
このまち横浜で暮らすこどもたちのために、里親制度とこどもたちを取り巻く現状をお伝えするシリーズの第二弾。今回の記事では、実際に里親になった方は、どのような思いをきっかけに里親を希望し進んでいくのかについて、里親リクルーターの佐々木が伴走者目線でお話しいたします。
文=フォスタリング機関さくらみらい・佐々木 あさ美/写真=フォスタリング機関さくらみらい
*この連載では、里親制度の普及・支援を通じてこどもたちの生活を支える現場の皆さまの声をお届けします。
「こどもが好き」
「こどもを育ててみたい」
「社会的養護の中で生活するこどものことを知って、何かできることをないか」
ご自身の思い、パートナーの思いへの共感、周りの体験や経験からの影響……里親を希望するきっかけはさまざまです。
しかしみなさんに共通しているのは、「こどものために自分ができること」、その一つの選択肢として「里親」を考えている、ということだと思います。
私たちが里親希望の方とはじめにお会いするのは、里親制度説明会や啓発イベント、里親カフェなどに参加されるタイミングです。
さくらみらいで開いているイベントの様子をお伝えします。

まちやこどもたちへの思いをシェアする「里親カフェワークショップ」
さくらみらいはチラシやHP、SNSなどを通して里親制度を知っていただけるように啓発活動をしており、里親希望の方はそれらを調べて各種イベントに参加してくださいます。
2026年度の4月には、横浜市港北区にある地域子育て支援拠点の場をお借りして、里親カフェ「ONE DAY CAFÉ~さとおやのトビラ」を開催し、「横浜のまちに暮らすこどもたちのためにできること」をテーマに、参加者のみなさんと座談会形式のワークショップを行いました。

「里親カフェ」案内の様子
この日は、横浜市内の各区から、30~50代の8名の方が参加されました。
最初の自己紹介では、<横浜のまちの好きなところ>をみなさんで話していただきました。
参加者のみなさんそれぞれに横浜愛があり、「ヨコハマ」にアイデンティティを感じている人も多いのではないか、と私は感じました。
さくらみらいの職員もほとんどが横浜市在住です。都会的な雰囲気や、その近くにある海や緑の自然、下町情緒を感じる昔ながらのまち……横浜の好きなところはまだまだ出てきます。
次に参加者のみなさん自身の<こどもの頃や子育てをふりかえって>というテーマで盛り上がりました。
家の近所で虫捕りをしたり、鶴見川で遊んだりしたこと、自分の好きなことに親がたくさんチャレンジさせてくれたこと。親に言われたことを大人になってから実感する、という声もありました。
また、近所付き合いが活発で、「自分のこどもたちは地域で育ててもらえたな」と思い返し、自分が助けてもらった恩を次の世代につないでいこうとする「恩送り」をこれからはしていきたいと話してくださる方もいました。
最後のテーマ<こどものために自分にできること>では、参加者から印象的な言葉がありました。
「自分は成長の過程で親以外の大人にも関わってもらえて、支えられてきた。人をつなぐものは必ずしも血縁ではないと思う。
私には施設で育った友人がいて、自分の常識がひっくり返るような環境で育っていた。自分のできること、と考えて、里親をやってみたいと思っている」
ご自身が育ってきた中で、さまざまな人に出会い、経験を重ねて「このまちに暮らすこどもたちのためにできること」を考えた時に、その選択肢の一つに「里親」というカタチがあるのかもしれません。
この記事を読んでいるみなさんにもきっと、「横浜のまちの好きなところ」や「こどもの頃や子育ての思い出」がたくさんあるのではないでしょうか。ぜひお聴きしてみたいです。

「里親カフェ」会場の様子
最初のステップ~説明会とフリートーク~
里親に関心を持たれる方の年齢は20代後半から50~60代の方までと幅広いです。
委託されるお子さんの年齢も0~18歳まで、期間も数日の短期間から10年以上の長期間まであり、必要な対応もお子さんによってさまざまです。
ご夫婦でお子さんのことを考えるタイミングや、ご自身のお子さんが成長してだんだんと余裕が出てきたタイミング、また、単身の方で社会貢献として里親希望をされたり、同性パートナー同士など……。
家族のカタチがさまざまなように、里親家庭のカタチもまたさまざまです。
さくらみらいでは、そうしたさまざまなカタチの里親家庭の様子について、実際に里親活動をしている方の体験談を聞き、その場で一緒にフリートークできる制度説明会を開催しています。
里親の種別も色々とあることをご存知でしょうか?
主に体験談をお話しいただくのは、「養育里親」さんや「縁組里親」さん。横浜市では「よこはまポートファミリー」という愛称で呼んでいます。
里親の種別はその他にも、親族里親、専門里親、フレンドホームなどがあります。(※)
※養育里親…保護者のいないこどもや、保護者に養育させることが不適当なこどもを養育する里親のことをいいます。親権は実親にあります。
縁組里親…養子縁組を前提として、こどもを養育する里親のことをいいます。
親族里親…こどもを養育する人が死亡、行方不明などになった場合に、こどもを養育する祖父母等の親族をいいます。
専門里親…虐待等の行為により心身に有害な影響を受けたこども、非行に結びつく恐れなどがあるこども、身体障がい・知的障害・精神障害のあるこどもなどを養育する里親のことをいいます。
フレンドホーム…児童養護施設で生活している、親や親族の面会の少ないこどもたちを、 夏休み・お正月などに迎え入れる横浜市独自の制度です。
説明会に参加された方からは、里親さんの「一緒に暮らしていれば血のつながりなんて関係ない」という体験談に背中を押されたという感想をいただきました。
また、こどもとの生活、迎え入れた経緯などを聞いて、「自分もこどもを迎え入れたらこうやって接したいな」と、今後のイメージを具体的に思い描かれた方もいらっしゃいました。

オンライン制度説明会の様子
次のステップへ~面接から里親認定まで~
説明会の後ご家庭で話し合い「里親になってみよう」という方はさくらみらいの職員や児童相談所の職員との面接に進んでいきます。
さくらみらいの職員が、里親希望の方のお住まいの管轄である児童相談所の職員とともに「どのような思いで里親制度に関心を持たれたのか」をお聞きしていきます。
面接を重ねる中で、これまでの暮らしや生きるうえで大切にしていること、ご夫婦であればお二人の出会いのきっかけなど、「その方自身の物語」にもふれていきます。
最初にお話しした里親カフェの内容を、さらに個別に深めていくようなイメージです。
お一人おひとりのお話を伺い、それぞれが思い描いている里親活動のイメージが「こどものための里親制度」とつながっていく時間になるように心掛けています。
そして、社会的養護下にあるこどもたちを取り巻く環境など、里親になるにあたって必要な知識を学ぶ「基礎研修」や、社会的養護下にあるこどもたちがどのような生活をしているのかを体感する「施設見学」などの研修で、さらに理解を深めていただき、その都度お気持ちの変化なども伺います。
申請書の提出や家庭訪問なども含め、期間にすると、最初の説明会から約1年~1年半の時間を経て、里親認定となります。

対面での制度説明会の様子
おわりに~親になるまでの大切な準備期間~
この「里親になるまでの期間」は、「親になろう」と思って進む方の準備の時間なのではないかと思います。
ご自身のことや、これまで育ってきた家庭環境、現在の生活で大切にしていること、これからの里親活動のことなど、過去・現在・未来を見つめる時間になっているのではないでしょうか。
昨年度のトークイベントで里親さんが語ってくれた体験談に、「早く里親さんに出会いたかったな」というこどもからの言葉がありました。関係ができてきた頃、こどもから里親の方へ伝えられたそうです。
社会的養護下のこどもたちにとって、自身の環境を自分の意志で選ぶことは難しいかもしれません。
しかし、われわれさくらみらいの職員とともに面接を重ねて家族と話し合い、新たにこどもを受け入れる準備を整えて里親になられた方々と出会うこともきっと「家族の始まり」ではないかと思います。

次回の記事では、「里親になってから」について、どのような変化が待っているのかなどをお話したいと思います。
さくらみらいHPにも里親とこどもたちのエピソードが載っていますので、ぜひご覧になってみてくださいね。
▶フォスタリング機関さくらみらいHP
https://sakuramirai-satooya-yokohama.org/
▶YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=oSSEYY07Rb8
▶公式ライン
https://www.instagram.com/fosteringsakuramirai/
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