり、たくさん集まるとこんな匂いになる。だから、缶・びん・ペットボトルを捨てるときには軽くすすいでね」。
“見て・感じて・臭いも嗅いで、帰ってもらう”実際の体験はとても大事です。
工場を見て気になったのはペットボトルを手作業で取り除いているところでした。缶は人の手をかけずに流れていきます。が、ペットボトルは手作業で取り除いていきます。なぜなのでしょう?
今では当たり前に使っているペットボトルですが、リサイクルは1991年から試験的に始まったそうです。横浜の4つの選別センターはそれ以前から稼働している施設なので、ペットボトルの分別機能は後付けで、どこの施設も全て手作業で取り除いているのです。
ペットボトルの歴史は比較的新しく、日本で使われたのは1977年、醤油の容器として採用されました。透明で軽いことから飲み物の容器として使われるようになり、1982年に清涼飲料容器に、2002年に乳飲料容器にも使用ができるようになりました。
※PETボトルリサイクル推進協議会HPより
収集された資源ごみはベルトコンベアに載せる前はストックヤードに集められています。取材時にはちょうど、青葉区の収集車が入ってきました。集められた資源ごみはショベルカーでベルトコンベアに乗せるために運ばれていきます。
こんなにたくさんの資源ごみが出るのかと、驚きの光景でした
ここには横浜市全体の約3分の1 の缶・びん・ペットボトルの資源ごみが収集されます。
収集車1台に入るごみの量は約600kg、収集車は1日で約120台が行き来します。冬季にはびんが増えるので重く、夏はペットボトルが多く軽いなど、季節で資源ごみの種類も変わるそう。
工場見学がひと段落したところで、阿部さんにごみの分別に関する質問や、ごみの選別に関するお話を伺いました。
まずは気になる資源ごみの正しい出し方です。
・ペットボトルは軽くすすぐ。キャップとラベルを剥がして潰す。
(キャップの下部分が少し残るところは無理に外さなくても大丈夫だそうです)
・アルミ缶も軽くすすいで潰さずに出す。蓋は外して「小さな金属」で出す。
・びんは軽くすすぐ。
・全て一つの袋に入れて出す。
<ごみを出す上での注意点>
・「小さな金属類」、「スプレー缶」、「プラスチック製容器包装」
・ごま油などベトベトとしたものは、下水道の負担も考慮し、ある程度洗い流して出す。
スチール缶は鉄でできているので潰さないで出します。なぜなら「磁選機」では磁石を利用してくっつけて分別していて、潰してしまうと上手くくっつかず、隙間から落ちてしまうそうです。そうすると人の手で仕分けし直さないといけません。
地域の自治会・町内会などで行っている資源集団回収では“アルミ缶は潰して出して”と言われることが多いと思います。資源集団回収はアルミ缶しか集めてないので、一度にたくさん運べるように「缶は潰して」とお願いされますが、横浜市の資源ごみに出すときは選別の方法上、潰さないように出してほしいとのこと。
阿部さんからごみ袋に関するこんなエピソードも伺いました。
ごみの袋は以前は黒い袋でしたが今は半透明です。家庭からのごみなので事業ごみと分けることや、収集する方が中が見えないと危ないということからだそうです。余談で伺ったお話ですが、横浜市に合わせてコンビニや百貨店の袋が半透明になったのは、横浜市の主婦の力によるものでした。「ごみを入れる袋として再利用しているので、横浜市のごみ収集の基準に即していないと困る」という声が反映されたのです。主婦の声(女性)は社会を変える力があると、阿部所長の実体験を教えていただきました。
緑資源選別センターでは、一日に資源として、スチール缶60kgの塊が毎日40個ほどでき缶コーヒー相当で6万本にも及びます。
ペットボトルは圧縮してワンベールという塊になります。500mlのペットボトルに換算すると1万本分相当で、重さは200kg。この塊が毎日60個、ペットボトル60万本分できます。
アルミ缶は350mlの缶に換算すると約1,250本で25kgの塊ができます。一日240個が通常ですが、緑資源センターではコロナ禍で家飲みが増えた時期に400個(50万本)を超えたのだそうです。資源ごみの量は年々増える傾向にあるとのことでした。
※軽い容器が増えているため、「重量」は微減傾向ですが、「体積・本数」は増加傾向です。
ペットボトルは、日本容器包装リサイクル協会が定めた評価ランクで買取価格が決まり、リサイクル先に渡っていきます。横浜市は現在Aランクです。ランクが落ちると買ってもらえなくなり、買ってもらえないと逆にお金を払って引き取ってもらうことになります。ランクは何で決まるのでしょうか?
それはキャップとラベルが外されているかなど複数の項目で評価されます。ペットボトルだけでないと資源として再生できません。資源ごみではなくただのごみとなってしまいます。
ペットボトルのキャップとラベルは人の手でないと取り外せないことから、私たち一人ひとりが資源ごみに出すときに一手間かけることが必要なのです。現在キャップとラベルの分別の協力率は65%とのこと。分別の仕方の啓発が必要だとおっしゃっていました。
私は限りある地球の資源を大切に使っていきたいと思います。
この記事を読んだ皆さんも正しい資源ごみの出し方を実践してもらえたらうれしいです。
各資源選別センターでは工場の見学ができます。申し込みフォームからでも直接の電話でも大丈夫とのこと。皆さんも実際に行って、“見て・感じて・臭いも嗅いで”帰ってくださいね。
緑資源選別センター
横浜市緑区上山1丁目3−1
https://www.shigenkousha.or.jp/recycle/
横浜市ごみご資源の分け方・出し方
◆缶・びん・ペットボトル
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/gomi-recycle/gomi/shushu/das2.html
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