誰もが地域をつくる仲間であり、まちの担い手
2019年に発足した「気づきの和連絡会」は、地域の見守りあいのネットワークです。横浜市青葉区の中里北部地区の連合町内会と鴨志田地域ケアプラザが事務局となって、誰一人取り残さない地域をつくっていくために、長期的視野でつくられた、まちづくりの理念であり計画です。森ノオトは鴨志田町内会の一員で、発足当初より地域のNPOとして連絡会へ参加し、気づきの和連絡会のチラシなどの制作を担当してきました。
このネットワークを、「全住民参加型にしたい!」という連絡会事務局の強い思いがあり、森ノオトのコミュニティデザイン事業部では、事務局のコアメンバーと共に、この形のないものの周知や参加をどのように広めていったらいいのか?と 2 年ほどにわたり話し合いを重ねてきました。
あれこれ模索する中で、地域内で広く世代を超えて情報を伝えるには、「紙もの」が実は強いこと。自ら積極的にまちに出てみようという実際の行動につながること。やり方が誰にでもすぐに理解できることを総合して、地域で見つけた「いい話」、「ごきげんな話」を投函するポストを設置し、集まった話を紙の通信でシェアする、というアナログで双方向性のある方法を試してみようという話になりました。
そして、令和 5 年度、気づきの和ポストプロジェクトは、内閣官房の「孤立・孤独対策活動基盤整備モデル調査」事業にめでたく認められ、気づきの和ポストを制作し、年度内 2 回の気づきの和通信『ごきげん』を発行することになりました。
中里北部地区には、若い人、新しい人のアイデアを、いいね!と受け入れて応援してくれる土壌があって、そのこと自体がステキなことだと感じています。ポストは、鴨志田郵便局に常設設置するものと、森ノオトが保管して各地でのイベント等に 出張するものと、二つ制作しました。ポストがあふれるほどの反応があることを願っています!
気づきの和通信は廣田新聞鴨志田店さんに依頼して、9月末から全戸配布するほか、小学校や中学校、地域のお店などにも置いてもらいます。第2号には、地域から寄せられた「ごきげんな話」で紙面がいっぱいになるはず。通信に載せられなかった話をどうするか?ポストが遠い地域の人への配慮は?などなど、既に次のアイデアも出てきています。
地域っていいな。あったかいな。の循環するまち
現在、「気づきの和連絡会」では、3カ月に一回、定例の会議が行われています。
会議には、中里北部連合自治会と、鴨志田地域ケアプラザ、中里北部地区社会福祉協議会、青葉区社会福祉協議会、青葉区役所、民生委員や児童委員、大学の地域担当の方、小・中学校の校長や副校長・PTA の代表者、NPO、企業、任意団体などが参加して、こうあったらいいなという地域に向けて、それぞれの現場で起こったことをシェアしています。認知症や不登校といったテーマについて学ぶ時間を設けることもあります。
情報交換する時に重視されているのが、地域の心あたたまる「いいニュース」をシェアしよ うということです。実際に会議に参加すると、地域のあちこちで、いい話がたくさんあって、それを聞き合うことができるのですが、それがなんだかいいのです。なんだか良いまちだなあという実感が湧いてきます。この実感を全住民と共有したいというのが、「気づきの和ポスト」プロジェクトの源にあります。
まちづくりに関わっていると、地域の課題やお悩み、苦情など、どうしても「ご意見」が先に来るものです。そして、その解決を目指そうとしているのに、かえって二項対立の構造が生まれて殺伐としてしまったり、空気が重くなりがちです。
また、メディアやSNS でも、いいニュースよりも、悪いニュースの方が拡散して広がる傾向があり、それに対して反射的に拒否や憎悪の気持ちが生まれて炎上したり、といった例には事欠かない時代です。
しかし、実際に生き、暮らしていく中では、楽しいこと、ほっと安心すること、明るい希望を感じることもたくさん起こっています。
気づきの和ポストプロジェクトは、ニュース性や政治性、新規性、時事性のあることとは別の、この地域に住んでいてよかったなと感じられるような、ほっこり心あたたまる話、ごきげんなエピソードを書き留めてシェアするだけで、誰もがまちづくりに参加できるツールです。
見守り、見守られる地域のゆるやかな関係性の萌芽は既にあり、まずはそれを出し合って知るだけで、ポジティブな気づきの響き合いが起こるのではないかと期待しています。
認定NPO法人森ノオトでは、地域と住民の皆さんをつなぐ企画の相談を受け付けています。
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