明日のための今日をつくる。志をカタチにするWeb制作会社「明日の株式会社」。
オフィス探検、森ノオトでは初めての企画です。とっても元気な女性たちが運営するWeb制作会社「明日の株式会社」は、青葉台の北部・鴨志田町の住宅街にあります。一見するとフツーの家。でも、家の前には旗がはためいていて、「今日も元気でやってます!」という明るいノリのイーゼルが置いてあったりと、街の食堂のような、ギャラリーのような賑やかな雰囲気です。社名もオフィスもワークスタイルも実にユニーク、熱い志と夢が詰まっているステキなオフィスを訪問しました。

 昨年11月、ミコト屋の鈴木鉄平さんから、キタハラに1本の電話がありました。

「キタハラさん、おもしろい人と出会ったんですよ。明日の株式会社さんって言って、Web制作会社をやっている姉妹なんです。今度鴨志田町に新しいオフィスを設立するらしいです」

 

 「明日の株式会社?」

 23度、社名を聞き直したように思います。鴨志田町の一軒家で、Webの会社? もう、聞くからにおもしろそうなニオイがプンプンしてきて、さっそくGoogleで検索。

 

 「明日のための今日をつくる」

 

 と、そこには書いてありました。ホームページは、「明日」という言葉でたくさんあふれていました。日と月と日がたくさん並んでいて、見るからに明るく希望にあふれている会社のホームページ。「この人たちは社会を元気にするキーパーソン!」と直感して、居ても立ってもいられなくなりました。

 会ってみたいなあ……と思いを募らせていたころ、明日の株式会社の社長・村尾周三江さんから電話がありました。

 

鴨志田の住宅地にある明日の株式会社。1階部分は食堂とギャラリー、2階はオフィスとミーティングスペースだ。広い庭では石窯があって、ピザづくりやイベントなど、様々な催しを企画している

 

「まどかさん、一度お会いしましょう」

 

 わお、最初から、わたしの大好きな、名前で読んでくださいました。もう、ワクワクです。どんな出会いになるんだろう……と思ってオフィスにうかがうと、そこは鴨志田町の閑静な住宅街にある、ふるーい一軒家。スコーンと抜けるような青い空に、会社のロゴ入りの旗がはためいていて、なんともお茶目です。

 

 玄関を開けると、無垢材と漆喰、おなじみの自然素材の温もりであふれていました。迎え入れてくれた周三江さん、一緒に会社を経営している妹の朋子さんにお会いして、最初に思ったのは「び・美人姉妹だ……」。

村尾周三江さん(左)、朋子さん姉妹。社長の周三江さんは主に外回りをして企画や営業を担当、朋子さんはディレクターとしてWeb制作を統括する。6人姉弟の上から2人

 

 明日の株式会社は、周三江さんが2005年に設立したWeb制作会社で(当初は「村尾CO.」という名で活動、20085月に明日の株式会社に社名変更)、当時アパレルの仕事をしていた朋子さんとともに、友人のレディスアパレルのネットショップの立ち上げをきっかけに本格始動しました。女性だけで月商3000万円を達成するなど事業は順調に進み、女性的な細やかな視点と、きっちり効果を出す戦略の作成で、多くの顧客の信頼をつかんでいまに至ります。

 

 元々周三江さんは、飲食店舗の立ち上げや、高齢者介護事業の事業開発など、「立ち上げ」「ブランディング」「人材育成」の経験が豊富で、海外生活も長く、かといえばマクロビオティックの修行を積むなど、異色の経歴の持ち主。場所を超えて人をつなぎ志を伝えるインターネットコミュニケーションに活路を見出し、楽天に天職しました。仕事はますます波に乗る一方で、大企業では優秀な女性が結婚や出産を機に退職してしまうことに損失を感じるようになります。

 

Webの制作は子どもが横にいてもできる仕事。女性のチカラを活用できるワークスタイルをつくりたい」

 

 子育てをしながらイキイキと働いている妹の朋子さんの姿を知るだけに、周三江さんの独立の背景には、「女子力」を生かすワークスタイルを立ち上げる、というサブミッションもあったのかもしれません。

 

世話役のかおるんさんがつくるヘルシーなごはん。「わざわざ鴨志田まで足を運んでくださるお客様に、美味しいごはんを食べて元気になっていただきたい」(周三江さん)という気持ちが込められている

 

 さて、会社では毎週金曜日に「明日の食堂」をオープンし、会社を訪れるクライアントや協力事業者の方々との昼食タイムを設けています。周三江さんの長年の友人で、着物のスタイリストでもある渡辺薫さん(通称:かおるん)が、動物性食材不使用のヘルシーなお料理を出します。取材にうかがった日のランチは、すりおろし蓮根の酢豚風で、玄米とごま塩、お漬物と味噌汁の「一汁三菜」。マクロビオティックを基本にした心身を調えるお料理は、日頃忙しく働く「明日のメンバー」と訪問客に、静かなパワーを与えてくれます。

 

みんなで手を合わせて「いただきます」。いつも感謝の気持ちを忘れない

 

 お食事をいただく部屋は、無垢材の床と漆喰の壁がとても清々しい空間です。いずれはギャラリーとして開放し、地域の作家さんやアーティストの展示などを企画したい、と考えているそう。こけら落としは33日(土)に開催するチャリティーイベントで、明日の株式会社のリーダークリエイター・高田綾美さん(通称:ちんぷい)の個展をおこないます。

 ちんぷいさんは4人の子どもを育てながら、日々進化するWebの世界でクリエイターを務める、まさに「新しいワークスタイル」を地でいっています。2人の子どもを育てあげている朋子さんともども、しなやかでたくましい、女性の生き様がここにはたくさんあります。

 

2階のオフィスはビビッドなレッドカラーで統一。女子っぽく、明るく賑やかな雰囲気

 

 2階はオフィスで、WiFi環境も充実しています。遠方に住んでいるちんぷいさんや協力会社の方などは、普段はSkypeで仕事のやりとりをして、対面が必要な時にオフィスに出社するスタイル。クライアントさんとの直接的なやりとりは、ほぼ周三江さんの担当。外回りをして、企画から提案まで、ワンストップで形にする態勢です。

 

「私たちがお仕事をさせていただいているのは、主に中小企業です。会社の代表の方と直接お話をして、会社のビジョンをいかに顧客にお伝えし、売り上げ、事業につなげていくか。単にホームページを制作するだけでなく、事業パートナーとして、様々なご提案をしています」

 

 と、周三江さん。そのため、ホームページをパッケージで売るような営業ではなく、徹底的にお客様とコミュニケーションをし、マーケットをつくっていく。そんな風にクライアントの信頼を得てきて、事業も大きく飛躍してきています。

 

 

「社長室」はミーティングコーナーの後ろ側にある、元押し入れスペース。周三江さんの大切にしている蔵書がズラリ。人となりがわかるセレクト

 

 それにしても、なぜ鴨志田町に本社を構えたのでしょう? ……それは、周三江さん、朋子さんが青葉台周辺に長く住んでいて、自分たちのフィールドとして親しんでいるから。青山や渋谷に本社を構えることも検討したそうですが、「パソコン一つあれば、どこでも仕事ができる。大切にしている志を打ち出し伝えていけば、場所はどこでもいい」と、大好きな寺家ふるさと村周辺で本社を探していたそうです。会社を拠点に、大好きな地域を元気にしていくための仕掛けや企画を打ち出していけるような、のびやかな場所が必要だった二人。運命的に出会ったのが、鴨志田町の、ひろーい庭つきの古い一戸建てで、リノベーション自由、庭もいじってよし。

 

「畑をつくってパーマカルチャーをやりたい」

「石窯で子どもたちとピザをつくりたい」

「明日の食堂に地域の方をお呼びしたい」

「地元のものづくり作家さんにギャラリーを使ってもらってもいいね」

 

 村尾姉妹の夢は、まわりを巻き込みながら、どんどん広がっていきます。

 

 元気な会社が、元気な地域をつくる。Webの世界は日進月歩。どんなにネットのコミュニケーションが進んでも、人は、情熱と志をもった「その人」そのものに惹かれていくものです。名は体を表す「明日の株式会社」。一緒に地域の明日をつくる、そんな風に、これからも長く関わっていければいいな、と思いました。

 

Information

明日の株式会社

住所:神奈川県横浜市青葉区鴨志田町818-3

TEL :045-507-3753

http://www.ashitano.co.jp/

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この記事を書いた人
北原まどか理事長/ローカルメディアデザイン事業部マネージャー/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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