
※この記事は、青葉区の花・緑・農の魅力を発信し、2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)と区民をつなぐ、横浜市青葉区の取り組み『あおばGREEN DAY』の一環でお届けしています。
みなさんは「まちの郵便局」にどんなイメージを持っていますか?
郵便物や荷物の配達、銀行としての役割、保険のイメージを持つ方もいるかもしれません。青葉台には一風変わった郵便局があります。

青葉台郵便局の屋上で行われている養蜂の様子(写真提供:青葉台ハニービープロジェクト)
東急田園都市線・青葉台駅から徒歩1分。駅前ロータリーを出て、駅に向かう人、まちに帰ってくる人が行き交う通り沿いに、青葉台郵便局はあります。郵便局の入るビルの屋上で活動が行われている「青葉台ハニービープロジェクト」。ビル屋上でミツバチを育て、周辺地域を蜜源となる草花でいっぱいにしていく緑化を目的に、2021年から始まった取り組みです。地域の郵便局が中心となって、地域のボランティアと養蜂や花植えを行い、小学校との交流授業、地域の個人店や企業を巻き込んでのハチミツの活用や販売など、ユニークな花と緑のまちづくりの取り組みとして、さまざまなメディアにも取り上げられてきました。

採取時期によって、色や風味が異なるハチミツの特性を生かしたパッケージ。2024年に180kgだったハチミツの収量は、2025年は280kgにまで増えました
ミツバチが花や果樹などの蜜源を求めて飛行する範囲は、一般的に巣箱から半径2〜3km圏内とされ、採取されるのはまさに地産地消のハチミツです。青葉台郵便局の屋上で採れたハチミツは、地域の飲食店でのメニューに使われたり、オリジナルクラフトビールづくりに活用されてきました。2024年からは「ぽすみつ」という商品名で本格的にハチミツとして販売をスタート。青葉区内の郵便局店頭やマルシェ、また東急百貨店での販売も好調で、話題を呼んでいます。同プロジェクトを担当する青葉台郵便局の神長義博さんは局長として日々お仕事をする傍ら、「毎年、採れるハチミツの量も増えてきました。地域で蜜源になる花も増えているかもしれませんし、僕らも腕も上がっているのかな」と、養蜂家としての一面を見せ、笑います。

青葉台ハニービープロジェクトのみなさん
◾️「次世代につなぐ」地域の小学校での交流授業
同プロジェクトでは、地域との協働でプロジェクトを進めていますが、中でも「次世代の環境教育につなげたい」と、地域の子どもたちとの連携を大切にしてきました。
近隣にある横浜市立青葉台小学校の4年生は毎年、総合的な学習の時間を使って、同プロジェクトと協働した授業を展開しています。毎年の養蜂見学では、ミツバチの生態を知って育てることを学びます。加えて、公式キャラクターのデザインコンテストの実施や、ハチミツと地域の規格外野菜を活用したレトルトカレーの共同開発など、子どもたちの趣向を凝らしたアイデアで交流授業を重ねてきました。
2月初旬、今年度の交流授業が実施されるということで、青葉台小学校を訪ねました。家庭科室に通されると、4年1組の子どもたちが授業の準備を進めています。黒板に掲げられた模造紙には「ミツロウクレヨンづくり」とあります。

「お兄ちゃんの時はハニービーでカレー作ったんだよ」と話す子も。子どもたちの言葉からも、ハニービープロジェクトとの協働が、継続的な地域交流授業になっていることを感じます
ミツバチの巣から、ハチミツを採取した後に残る巣を、加工して精製した天然の「ミツロウ(蜜蝋)」は、肌にやさしく防水性・保護性が高く、ハンドクリームやリップクリームなどの化粧品や、木や革を保護するワックスなどに使われます。ハニービープロジェクトでも、ハチミツを採取した後に、ミツロウまでの加工をしていましたが、まれにワークショップ等で使用するくらいで、使い道がなく保管していたそうです。今年度、子どもたちは神長さんたちと相談をして、そのミツロウを有効活用したプロジェクトに取り組むことになりました。洗って繰り返し使える食品用ラップなどのアイデアも出ましたが、子どもたちが、実際に自分たちも使うイメージが持てるものをと、「クレヨン作り」に決定したそうです。
2025年の9月からスタートしたミツロウクレヨンづくり。作り方を調べて臨んだ試作では、ミツロウは固まりましたが、紙に描いても全く色が出ず、失敗……。そこから子どもたちは色素パウダーの種類や量の配分を見直し、ミツロウを流し込むためのストローの改良に取り組みました。

この日はインフルエンザの流行で欠席者も多い日でしたが、子どもたちは協力して作業を進めます
取材に伺ったのは、試作を経て迎えた本制作の日。郵便局の職員さんが挨拶した後に、持ち込んだミツロウを子どもたちに手渡します。子どもたちは班ごとに分かれ、テーブルの真ん中に用意されたホットプレートを囲み、カップに入れたミツロウを溶かしていきます。十分に溶けたら、担当する色の色素パウダーを手際良く混ぜ、プレートに用意されたストローに流し込みます。

口に入って安全なものと、植物性の色素を使用。5色の中から担当する色を決め、1人3〜4本のクレヨンを制作
郵便局の職員さんも各テーブルを回って、子どもたちの作業の様子をあたたかく見守ります。
最初に作業を進めていたグループの子どもたちが、固まったクレヨンで、紙にちょっと線を描いてみると、「前よりも色が出ている!」と声が上がりました。授業の最後の感想では「前回はストローが上手く立たなかったけど、工夫してミツロウの漏れが少なかった」と失敗から工夫を重ねた様子を話していました。
担任の谷垣香帆先生は「コロナ禍の一時期は、学校と地域とのつながりが薄くなり、行事も少なくなっていました。いざ交流ができる時期になったときに、どう動いていいかわからない部分もありましたが、地域に根差した郵便局さんと一緒に動けるというのはとてもありがたいです」と話します。
◾️青葉台はハチミツのまち!地域にもっと発信したい

4年1組担任の谷垣先生の話をしっかりと聞く子どもたち。保育園児を迎えるために、子どもたちは黒板をにぎやかに飾ったそう
4年1組の子どもたちは、この日制作したクレヨンを自分たちで使うだけでなく、せっかくなら自分たちの住む地域にもっとハニービープロジェクトやミツバチの魅力を発信したいと考えたそう。そこで、自分たちよりも小さな子どもたちに知ってもらおうと、学校からも近い明日葉保育園青葉台園の園児にクレヨンをプレゼントすることにしました。

3月初旬に行われた明日葉保育園の園児との交流授業。年中、年長児約20名が青葉台小学校に来ました
交流授業の日、4年生たちは、保育園の小さな子たちにも興味を持ってもらえるように、自分たちで企画、準備をした絵本やクイズでハニービープロジェクトを紹介しました。そして、完成したクレヨンを使ってお絵描きタイム。色によって薄く出るものもありますが、「赤は色が出やすいよ」と園児にやさしく声をかけているお兄さんお姉さんの姿が印象的でした。

谷垣先生は「子どもたちがこの授業を通して、自分たちで考えたことを最後までやりきることができました。協力してやることで、子どもたち同士の関係性も変わって、本当に良い機会になりました」と目を細めました
◾️まだまだ進化するハニービープロジェクト
「青葉台小さんとの交流を通して、保護者の皆さんにもハニービープロジェクトを知って、ハチミツを買いに来てくださったり、お手紙をいただくこともありうれしいです。これからも交流授業が続けられたら」と神長さん。ハニービープロジェクトが、子どもたちを通して、その親の世代、もっと小さな子どもたちと、上下の世代に、花と緑あふれるまちの魅力をつないでいることを感じます。
ハニービープロジェクトでは昨秋、ダニなどの天敵によってミツバチが全滅してしまいました。過去にも同様の経験がありましたが、飼育の工夫を加えて、養蜂を続けてきました。今年も蜜源となる花が増える春からのシーズン、そして秋以降のハチミツの販売を目指して動いています。さまざまな困難がある中でも、今後は新たなクラフトビールの開発やふるさと納税の返礼品も目指しているそうです。
まちの家々に手紙を届けてきた郵便局が養蜂場となり、地域の人々にミツを届ける。それは、ミツバチが花から花へと渡り、ミツを届けてくれるからこそ、できること。ミツバチが育つまちは、人にも生き物にもやさしいまちだと思います。ハニービープロジェクトが今後もゆるやかに、青葉台の人と自然、地域をつないでいくことを期待しています。
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