東急田園都市線・こどもの国線の「降りない駅」に降りてみた!〜二子新地駅編〜
東急線の急行に乗っていると、いつの間にか通過している駅があることに……みなさまお気づきでしょうか。森ノオトライターが、そんな普段は降りない(!?)駅にスポットライトを当て、その駅とエリアの魅力をリレー形式でお届けします!第7回はライターの二宮沙織が、二子新地駅の様子や実際に訪れたスポットをご紹介します。

春の気配と冬の名残が行き交う、2月末の平日11時。電車の窓から眼下に広がる多摩川の河川敷を眺めながら、東急田園都市線の二子新地駅で下車しました。

 

二子新地駅は1日約20,800人の利用者があり、多摩川を挟んで対岸にある二子玉川駅(世田谷区)と向かい合い、川崎市に位置する境界の駅です。

二子新地駅の東口改札前。バーベキューシーズンの4〜6月頃の週末は、待ち合わせ場所としてにぎわいます

二子新地駅を出て左手には「商和会」、右手には「松栄会」と名のつく商店街が広がっています。どちらも新しいお店が次々と生まれ、見どころの多い商店街ですが、今回は長年営業を続けているお店や地域の歴史を感じられる場所に焦点を当てて散策しました。

東口改札を出て右手の商店街「松栄会」

まずは右手の「松栄会」、多摩川とは反対方向の商店街を歩きます。さっそくお目当てだった「魚市」のお店に着きました。

 

 

ほしい!に応えてくれるお魚屋さん「魚市」

毎朝早くに豊洲から仕入れ、店内でさばいて店頭に順次並べているそうです。天然物や、近海で獲れた新鮮な地魚にこだわって仕入れています

魚市は駅から徒歩1分。二子新地の街で約50年、地域の方に愛されているお魚屋さんです。店内に入ると、鮮度のよい魚が並び、その手頃な価格にも驚きです。魚の種類も豊富で、どこから見ようかと目移りしてしまいます。

 

店舗では珍しいサーモンのアラも並び、まるごと1本の魚を仕入れているという、魚市のこだわりがうかがえました。

ホイル焼きセットの魚の種類や味付けは日替わりで、旬の魚を季節ごとに手軽に楽しめます

透明感のある魚のお刺身もさることながら、魅力的だと思ったのがホイル焼きセット! 下処理と味付け済みで、フライパンにインするだけで調理がスタートできます。魚屋さんの優しさが詰まったアイデア商品です。調理の仕方がわからない魚も、このホイル焼きからデビューできそうです。

写真はお昼前に撮りましたが、夕方に向けて品数は増え、お客さんも一番にぎわうそうです

レジ前の大きな冷凍庫にはアジやシシャモの塩干物や、厚切りの塩ジャケが存在感を放ち、店内の一角には隠れた人気商品であるという1本100円のうなぎの肝串も並べられていました。魚介の総菜、唐揚げ、天ぷらも豊富で、近所にあったら毎日でも通ってしまいそうです。

 

次に、魚市を出て少し進むと突如、商店街の風景の中で静かな存在感を放っている石碑を発見しました!

 

 

この土地のシンボルだった一本松

石碑には「諏訪一本松乃跡」と刻まれています

石碑の裏に守られるように、枯れた巨木の根本部分がありました。横に立てられた看板を読んでみると……

 

この枯れた一本松は、かつて高さ約25メートル、幹の太さ約7メートルもあり、当時の多摩川沿いに広がるのどかな田園風景の中で、目印となっていたそうです。この土地が商店街としてにぎわってきた頃、一本松にちなんで「松栄会」という会がつくられ、昭和40年ごろに一本松が枯れたあと、歴史を伝えるために石碑が建てられた、とのことです。

 

この地の目印として、どれだけの人を案内してきたのだろうと思いをはせました。お勤めごくろうさまでした、と心の中で枯れた巨木に声をかけ、散策は続きます。

 

一本松から数分ほど歩くと、濃紺ののれんが映えるお煎餅屋さんがありました。どこか懐かしさを感じさせるたたずまいに、足が吸い寄せられます。

 

 

地元の方の憩いの場でもある「壽煎餅」

1976年創業の手焼きお煎餅やさん「壽煎餅」は、駅から徒歩3分

お店に入ると、店主の坂田さんと常連のお客さんが家族のような距離感で、ゆったりと会話を楽しんでいました。おばあちゃんの家に遊びに来たような、居心地のよい空気感の中、家族へのお土産を探します。

お土産に選んだ、人気のはちみつおかきは冬場だけの限定商品。はちみつの控えめな甘さと程よい堅さで、わが家では子ども三人で争奪戦

気がつくと、新たに近所のおばあちゃんが入店してきていました。店主さんとの、実の親子のような飾り気のない会話に、ほほ笑んでしまいます。

 

レジ下のショーケースの中には、数種類の手焼き煎餅が1枚ずつ包まれて並んでいます。お店の奥では、工場から運ばれてきたこの手焼き煎餅を、専用の機械を使って袋詰めしていました。お煎餅が商品になる過程を見たことがなかったので、思わず見入ってしまいます。壁側にはギフト用や季節ものが置いてあり、見渡す限りお煎餅が並んでいました。(イスのお座布団の柄までおせんべい!)

店内は障子をアクセントにした空間で居心地がよく、飾り棚にもかわいい小物が並び、細部にまでこだわりを感じます。レジ奥の賞状には、かの有名神社ともつながりがあることが記されていました!

帰ってから店主さんにおすすめしてもらった手焼きのざらめ煎餅をいただきました。醤油の香ばしさと、ざらめの存在感のある甘さがバランスよく、堅めでかみごたえがあるので、1枚でも満足できました。バリッ、ボリッ、とお煎餅を噛み砕く食感を思い出してはまた買いに行きたくなっています。

 

ここでいったん駅へと戻って、商店街のもう一方の通り(多摩川の方向)に向かいます。

多摩川の河川敷の手前、二子神社の境内に、なにやら不思議な形のモニュメントが見えてきました。近付いてみると……

 

 

岡本太郎から母へ「岡本かの子文学碑」 

「岡本かの子文学碑」は、二子新地駅から徒歩3分。彫刻の台座には「この誇りを亡き一平とともにかの子に捧ぐ 太郎」と刻まれている(一平は岡本太郎の父)

このアート作品は、芸術家である岡本太郎が、母・岡本かの子をしのんで制作したという、「岡本かの子文学碑」です。岡本かの子は大地主の娘として生まれ、幼い頃から結婚するまでの時期を、現在の二子新地周辺で過ごしました。

 

たまたま居合わせた地域のガイドの方が、「この文学碑の辺り一帯は、岡本かの子のご実家の敷地だったんだよ。今は実家はアパートに建て替えられて、当時の建物は残っていないけどね」と教えてくれました。

 

岡本かの子の業績をたたえた文芸評論家・亀井勝一郎の文章を、小説家・川端康成の直筆で記した石碑もありました。なんとも豪華です。

 

散策の締めくくりに、岡本かの子がこよなく愛したという多摩川ほとりを見に行きます。

 

 

人が集う多摩川の河川敷

二子新地といえばBBQの人気スポットでもあります。暖かくなってくる春先から多摩川の河川敷にはバーベキューを楽しむ人たちの姿でにぎわいます

思わず両手を上に伸ばして背伸びをしたくなるような、開放的な景色が広がっていました。犬の散歩、少年野球やサッカー、ジョギング……人それぞれの楽しい時間を一望できるのも、広々と整えられたこの河川敷の魅力だと感じます。

「川崎市制記念多摩川花火大会」が同時に行われるので、川の両岸で同時に二つの花火を楽しめるぜいたくをぜひ

毎年10月に開催される「たまがわ花火大会」では、二子玉川の高層の建物を背景に、迫力のある花火が上がります。川沿いに屋台がずらりと列を成し、灯りが夜を照らす景色も圧巻です。

 

新しいお店が次々に加わる二子新地駅で、あえて昔から変わらずにあるものを深して街歩きをしました。そして歴史あるスポットで時の流れを味わえるようになると、街歩きの楽しさが一層深まることを実感しました。

 

ぜひみなさまも「降りない駅」に降りて、その街の暮らしをのぞいてみませんか?日常から一歩離れてみることで、自分が大切にしている価値観への気づきがあるかもしれません。

Information

魚市

神奈川県川崎市高津区諏訪1-8−2

044-814-5382

営業時間:平日11:00〜21:00

日祝11:00〜19:00

https://share.google/PZ0Rs364zXONR9Y7f

 

壽煎餅

神奈川県川崎市高津区諏訪1-9-20

044-811-4574

営業時間:9:00〜19:00

定休日:日・月曜日

Avatar photo
この記事を書いた人
二宮沙織ライター
千葉県出身。世田谷区、鎌倉市と、子育てしてみたい土地に住み、現在は青葉区民。ミニマリストになりたくて、断捨離メソッドを実践しているときが幸せ。三姉妹とラブラドール・レトリバーとウサギの母。
未来をはぐくむ人の
生活マガジン
「森ノオト」

月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる

森のなかま募集中!

寄付についてもっと知る

カテゴリー

森ノオトのつくり方

森ノオトは寄付で運営する
メディアを目指しています。
発信を続けていくために、
応援よろしくお願いします。

もっと詳しく