人も自然も訪れやすい森へ 。寺家ふるさと村 明るい里山プロジェクト
明るい里山を取り戻す。心も自然も育ちやすい森をつくるーー。そんな大きな目標に向かって、横浜市青葉区の寺家ふるさと村を拠点に、新たな里山保全の活動「明るい里山プロジェクト」が立ち上がりました。次世代に緑豊かな未来を手渡すために一歩ずつ進んでいます。

(文:学生ライター・門松悠真)

※この記事は、青葉区の花・緑・農の魅力を発信し、2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)と区民をつなぐ、横浜市青葉区の取り組み『あおばGREEN DAY』の一環でお届けしています。

 

 

「明るい里山プロジェクト」とは?

横浜市青葉区の寺家ふるさと村周辺には、昔ながらの田園風景が残っています。

 

寺家エリアに関わる人が豊かな暮らしを実現できるよう、「農ある暮らし」をテーマにした寺家みらいプロジェクトが2024年にスタートしました。横浜市みどり環境局が中心となって市民に参加を呼びかけ、寺家のまち歩きやアイデア創発ワークショップを経て、採択された三つのチームの活動が進んでいます。その一つが、今回取材した「明るい里山プロジェクト」です。

太陽に照らされている寺家の田んぼ

寺家の里山には、10年前は子どもたちが遊んでいた場所でも、今では草が生い茂り足を踏み入れられないようなところもあります。明るい里山プロジェクトは、薮に覆われ明るさを失いかけている現状に対し、陽の当たる明るい森林を取り戻したいという思いから結成されました。

 

「明るい里山プロジェクト」では、多くの人が寺家で楽しく過ごせるよう、インスタグラムで随時ボランティアを募集し、毎月第3日曜日と第4月曜日に森林・竹林の整備を中心とした活動をしています。

 

また、2025年からは、寺家では10年ぶりとなる市民の森愛護会として、「寺家ふるさとの森・愛護会」が立ち上げられ、里山のパトロールも行っています。

 

市民の森とは、1971年度からスタートした横浜市独自の緑地を保存する制度で、緑を守り育てるとともに、土地所有者の方たちの協力を得て、市民の憩いの場として利用していくものです。青葉区では、寺家町の12.4ヘクタールが指定を受けています。

道具を持って四季の家から出発

歩きやすい森に

取材に訪れたのは7月28日。午前9時30分に寺家ふるさと村の四季の家に集合し、参加者6名がみんなで出発。田んぼで育つ稲の様子について話しながら移動した後、荷物を持って森の中へと入っていきました。大池に沿って小道を進むと現れた長い階段が本日の活動場所です。

 

 

今回の活動場所に向かう道。大池を囲む黒い柵に沿って進みました

この日は階段部分の点検とお手入れを行いました。泥や落ち葉がたまって滑りやすく危険な状態の階段を清掃していきます。横浜市の最高気温34.8度を記録する真夏日でしたが、太陽の光が木で遮られるこの場所は体感マイナス5度といったところでしょうか、比較的涼しく感じられます。

道具も本格派で気合が入ります

荷物を置き、シャベルやスコップ、ほうきをそれぞれ持って作業に取り掛かりました。階段の端にたまった固まった土をほぐし、邪魔にならない場所へとどかしていきます。出っ張った根っこや植物も取り除いていきます。休憩を挟みつつ、汗を流しながら1時間ほどで今回の作業を終えました。

 

 

思いを持って

寺家ふるさと村の魅力について「交通が大変便利な駅から市街地を抜けてすぐ、目の前に別世界のような里山の風景が広がる、そんな所はなかなかありません」と話すのは、寺家の自然をよく知っている稲垣真さん。引っ越してきた27年前の里山にはもっと豊かな生態系があったとのこと。ふるさと村の発足当時から愛護会と地域の人たちによって行われていた笹刈りが無くなってしまい、雑木林が長年更新されずに放置されたことが昆虫や鳥の数が目に見えて減った要因の一つだと指摘します。「当時の生態系を復元することはもはや困難でしょう。しかし動植物の住む環境を整えることはできるはずです」と活動への意欲を語ります。

 

「専門家の方の意見も取り入れ、望ましい保全のやり方を考えていきたい」と今後の活動を見据え、「この貴重な里山を保全し、再生させていくには多くの方々のお力が欠かせません。寺家ふるさと村を利用されている市民の皆さんには、ぜひ関心を持っていただき、できる範囲で活動の輪に加わっていただきたいです」と続けます。

歩きやすい階段にするため協力して作業を進める様子

このプロジェクトの代表を務める金子政夫さんは寺家町の出身です。「秘密基地を作ったり、虫やカタッケ(貝)を採ったり」と、この森で遊んだ思い出を話してくれました。昔は今ほど薮の高さがなく、視界が開けていて遊びやすかったそうです。「子どもが一人でも来れるような、歩けるような森にしていきたい」と今後の目標を教えてくれました。

作業を終え、見上げた寺家の自然

取材を終えて

実際に活動に参加させていただきながらの取材を通して、お互いコミュニケーションを取り、楽しみながら活動しているとともに、それぞれがこの町に、自然に愛を持って取り組んでいるのだなと感じました。団体としては、まずは自分たちが今できることをやり、地域の方に信頼してもらえるように活動を積み重ねています。青葉区の魅力として自慢できる、紡がれてきた寺家の森を守るため、この森を訪れる人に楽しんでもらうために活動を続けている明るい里山プロジェクトをこれからも応援しています。

Information

明るい里山プロジェクト

Instagram

https://www.instagram.com/jike_akaruisatoyama

Avatar photo
この記事を書いた人
森ノオト編集部編集部
未来をはぐくむ人の
生活マガジン
「森ノオト」

月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる

森のなかま募集中!

寄付についてもっと知る

カテゴリー

森ノオトのつくり方

森ノオトは寄付で運営する
メディアを目指しています。
発信を続けていくために、
応援よろしくお願いします。

もっと詳しく