生き物や自然環境について語り合う仲間ができた
「フラワーダイアログあおば〜花と緑の風土づくり〜」がスタートして、青葉区の「花と緑」に関わるおおぜいの地域の人たちを、森ノオトでは取材し、地域でつなげ、「対話」をする場をつくっています。今年度は、まずは花と緑に関わる活動を取材して「伝える」ことから始め、活動団体の情報を「ひらき」、「広げる」こと、そして「集い」対話をする場をつくり、人や場のネットワークを「整え」、青葉区がそれを「支える」関係で、事業を進めています。
8月4日のキックオフイベントを経て、学びの場の第1回は、2018年9月7日に、國學院大學たまプラーザキャンパスでひらかれました。國學院大學では「万葉エコBeeプロジェクト」が学生会館「若木21」の屋上でおこなわれています。そのきっかけについて、大学事務課課長の島村昌利さんが話をしました。
「國學院大学は東京都渋谷区に本校があり、昭和40年代に誘致を受けてたまプラーザに運動場を設けました。昭和60年にたまプラーザキャンパスを設立、現在まで30有余年が経ちますが、航空写真で見ると緑がどんどん少なくなってきているのがわかります」
島村さんは今から8年前に大学の施設担当になったことをきっかけに、たまプラーザのまちに緑を取り戻したいという思いを強めていったそうです。そして、6年前に「HamaBoomBoom!プロジェクト」を主宰する岡田信行さんに出会います。「本校は教員になる学生がほとんど。そんな学生たちがミツバチを育て、生き物を通じてまちの魅力を高めることについて“伝える”力を身につけてくれれば」という島村さんと、岡田さんの「ミツバチを通じて地域の方々と、ひと・まち・環境のつながりを創出する。花と緑に囲まれた暮らし、活気のあるまちづくりに貢献したい」という気持ちが一致して、万葉エコBeeプロジェクトがスタートしました。
「万葉エコBeeプロジェクトは、ミツバチを育ててはちみつを採ることが目的ではありません。学生がミツバチや収穫したはちみつを通じて地域の人と交わり、その体験を“伝える”ためのツールなのです」と、話し始めた岡田さん。この40年でどんどん緑が失われていった横浜で、あらためて豊かな環境を創り出すにはどうしたらいいのか? そのためには、花や緑を増やすことを目的にせず、おもしろがりながら活動を継続できるよう、モチベーションを保てる手法でおこなっていきたい、と、プロジェクトの経緯を話してくださいました。
岡田さんは、「あなたの一輪が、はちみつの産地です」と呼びかけます。ミツバチは巣箱の半径2km以内の町中の花からハチミツを集めてきます。ハチミツの量は年によって変動し、季節によってミツの色がどんどん変化するそうです。「小さな範囲を大切にすること。それは、人、まち、環境をつなぐおもしろいことに発展していきます。一つひとつの仕事が高度に専門化していき、交わりにくくなった現代で、ミツバチを軸におもしろく多様なコミュニティをつくっていくことができる」と岡田さんは、活動の意義を語ります。
島村さん、岡田さんの話を受け、後半は参加者が4つのグループにわかれて「ダイアログ」をおこないました。
「アロマの勉強をしているので、ミツロウを使った石けんやクリームをつくりたい。花を育てるのが好きなので、花に集まってくる虫やハチの種類を知識として知りたい」といった話題が出たグループや、「団地の管理組合の理事長をしている。団地のコミュニティづくりにミツバチを活用したい」といった、団地住まいの方が複数人いたグループ、「虫の発生に対してクレームを言う人がいるが、そうした声を分析して、虫と親しむきっかけをつくっては」という話題が出たグループ、「都市のなかでニホンミツバチを飼って都市と自然の調和をはかりたい」といった、ニホンミツバチへの関心で盛り上がったグループがありました。
ダイアログ後は名刺交換をしたり、このダイアログをきっかけにニホンミツバチの見学に一緒に出かける人が出たりと、「花と緑と生き物の関わり」についての行動を生み出した第1回目のプログラム。参加者からは「自然保護の仲間ができた」「緑化やまちづくりに造詣の深い方が多く、議論がおもしろかった」との声がきかれました。
まちづくりにつながる中長期的な視野をはぐくむ
2018年10月5日は、会場を青葉区役所3階に移して、「企業との連携で活動を可視化する」をテーマに議論をおこないました。ゲストは東急電鉄の緑化活動に支援、助成をする『みど*リンク』アクション事務局担当の、ミョー・ミンゾーさんです。
「東急電鉄では1972年から沿線を“緑豊かなまちにしよう!”と、沿線住民に苗木を配る東急グリーニングキャンペーンをおこなってきました。2012年には今まで配ってきた苗木の“点”を“面”でつなごうと、緑をきっかけとしたコミュニティづくり、まちづくり活動への応援に切り替えました」と話すミョーさん。2012年から『みど*リンク』アクションという名でCSR事業として、緑化活動への支援をおこなってきて、これまでに67の活動団体に支援してきました。
青葉区での助成実績は13件です。ごみで汚れた町並みに花で美しさを取り戻す「青葉台フラワーロードの会」や、台風で桜の木が倒れた鶴見川沿いに、新たに100数本の山桜を植えて美しい景観を創出する市が尾の「桜を愛する会」、たまプラーザで花育活動に取り組む「NPO法人フラワークラブなな夢」の他、過去の活動についてミョーさんが紹介。
「例えば、100年後にこれはおじいちゃん、おばあちゃんが植えた桜なんだよと誇りをもって伝えたいと語った人や、きれいなまちになればごみを捨てる人は減るはずという商店会長の思い、子どもたちが花壇を整備することで花や緑に対する心を将来に向けて育むことができるという公園愛護会会長の言葉。私たちは、こうしたまちを愛する心に対して支援していきます」と、ミョーさんは力強く話しました。
後半のダイアログでは、実際に『みど*リンク』アクションのような助成に応募する際に、プロジェクトをどのように組み立てていくのかを考えるワークショップをおこないました。『みど*リンク』アクションでは、お金ではなく、緑化活動に必要な苗や道具などの物品を支援します。これは、お金がなくなったら活動を続けられないことにならないよう、活動を継続するための仕組みを考えることを重視しているからです。また、個人や商店の利益ではなく、まちぐるみで景観づくりに取り組んでいくために、グループで理念を共有して目標を設定することを助成要件に定めています。
まずは個人で自分の思いを整理し、同じグループの人に気持ちを伝えて、仲間を増やしていくための練習として、今回のダイアログを設定しました。
こうしたフレームを使ってプロジェクトを整理することに慣れている人、初めての人、世代も様々でしたが、時にグループを入れ替えながら対話を進めていくなかで、お互いの思いに耳を傾け応援したり、共通の話題が見つかって一緒にプロジェクトを進めていこうという流れが生まれたりと、有意義なダイアログの時間になりました。
「今回も時間が足りなかった!もっと皆さんと話したい」「近所で同じ思いをもっている人が見つかりました。具体的に連携を始めたい」などといった声がきかれて、それぞれの気持ちの種が少しずつ芽を出しつつあるように感じました。
次回は11月8日(木)、青葉区荏田西にある「ピッピ保育園」に集合して、園児たちと一緒に住宅街を歩きながら、子どもの目線で花と緑について考える「まち歩き」をおこないます。テーマは「子どもの視点からまちを見直す」で、講師は「まち保育」の研究者として知られる横浜市立大学准教授の三輪律江さんです。子育て、まちづくり、花と緑に興味のある方のご参加をお待ちしています。
<フラワーダイアログあおば 11月のプログラム>
「子どもの視点からまちを見直す」
日時:2018年11月8日(木)10:00-12:30
集合場所:ピッピ保育園
(〒225-0024 横浜市青葉区荏田西3-1-19-1F)
東急田園都市線「市が尾」駅より徒歩10分
参加費:無料
定員:20名
お申し込みはevent@morinooto.jp宛にメールもしくは、青葉区役所に電話045-978-2416かFAX045-978-2410まで。
タイトルに、フラワーダイアログあおば、本文にお名前、住所、電話番号、メールアドレス、受講希望の会(複数でも可)をご記入の上、お申し込みください。
※この会は保育ボランティアはありません。大人のみの参加をお願いしています。
※複数で申し込まれる場合は、参加者全員分のお名前と代表者の連絡先をご記入ください。
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